2018年7月27日金曜日

【神否荘の困った悪党たち】第45話 俺が叩きのめしてきますね【オリジナル小説】

■あらすじ
非現実系ほのぼのニートフルコメディ物語。宇宙人、悪魔、殺し屋、マッドサイエンティスト、異能力者、式神、オートマタと暮らす、ニートの日常。
※注意※2018/04/09に掲載された文章の再掲です。本文と後書が当時そのままになっております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】、Fantia【日逆孝介の創作空間】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
日常 コメディ ギャグ ほのぼの ライトノベル 現代 男主人公

■第45話

カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054881797954
Fantia【日逆孝介の創作空間】https://fantia.jp/posts/47708

第45話 俺が叩きのめしてきますね


「オオオオアアアア!!!」

 突然ケーキ屋さんの中で絶叫が奏でられた。
「ん?」と絶叫の音源を辿ると、頭に紙袋をすっぽり被った、丈の短いスカートの、忍者っぽい恰好の女がバク転しながら走り飛んできた。「うわこわっ」
「オオオオアアアア!!!」
 紙袋を頭に被った、くのいちっぽい何かはロロさんにぶつかると、近くに有ったケーキを手に取り、ロロさんの顔面に叩きつけて、「オオオオアアアア!!!」と雄叫びを上げながらのんびり歩いて立ち去った。
 ケーキ屋さんの店内は、顔面をショートケーキまみれにしたロロさんと、フォークを止めてロロさんを見つめるナモと、呆気に取られている俺の三人だけになった。
「う、うわぁー、やられたぁー」突然棒過ぎる語調で呟いたロロさんが、テコテコ歩いてケーキ屋さんを後にしていった。「お、覚えていろー」捨て台詞すら棒だった。
「ん? 今のあれじゃない?」ナモがケーキを食べながら呟いた。
「ん? ナモあれ知ってるの?」あまりの事態にちょっとツッコミが追い付かない。
「アレだよ、サイボーグエロくのいちって奴だ」
「サイボーグエロくのいち」この世界には一々パワーワードが出てくるな。「あれって、俺を助けてくれたのかな?」
「どうかな。単にケーキ食べたかっただけかも分からんね」登場の理由が雑過ぎるだろ。「そんな事よりヤバいぞアニーエ」
「えっ、どうしたの?」
「何かこれあれだ、ふぁーって言いながらしゅわぁーって蒸発しそうな予感がする」相変わらずケーキをもごもご言わせながら訳の分からない事を言っているナモだ。
「えぇー、困るな。何とかならない?」取り敢えずナモの背中を摩ってみる。「どう? 大丈夫そう?」
「いやー、ヤバいわ、もうヤバい、もうふぁーって言いそう、ふぁーって言いそう」
「お前は何を言ってるんだ感がしゅごいんですけお」
「そうだ、アニーエにこれを渡しておこう」ゴソゴソとポケットから取り出したのは、カードキーのように見える紙切れだった。“れべる100”と記されている。「これが有ればたぶんどこでも行けるお」
「そんな気がする」
 カードキーを受け取ると、ナモが「うっ」とケーキを喉に詰まらせる声が聞こえた。
「ナモ? ナモしっかりしてー」背中をごしごし擦ってみる。
「あっ、やめてっ、アニーエの力で背中擦られると、肉ガッツリ持ってかれるから」スッと手で制止するナモ。
「えっ、ごめん」スッとナモから離れる。「俺どうしたらいい?」
「んー、あれだ」指をパチッと鳴らすナモ。「メチャゲロを止めるには、博士の力を借りる必要が有る」
「えっ、突然マトモな事喋り始めたぞ」驚きだ。
「博士はたぶんあの辺にいると思う。判るか?」
「いやー、あの辺じゃちょっと……」「ふぁー」「えっ」
 ナモがしゅわぁーって蒸発してしまった。
 途方に暮れるってレヴェルじゃない。
「ぷるる、ぷるる」ニャッツさんが震え出した!
 肉球に触ると、砂月ちゃんが映し出された。
「砂月ちゃん、ナモもふぁーって言いながらしゅわぁーって蒸発しちゃったんだけど」頑張って説明するけど、正直頭がおかしくなりそうだ。
「そんな事より先輩! 自分に内緒でケーキ食べるなんてズルいです! 自分も食べたいです!!」砂月ちゃんがカンカンだ。
「ぇえー、大統領っぽい人が蒸発した事より大事なのケーキ」優先順位が明らかに壊れてるよぉ。「今度奢ってあげるから、許して?」
「えっ!? しょ、しょうがないですね、許してあげますよ!」嬉しそうに微笑む砂月ちゃん。可愛い。「こほん! ところで、大統領っぽい人であるナモも、ふぁーって言いながらしゅわぁーって蒸発しましたか……」
「うん、俺もう頭がおかしくなりそうだよ」意味が分からな過ぎて。
「確かナモも、ふぁーって言いながらしゅわぁーって蒸発する持病があると聞いた事が有ります」嘘やろ……。「まぁ蒸発しちゃったんですから仕方ありません、今はメチャゲロを止める事が最優先事項です」淡泊過ぎる。
「えーと、博士に逢えって言われたお」あの辺ってどこか知らんけど。
「メチャゲロの開発に携わった博士……それは恐らく式子博士だと思われます」聞き覚えの有る名前だ!「彼女は恐らくあの辺にいる筈です。あの辺に向かいましょう、先輩!」
「結局居場所は“あの辺”以外の情報無いのかぁ」通信を切りながら立ち上がって背伸びする。「どうしたらいいんだろう、ニャッツさん分かる?」
「ニャ? 我輩のサーチモードを使えばイチコロニャ!」ふふん、と顎を上げるニャッツさん。可愛い。
「殺さずに済む方法無いかなぁ」イチコロにされたら困るんだなぁ。
「サーチモードオン!」あぁ、俺の話聞いてないんだなぁ。「いたにゃ! 式子博士の居場所はここニャ!」タシーンッと床を叩いた瞬間、パッと景色が変わって、男子トイレの便器が突然視界に入って来た。
「うわっ、突然テレポートしないでくださいよ」驚いてよろめくと、「あうっ」と背後の誰かにぶつかり、背後の誰かが呻き声を上げた。
「あっ、済みませ……」振り返ると、白衣を纏った、白髪の若いお姉さんが俺を見て瞠目していた。「えええ、もしかして……式子、さん……?」
「え、えぇ……いかにも、私が式子ですが……」狼狽えた様子で見つめる白髪お姉さん――式子さん。「貴方は……?」
「えーと、メチャゲロを止めに来た者です」自己紹介が下手過ぎた。
「つまりアニーエさんですね?」情報管理どうなってるのこの世界??「良かったぁ、待ってたんですよ、メチャゲロを止めてくれるんですね? じゃあこれを」と言って人間の姿をした式子さんがカードキーを手渡してきた。
“もぴー”と記されたカードキーだ。
「これ何ですか?」もぴーカード?
「このもぴーカードをメチャゲロに突き刺すと、メチャゲロは破裂するんです」
「破裂」やばみしかない。「ところで式子さん、何で男子トイレに……?」
「そ、そうでした! 今大変な事態に見舞われているんです!」式子さんが俺の手を掴んで喚き始めた。「サイボーグエロくのいちに狙われているんです! 彼女から逃れるために、男子トイレに隠れているんです!!」
「狙われてる……? やっぱりあの人、悪い人だったのかなぁ」ロロさんにケーキ叩きつけただけだけど。
「それが……私の貞操を狙っているようで……」「俺が叩きのめしてきますね」即決だった。
 てか今ので確信したけど、あのサイボーグエロくのいち、シンさんだな? 間違いなく。

【後書】
 パワーワードの連続で腹筋が持たないwww(ご挨拶)
 と言う訳でナモもふぁーって言いながらしゅわぁーって蒸発してしまいましたが! まだGameは終わらない! だってメチャゲロが健在だもの!
 更に謎のサイボーグエロくのいちの登場により混沌を極めるシャーベット・モッツァレラ島の明日はどっちだ!
 次回、第46話「女性……ですかね……」…遂に始まる第二のボス戦…! お楽しみに!w

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