2018年3月13日火曜日

【ベルの狩猟日記】027.帰る場所【モンハン二次小説】

■タイトル
ベルの狩猟日記

■あらすじ
守銭奴のベル、天然のフォアン、爆弾使いのザレアの三人が送る、テンヤワンヤの狩猟生活。コメディタッチなモンハン二次小説です。再々掲版です。

▼この作品はBlog【鎖錠の楼閣】、【ハーメルン】、【風雅の戯賊領】、Fantia【日逆孝介の創作空間】の四ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
モンハン モンスターハンター コメディ ギャグ 二次小説 二次創作 P2G



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始話(第1話)■

ハーメルン版■https://syosetu.org/novel/135726/



「ただいまー」
 雪山での狩猟から二週間が経過したラウト村に、一人の少年が訪れた。
 褐色の防具――ティガレックスと言う名の飛竜の素材で造られた防具に身を包んだ少年は、元気そうな足取りでラウト村の敷居を跨ぐ。外に広がっている森と村の境界には、申し訳程度の門しかない。その前には二人の少女のハンターが佇んでいた。
「お帰り、フォアン。その様子じゃ、特に問題は無かったみたいね?」
「フォアン君、お帰りにゃさいにゃ! 元気そうで何よりにゃ!」
 私服姿の長い紺の髪を流した少女は、ベル。普段着にもなっている〈アイルーフェイク〉にインナーのみの姿の少女は、ザレア。二人とも(一人はネコの被り物で分からないが)安心したような笑顔で、少年――フォアンを迎え入れた。


 ――そう、あれから二週間が経過していた。
 ウェズの安否を確認しに雪山へ赴き、ドスファンゴとフルフルを同時に狩猟すると言う体験をした三人は、その足でウェズを迎えに行くと、隣村へと送り、結局その日は隣村の宿で一泊する事になった。
 その時、フォアンの体――ドスファンゴの突進とフルフルの電撃をマトモに受けた体を、一度精密検査して貰った方が良いとウェズに言われた。始めこそフォアンは渋っていたが、ウェズに無理矢理連れて行かれ、結局ラウト村に帰って来たのはベルとザレアの二人だけだった。ウェズは隣村での商売も適当に、大きな街へとフォアンを連れ去ったのだった。
 そしてそれから数日が経過し、フォアンから手紙で連絡が入って、遂に今日、ラウト村へ帰る事が許されたのだった。


「――凄く大変だったよ。肋骨が折れてたらしいし、皮膚が炎症起こしてボロボロになるしで。医者に無理言って、今日退院させて貰った位だし」
 フォアンが酒場へと向かう途中、愚痴のような言葉を零したが、その内容に思わずベルが噴き出す。フォアンを怪訝そうな眼差しで見つめつつ、一応、普通の常識人としての反応を見せる。
「……あんた、それってかなりヤバい状態なんじゃないの……? 肋骨折れてるとか、どうしてそれに気づかなかったの……? そんな酷い状態だったのに二週間で退院とか、あんたどれだけ無理言ったの……?」
「入院なんて暇人のする事さ。若者は動ける時に動くのが一番だよ」
「ジジイかあんたは! しかもあんたの場合は動いちゃいけない時に動いてるんだよ! 街に戻って養生してこい!!」
「まぁまぁ、堅い事言うなよ。俺も見ての通り、ピンピンしてるんだからさ」
 そう言って会心の笑みを浮かべるフォアンに、ベルは呆れを通り越して最早溜め息すら出てこない様子で頭を抱える。
「全くもう……何だってこいつはいつもこうなんだ……」
「それじゃフォアン君も、今日から一緒に狩猟に出掛ける事が出来るにゃねっ?」
 ザレアが今の話を全く無視して、嬉しそうにはしゃぎ出す。
 ベルは頭を抱えたまま、ツッコミを入れる事すら忘れて呆然とザレアを見据える。
 フォアンは顎を掴む素振りを見せて、小さく首肯する。
「そうだな。少しブランクも有る事だし、軽い仕事ならすぐにでも請けたい気分だぜ」
「それじゃあ、雪山草を摘んでくる依頼はどうかにゃ? この前に行った村の村長さんが、是非にって言ってきてるのにゃ!」
 そうなのである。二週間前、ウェズが音信不通になった事で、隣村ではちょっとした騒ぎが有ったらしい。そんな折に三人のハンターが無事な姿のウェズを連れて来た事から、やたらと気に入られ、本来ならそのままラウト村へと帰ろうと考えていた三人が、そこで無理矢理一泊させられたのである。その後もフォアンは街で検査を受けていたから知らないが、隣村から色んな依頼が舞い込み、ラウト村のハンターはテンヤワンヤだったのである。
「へぇ、そうなんだ。――じゃ、張り切って行くか」
「……ま、いいけどね。あんたが元気なら、それだけでもう満足よ、あたしも」
「それじゃ、早速行こうにゃ! お祝いも兼ねて、雪山でポポも少し狩って行こうにゃ!」
 三人のハンターは銘々に声を上げながら酒場へと向かって行く。この後、二週間ぶりに帰って来たフォアンを村長が涙ながらに迎え入れたのは、また別の話。
 今日もまた、彼らの狩猟の一日が始まろうとしていた……


第二章〈帯電飛竜、フルフル〉―――【完】

【後書】
 と言う訳で第二章、遂に完です!
 当時は第1話(と言いますか読み切り?)で終わる予定だった物語も第2話(第2章)の完結まで至れたのは、やっぱり当時の熱心な読者様のお陰だったとわたくしは思います。
 当時はまだモンハンの小説って言うほど多くは無い時代…だった気がしましたけど、単純にわたくし自身が探そうとしてなかっただけで、当時から隆盛を誇っていたのかも知れませんが、多くの読者様に恵まれたこの「ベルの狩猟日記」は、二次創作のシリーズ作品としては最長の記録を有するに至りました。
 続く第3章はこの「ベルの狩猟日記」で当時一番の反響を頂いた物語になりますw ぜひ楽しみに読み進めて頂けると幸いです! それでは次回、第3章第1話にして、第28話!「畑で金稼ぎ」…P2Gの頃の金策と言えばこれでした(笑)。お楽しみに!

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