2018年6月19日火曜日

【教えて!狩人先輩!】第30話 聞かせて! 先輩の過去!【モンハン二次小説】

■タイトル
教えて!狩人先輩!

■あらすじ
新米なのに先輩ハンターにされた少女のドタバタコメディ奮闘記。
※注意※2018/01/01に掲載された文章の再掲です。本文と後書が当時そのままになっております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【ハーメルン】の四ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
R15 残酷な描写 モンスターハンターダブルクロス MHXX ライトノベル コメディ

■第30話

Fantia【日逆孝介の創作空間】https://fantia.jp/posts/12083
Pixiv■http://www.pixiv.net/series.php?id=635565
ハーメルン■https://syosetu.org/novel/69877/

第30話 聞かせて! 先輩の過去!


「俺は小さい頃、大きな街に住んでた事が有るんだ。
 その時、メチャクチャカッコいいハンターがいてさ!
 そのハンターの装備が、ナルガシリーズだったんだよ」

 アウグの過去の話、完。
「流石先輩っす! 話の巻き方がまじ半端無いって言うか、まじ最高っす! ゴッドオブゴッドっす!」拍手喝采のオクトー。
「ありがとよ……」仏のような顔で涙を流すアウグ。
「こんな早くイカせるなんて……っ、先輩、流石です……っ」荒い息遣いで、とろんとした眼差しをアウグに向けるエネロ。
「エロ姉さんは本当に俺の話聞いてた?」真顔になっていくアウグ。
「本当に三行で纏めるなんて……先輩はやっぱり人間だったんだね!?」万歳し始めるフェヴラ。
「おい待て。人間だと思われてなかったの?? 俺今ここに到るまで人間扱いされてなかったの??」フェヴラの頬を鷲掴みにして持ち上げるアウグ。
 注文したベルナスのモガペペロンチーノをフォークで巻きながら、アウグは不貞腐れたように頬杖を突いて、三人から視線を外す。
「……そのハンターはさ、俺の中では、理想のハンター像なんだよ」
「先輩の理想って言うと、ツッコミの手が冴え渡っていたんすか?」コックリと小首を傾げるオクトー。
「先輩の理想と言うと、言動がいやらしくて、艶めかしい体つきですよね……?」ハァハァと息遣いが荒くなるエネロ。
「先輩の理想って言うからには、頭がおかしいハンターなんだね!」グッと親指を立てるフェヴラ。
「お前ら俺の理想を穢し過ぎだよね!? 俺の理想のハンター像がズタズタなんだけど!? 何だそのツッコミが冴え渡って、体が艶めかしくて、言動がいやらしい、頭がおかしいハンターって!!」ペペロンチーノの入った皿をかち割りそうになるアウグ。「カッコいいんだよ! カッコいいハンター!! なんつーか……そう! 先輩として、誇れるハンターだったんだよ!」
「ツッコミが冴え渡る先輩って、自分達の誇りっすよ!」
「いやらしい発言をしてくれる先輩……私の誇りですよ……!」
「先輩は頭おかしい」
「お前ら……!」涙を浮かべて何かを堪えるような笑顔で拳を固めるアウグ。「ホント許さんからな……!」
「じゃあ先輩は、そのナルガ装備のハンターに憧れて、ハンターを始めたのかい?」アウグのペペロンチーノをフォークで巻きながら尋ねるフェヴラ。
「おう、そうなるな」コックリ頷くアウグ。「てかお前何自然な動きで俺のペペロンチーノを勝手に食べようとしてるの?」すすす、とフェヴラから皿を遠ざける。
「素敵ですね……! それで先輩は、理想のハンターになるべく、切磋琢磨していると……! あぁ、子宮がキュンキュン疼いちゃいます……!」陶酔した表情でアウグのペペロンチーノをフォークで巻き取るエネロ。
「普通キュンキュンするのって胸じゃねえの?」怪訝な表情でエネロを見やるアウグ。「いやてかお前も何俺のペペロンチーノを食おうとしてんだよ自分で頼めよ!」すすす、とエネロから皿を遠ざける。
「すひょー!」アウグのペペロンチーノを皿ごと丸呑みするオクトー。「ゴックリ。先輩、ペペロンチーノお代わりで!」
「……お前時々恐ろしい動きするよな?」皿を吐き出すオクトーを見て青褪めるアウグ。「まぁそういう訳だよ。だから俺はそのナルガ装備のハンターみたいになりたくてさ、どうしてもナルガクルガを狩猟したいんだ」
 真面目な顔で告げるアウグに、三人は顔を見合わせ、同時に華やいだ。
「先輩がペペロンチーノ奢ってくれたら行くっすよ!」
「先輩がペペロンチーノ奢ってくれたら是非も有りませんわ!」
「先輩がペペロンチーノ奢ってくれたら勿論手伝うよ!」
「お前ら……!」
 先輩の話よりペペロンチーノの方が大事なんだな……! と言いたくて仕方なかったが、黙ってペペロンチーノを三人前奢ってしまうアウグなのだった。

◇◆◇◆◇

「ところで先輩、朝から気になってたんすけど、どうして片手剣じゃない武器を持ち歩いてるんすか?」
 ペペロンチーノを平らげた三人を眺めながら「こいつらの食費だけで薬草幾つ買えたかな……」とブツブツ呟いていたアウグが、オクトーの視線に気づいて顔を上げる。
「このライトボウガンか?」ガチャ、と重たい音を立ててボウガンを持ち上げるアウグ。「言ってなかったが、今回の狩猟から俺、ガンナーになるから」
「先輩が私の下着に……!?」「インナーじゃねえよ!」スパァンッとエネロの頭を叩くアウグ。
「先輩が勝利者に……!?」「ウィナーでもねえよ!」スパァンッとフェヴラの頭を叩くアウグ。
「先輩が現代映像研究部っぽい集団に入っちゃうんすか!?」「オタサーでもねえよ!」スパァンッとオクトーの頭を叩くアウグ。「てかお前そんなクソ難しい単語よく知ってたね!?」
「ガ・ン・ナ・ア! 銃を使う人! 銃士! ガン・マン! オケ!?」肩で息をし始めるアウグ。
「薄々気づいてたっすけど、先輩説明下手過ぎっすよね」ドゴォッとオクトーの鳩尾に無言のアウグの拳が突き刺さった。
「今まで片手剣しか使ってなかったように思えるのですが、突然武器を変えられても狩猟に支障は無いのですか……?」
 エネロの心配そうな眼差しに、アウグは鼻の下を擦りながら照れ臭そうに応じる。
「ライトボウガンは、片手剣とは確かに武器種が違うけどよ、俺はこの武器でも立ち回りは、お前らのサポートに徹しようと考えてるからさ。たぶん、そこまでマズくはならねえと思うんだ」
「なるほど……先輩はどんなアイテムでもオールマイティに使いこなせるだけのテクニックが備わっているのですね……!」ハァハァと息遣いが荒くなるエネロ。
「うん、お前の言ってる事何もおかしくないのに何だろう、お前が言うと違和感が生じるんだよな」真顔のアウグ。
「でも先輩……何も先輩だけが武器を変えた訳ではないんですよ……?」ニタァ、と悪い笑みを覗かせるエネロ。
「えっ、エロ姉さんも武器を変えるのか?」驚いた眼でエネロを見やるアウグ。「スラッシュアックス辞めるのか?」
「はい……私も先輩に肉薄して……あっ、誤解しないでくださいね? 決して先輩と触れ合えるほどの距離に近づきたい訳ではありませんよ?」「そんな誤解、間違ってもしないから話を続けてくれる?」「先輩のようにサポートが出来る武器を扱えれば、先輩との心の距離が接近して……あっ、誤解しないでくださいね? 決して先輩と心も体も重ねたいと言ってる訳では」「お前誤解の塊だから何言っても信じられねーよ!」スパァンッとエネロの頭を叩くアウグ。
「エロ姉さんの武器は狩猟笛なんすよ!」と言ってオクトーがエネロの背後から武器――イャンクックの狩猟笛である“クックソング”を取り出す。「初めて討伐できた記念って言って、エロ姉さん、狩猟笛なんか作ってたんすよ!」
「へぇ~、まさかエロ姉さんがそんな事してたなんてなぁ」シミジミと頷くアウグ。「てか、エロ姉さん、狩猟笛使えるの?」
「勿論ですわ! 私のテクニックで、先輩をメロメロにしますからね……!」ふんふんと鼻息荒いエネロ。
「それ狩猟笛の使い方おかしくね?」不思議そうにエネロを見やった後、アウグは咳払いして注意を集めた。「今回は俺が片手剣からライトボウガンに、エロ姉さんがスラッシュアックスから狩猟笛に得物が変わるが、やる事はいつもと一緒だ。俺はお前らをサポートする。お前らは全力でナルガクルガを討伐してくれ!」
「了解っす!」ビシッと敬礼するオクトー。「お任せください」ニコッと華やぐエネロ。「分かったよ!」グッと親指を立てるフェヴラ。
「よし! そうと決まれば――」「討伐されたら困る」「しゅっぱ――え?」
 四人が立ち上がり、颯爽と狩猟に出掛けようとした、その時。
 依頼人であるルイルがアウグの袖を引っ張って、上目遣いに見つめる姿が視界に飛び込んできた。
「この依頼、捕獲だから」
 ルイルが指差す先には、依頼書。
 ナルガクルガ“捕獲”の依頼になっていた。
「ま……まじか」
 初めて挑む、ナルガクルガ。
 そして初めての、捕獲依頼。
 いよいよ以て、アウグの顔が仏になろうとしていた。

【後書】
 本当に先輩の過去が3行で終わるなんて思ってなかった(挨拶)。
 記念すべき30話目は、先輩とエロ姉さんが新たな武器を使い始めると言う節目にもなりました! ライトボウガンと狩猟笛…ちゃんと描写できるようお祈りください!(笑)
 さて、次回! 第31話「新調! 強化した武器!」…まだまだ武器のお話は続きます! どうかお楽しみに!

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