2018年12月10日月曜日

【教えて!狩人先輩!】第38話 逃げて! ナルガクルガと後輩ハンター!【モンハン二次小説】

■あらすじ
もう二度とナルガクルガのクエストには行かない。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】、【ハーメルン】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
R15 残酷な描写 モンスターハンターダブルクロス MHXX ライトノベル コメディ


Pixiv■http://www.pixiv.net/series.php?id=635565
ハーメルン■https://syosetu.org/novel/69877/
■第38話

第38話 逃げて! ナルガクルガと後輩ハンター!


「ぴゃああああっっ!!」

 オクトーの悲鳴が古代林を駆け抜ける。
 全力疾走しながら、枝葉を掻き分け、横たわる枯れ木を飛び越え、大きな岩を乗り越え、ひたすら、ただひたすら走り続けるハンター三人の姿が古代林に有った。
「奥さんしぃーっ!」青褪めた表情でフェヴラが人差し指を口に押し当てて歯を見せた。「今はとにかく逃げなくちゃ! 先輩、完全に我を失ってるからね!」
「えぇ、それはそうなんですけどね……」
 ちら、とエネロが視線を向けた先には、三人のハンターと並走するように、涙目で疾走するナルガクルガの姿が有った。
「何でナルガクルガと一緒に逃げてるんでしょう私達……」エネロの困惑しきった声が下りた。
「そりゃあれっすよ、先輩は全生物の脅威っすから、今は」口元に手を当てて、必死に声を殺しながら呟くオクトー。「モンスターが逃げ出すってよっぽどっすよ」
「いやまぁ僕達ハンターが逃げ出してる時点で色々おかしいけどね!」青褪めた表情で笑うフェヴラ。「でもどうするんだい? 狩場から出ない以上、僕らの命は有って無いようなものだけど、ナルガクルガを連れて狩場を出たら、それこそ大惨事だと思うんだけど……」
 三人のハンターが走りながら腕を組んで小首を傾げる姿に、ナルガクルガが怯えた表情を向けた。
「このままでは、最悪の結末を辿る可能性が有ります」ピッとエネロが人差し指を立てた。
「もう既に最悪の結末を辿ってる感半端ないっすけどね!」透かさずオクトーが合いの手を入れた。
「ナルガクルガが討伐される結末です」オクトーを無視して続けるエネロ。
「クエストの失敗がそんなに最悪かい?」不思議そうに小首を傾げるフェヴラ。「僕らが皆殺しにされるより遥かにマシな結末だと思うけど」
「ナルガクルガの素材が欲しかった先輩が、ナルガクルガのクエストに失敗する……その結果として先輩の絶望度指数が限界まで跳ね上がり、私達を見限るないし、ハンターを辞める可能性が浮上します」
 エネロが真っ青な表情で吐き出した発言に、二人の後輩ハンターも血の気が引いて行った。
「それは……確かに、考え得る中で最悪の結末だね……」フェヴラの泣きそうな声が漏れた。「先輩にハンターを辞められたら……僕は一体誰のスネを齧って生きていけばいいんだ……」
「先輩をおちょくるのが生き甲斐の自分には、悪夢過ぎる現実っす……」はわはわと魂が抜けかけているオクトー。「先輩がハンター辞めたら、自分もう生きていけないっすよ! 死活問題っすよ!」
「ええ、そうなんです……」深刻そうに首肯を返すエネロ。「先輩がハンターを辞められてしまえば、私はもう誰にこのリビドーをぶつけたらいいのか……そんな腐ったヘドロみたいな生き方、私には出来ません……っ!」うっ、と涙目になって顔を背けた。「分かりましたか……? だからこそ、このクエストはどうあっても成功させねばならない……あの悪鬼羅刹染みた先輩を抑え込みながらです!!」
 三人は一度立ち止まり、顔を見合わせた。古代林の、道無き道を縦横無尽に駆け回ったために、泥だらけで枝葉塗れになっているが、その瞳には強い意志が宿り、勇気が燃え盛っていた。
「あの先輩を抑え込みつつ、ナルガクルガを捕獲する! 作戦はこれっすね!」「えぇ、あの先輩を抑え込みつつ、クエストを成功させましょう!」「そうだね! あの先輩を……」
 オクトー、エネロと続き、フェヴラも言おうとした、次の瞬間。
 ナルガクルガが「キュイイインッ!?」と悲鳴を上げて仰け反った。
 三人の意識が覚醒する。咄嗟に向けた視線の先――約百メートル先の、樹林の間隙を縫うように、疾駆する人影が見えた。……否、最早人影と呼べるか怪しい速度で、紅く輝く瞳を残像として残し、樹林を縫うように跳ね回る“何か”を見てしまった。
「……」
 三人は一瞬思考を放棄し、最早人間を辞め過ぎてしまった先輩を見つめて、同時にこう思った。
“先輩、いつの間にハンター辞めてモンスターになったの?”
 次の瞬間には三人のハンターの体に雨あられと散弾が降り注ぎ、阿鼻叫喚が古代林に輪唱となって駆け抜けた。
「待って!? 先輩待って!? さっきまでもだいぶアレだったっすけど、もうこれ以上はハンターの領域超越し過ぎっすよ先輩!?!?!」オクトーの悲鳴が弾けた。「ナルガクルガだけじゃなくてハンターまで皆殺しにするつもりっすか!?」
「喧しいわ!! 全部聞こえてたぞさっきの!!」古代林の樹木の枝葉を片手で掴み、巧みな体重移動で枝葉に飛び移っていくアウグ。「お前ら俺を何だと思ってるの!? ナルガクルガの捕獲に集中しろバカタレ!!」
「あれ? 先輩マトモになってる?」不思議そうに頭上を飛び移って行くアウグを見上げるフェヴラ。「でも動きが野生児そのものだ……」
「っと、」三人の元に飛び降りるアウグ。「今のはゴムの散弾だ。ハンターが混乱したり眠っちまったりした時に使えば衝撃で起きる、威力のねえ弾丸だからな?」三人の前でゴムの弾丸を見せながら説明を始めた。「何でお前ら俺から逃げてんの? しかもナルガクルガと一緒に。ふざけてるのか? ん? ふざけてるのかお前ら??」恐ろしい事に笑顔だった。
「ふざけてないっすッ!」「ふざけてませんッ!」「ふざけてないよッ!」三人が直立不動で厳かに敬礼を返した。
「ほんとかよ、ったく……」やれやれと溜め息を吐き出すアウグ。「てかナルガクルガいねーし。逃げたか……ペイントボールはまだ生きてる。追うぞ。どこまで逃げようが、必ず追い詰めて仕留め……じゃなかった、捕獲するぞ……」恐ろしい事に笑顔だった。
「……」
 三人は最早言葉を交わす事も無く、アウグの飛びっきりの笑顔を見つめながら、彼女の後を追って古代林を走った。
 もう二度とナルガクルガのクエストには行かない。そう、三人は心の底で誓うのだった。

【後書】
 ナルガクルガが気の毒になってくる展開です(笑)。
 狩猟してください!ww
 とツッコミを入れたくて仕方ないんですけれど、実際ナルガクルガにモリモリダメージ与えてるんですよね彼女達。漫才しながらもしっかり狩猟は怠っていなかった…!※結果論
 と言う訳で【教えて!狩人先輩!】もいよいよ2018年の配信はこれにておしまいです。今年はナルガクルガの年になってしまいましたね!w まだまだ終わらないナルガクルガ編、どうか来年もお付き合い頂けますように! それでは来年の【教えて!狩人先輩!】も何卒宜しくお願い致します~!(*- -)(*_ _)ペコリ

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    3人と一緒に涙目で逃げ惑うナルガたんを目の当たりにして、
    なんかもぉ気の毒で気の毒で…成仏するんやでぇ(ちがう)

    なんだかんだ言いつつちゃんと狩猟してますよねw
    ただのお笑いカルテットではないのですw

    忘年会でも大暴れしてくれることでしょうw

    今年も楽しませて頂きましたー
    来年も楽しみにしてますよーvv


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    1. 感想有り難う御座います~!

      成仏するんやでぇwwwまだ生きてる!ww生きてますよ!ww

      そうなんです!w 何だかんだ言いながらも、実はちゃんと狩猟してるんですよこの人達!ww
      ただのお笑いカルテットwww言い得て妙過ぎるwww

      そう、何かもう忘年会のシーズンなんですよね…! 何か先週綴ったような体感です…!w>忘年会短編w

      今年もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~! (*´σー`)エヘヘ!
      来年もぜひぜひお楽しみに~♪ そして宜しくお願い致します!(*- -)(*_ _)ペコリ

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