2018年6月5日火曜日

【教えて!狩人先輩!】第27話 受けて! 幼女の依頼!【モンハン二次小説】

■タイトル
教えて!狩人先輩!

■あらすじ
新米なのに先輩ハンターにされた少女のドタバタコメディ奮闘記。
※注意※2017/07/09に掲載された文章の再掲です。本文と後書が当時そのままになっております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【ハーメルン】の四ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
R15 残酷な描写 モンスターハンターダブルクロス MHXX ライトノベル コメディ

■第27話

Fantia【日逆孝介の創作空間】https://fantia.jp/posts/12083
Pixiv■http://www.pixiv.net/series.php?id=635565
ハーメルン■https://syosetu.org/novel/69877/

第27話 受けて! 幼女の依頼!


「俺達はそろそろマトモな防具を生産した方が良いと思うんだ」

 麗らかな春の日差しが落ちる四季の街・テンプス。その商店区の一角にあるオープンカフェに、四人のハンターの姿が有った。
「先輩」スッと挙手するオクトー。
「おう、何だ?」モガモ貝のパン粉焼きに箸を通しながら返すアウグ。
「てっきりこの最弱装備で伝説を目指すのかと思ってたんすけど、違うんすね! 先輩の事だから、“ハンターは装備に頼らずとも、実力・技術・知識さえ有ればどんな強大なモンスターでも狩猟できる”って言う根性論者かと思ってたっすよ!」ニッコリと屈託の無い笑顔を見せるオクトー。
「俺そんな風に見られてたの!?」思わずモガモ貝を取り落とすアウグ。「流石にそんな事言わねえし、そんな伝説を目指すつもりもねえよ!」
「でしたら、何故今まで装備品を新調しなかったのですか?」不思議そうに小首を傾げるエネロだったが、すぐに思い至ったようだ。「なるほど……装備品に体臭をたっぷり染み込ませて、後で私に嗅がせてくれると、そういう話でしたか……流石先輩です、惚れ直しました」ハァハァと息遣いが荒い。
「違ぇーよ! お前の変態的な性癖を満たすためでもねえよ!!」思わず椅子を引いてエネロから距離を取るアウグ。「ほら、俺達も何度か狩猟を経験して、新米ハンターから、少し毛が生えた程度のハンターにランクアップしたんだから、そろそろ相応の装備品を揃えた方が良いと思ってよ」
「先輩……! そんな事まで考えてくれてたんだね! 僕、尊敬しちゃうよ!」瞳をキラキラさせてアウグを見据えるフェヴラ。「まさか僕の装備品の代金まで支払ってくれるなんて、本当に素敵な先輩だよ! うんうん!」
「いやいや待て待て勝手に俺に領収書を押し付けるんじゃねえよ!!」フェヴラの頭をスパァンッ、と叩くアウグ。「自分の装備は自分で揃える! それがハンターとしての鉄則だ! 胆に命じとけ!」
「分かったかい胆!? 先輩がああ言ってるんだ、しっかりするんだよ!」「そういう意味じゃねえ!!」スパァンッ、とフェヴラの頭を叩くアウグ。
「装備品の新調っすか」腕を組んで唸るオクトー。「だったら自分はやっぱり青いのが良いっす! 青い装備なら何でも良いっす!」
「青い装備? てか何だってそんな青推しなんだお前?」不思議そうにモガミ貝を食していくアウグ。
「そりゃー自分、青色が好きっすから!」ニッコリ笑顔のオクトー。
「お、おう、そうか」それ以上何も言えないアウグ。「青色だったら、そうだなぁ、ギザミシリーズとかありかも知れねえな」
「あのアメフト選手みたいな装備っすか? あれは自分の好みじゃないっすよー、そもそも赤いじゃないっすかー」やだなぁ、と手を振るオクトー。
「いや、それはザザミシリーズだろ? 俺が言ってるのはショウグンギザミの方。盾蟹じゃなくて鎌蟹な?」ハップルアップルのジュースをストローで吸い上げるアウグ。「ギザミシリーズは全身青いから、お前の好みに合うんじゃねえの?」
「まじっすか! それすげぇヤヴァいっすね! まじ半端ねぇっす!」身を乗り出して喚き散らすオクトー。
「お前のその語彙の無さはどうにかならんのか……」オクトーの語彙力の無さに慣れてしまったのか、ツッコミが大人しめのアウグ。「お前らは生産したい装備品とかって無いのか?」エネロとフェヴラに水を向ける。
「私は先輩を悩殺できるような扇情的且つ情熱的な装備が」「ハンターの装備をそんな目で見てんじゃねーよ!」スパァンッ、とエネロの頭を叩くアウグ。
「僕は先輩が代金を支払ってくれたら何でもいいよ!」「お前は装備にもっと金を使えッ!」スパァンッ、とフェヴラの頭を叩くアウグ。
「そういう先輩は作りたい装備って有るのかい?」モガモガーリックのペペロンチーノを食べ終え、ナプキンで口元を拭うフェヴラ。「先輩は何かと僕達を置いて勝手に別のハンターと狩猟に出てるみたいだし? きっと良い武具の知識も有るんだろうね?」
「え? 何で俺そんな責められてる感じになってるの?」怯えた様子でフェヴラから距離を取るアウグ。「まぁあれだよ、俺は初めから作りたい装備は決まってたから」
 どこか誇らしげに鼻の下を擦るアウグの対応に、三人が顔を見合わせて不思議そうにしていると、不意に人影がこちらに向かってくるのが見えた。
 日傘を差した、フェヴラよりもよっぽどお嬢様らしい、フリルをたくさんあしらった衣装に身を包んだ、十代前半の少女。小さな背には、煌びやかな服装には似つかわしくないゴツめのリュックが背負われている。
「あなたがアウグかしら?」
「おう?」
 少女に気づいてなかったのだろう、突然声を掛けられて振り返るアウグ。そこには美少女と言っても差し支えない、お嬢様風の女の子が日傘を持って佇んでいた。
「確かに俺がアウグだが」
「あなたに依頼を持ってきたの」
「俺に依頼?」
 少女の澱みない口調に違和感を覚えつつ、アウグは体を向け直し、正面から少女を見据える。
「何で俺に?」
「面倒な依頼は、あなたに言えば解決してくれるって、この街のギルドマスターが言ってたわ」明瞭な口調で応じる少女。
「あぁぁ……俺の地位がいよいよ揺るぎない形で固定されていく……」頭を押さえて呻きだすアウグ。
「やったっすね先輩! これで依頼がモリモリ来るようになったんじゃないすか!? 伝説のハンターまであと一歩っすよ!」「悪い意味での伝説のハンターになりたくねえんだよぉっ!」バキィッ、とオクトーの顔を殴りつけるアウグ。
「こんな小さな子にまで依頼されるなんて、先輩が素敵な証拠じゃないですか。あぁ……ロリっ子との絡みも、偶には」「お前ちょっと黙っててくれない? この子にそんないかがわしい話聞かせたくないんだけど」エネロの口を思いっきり塞ぐアウグ。
「わたしは平気」キリッと応じる少女。「慣れてるから」
「慣れてちゃマズいよね!? お前それマズい環境だから!! 俺のとこよりも先にまずは自警団に行こう!? 話はそれからだ!!」必死に説得を試みるアウグ。
「冗談よ」キリッと応じる少女。
 間。
「……お、おう」名状し難い想いが去来して言葉が出てこないアウグ。「そ、それで、その面倒な依頼ってのは……?」
「はい」頷いて説明を始めようとした少女だったが、思い出したように「あ」と声を上げた。「名乗ってなかった。ルイルと言う」ペコリと頭を下げる少女――ルイル。
「あ、こりゃご丁寧にどうも」同じようにペコリと頭を下げるアウグ。「俺はアウグ。右隣のこいつがオクトーで、その反対側がエネロ、奥の奴がフェヴラって言うんだ」
「自分の事は奥さんって呼ぶといいっすよ!」グッと親指を立てるオクトー。
「私の事はエロ姉さんと呼んでください」嫣然と微笑むエネロ。
「僕の事はお嬢って呼んでおくれよ!」ニコッと笑うフェヴラ。
「でまぁ、何故か俺は先輩と呼ばれてる訳だが」こほん、と咳払いするアウグ。「じゃあ改めて依頼を聞かせてくれよ。話はそれからだ」
「はい。あなた達には、ナルガクルガを狩猟して欲しい」
 数瞬の間が有った。
「先輩! ナルガクルガって、強いモンスターっすよね! これはもう受けざるを得ないんじゃないすか!?」「先日のウルクスス狩猟よりも昂りそうですね……!」「そんなに強いモンスターなのかい!? 楽しみだなぁ!」
 三人が銘々に感想を述べていると、アウグがスッと立ち上がり、顔を空に向けた。
「キタァーッ!! 俺はァーッ!! この時を待ってたんだァーッ!!」
 ウワァーッ、と雄叫びを上げるアウグに、三人は「「「先輩が壊れた……」」」とドン引くのだった。

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