2018年4月11日水曜日

【僕のヒーローアカデミア二次小説】あんたの評価【物拳】

■あらすじ
物間君がAクラスを目の敵にする理由。
相思相愛系物拳です。色々捏造設定注意!

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。
※注意※2017/09/07に掲載された文章の再掲です。本文も後書も当時そのままになっております。

Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8748541
Fantia■https://fantia.jp/posts/18100

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 物間寧人 拳藤一佳 物拳 ヒロアカ

■あんたの評価


※色々捏造設定なのでなんでも許せる方向けのお話だよ!

「――物間ってさ、どうしてそんなにAクラスを目の敵にするの?」

放課後。Bクラスの一角で読書に耽ろうと単行本を開いた物間に、拳藤が気軽に声を掛けた。
物間は片眉を持ち上げる反応を見せると、単行本を片手で閉じ、嘲るように口唇を皮肉っぽく歪めた。
「どうしてって、嫌いだからだよ」
「だから、どうして嫌いなのかって訊いてるんだけど」
「嫌いな事に理由がいるのかい?」
「好きな事に理由はいらないと思うけど、嫌いな事には有るんじゃない?」
軽口で終わらせようとした物間だったが、いつも以上に食い下がる拳藤に、眉根を怪訝に顰めた。
「僕がAクラスをどう思おうが勝手だと思うんだけど?」
「……私もさ、別にAクラスを贔屓しろなんて言うつもりは無いけど、物間ってほら、Aクラスの奴ら見るだけで箍が外れるように煽って行くからさ。何か特別な理由が有るのかなーって、思って、さ」
言い難そうに首筋を撫でながら視線を逸らす拳藤に、物間は鼻息を落とすと、醒めた表情で小さく、一言零した。
「――正当な評価じゃないからさ」
「Aクラスが、不当に評価を貰ってるって言いたいの?」透かさず喰いつく拳藤。
「BクラスだってAクラスに劣らない実力を秘めたヒーロー候補がわんさといる。にも拘らず、Aクラスだけにスポットライトが当たるのが、僕は納得できない」冷えた表情のまま、物間は淡々と告げた。「だから僕は、Aクラスに、苛立つんだ」
こんな直接的な物言いの物間は初めてだった。
婉曲な言い方でAクラスを嘲弄する彼は、何もAクラスを相手にする時だけああなのではない。
他者からの“感情的な理解”を得ようと思わないのか、わざと神経を逆撫でするように応じる事から、中々他人からの理解を得られない事が多い物間である。Bクラスの中心的人物と言っても、実態はAクラスの爆豪と何ら変わらない。
端的に言えば問題児。けれど、素直に憎む事が出来ない人格の持ち主でもある。
だからこそ拳藤は彼に付き添うように議論に付き合うし、愚痴を聞いたりする。勿論、逆だって然りだ。
「それは、物間自身が、正当な評価を得られていない、って感じてるって事?」物間の前の席に座り込み、彼を正視する拳藤。「それは無いでしょ。あんた、Bクラスでもヒーローからの評価高いって耳にするよ」言動を除けば、とは続けないが。
拳藤の真正面から注がれる視線も介さず、物間は嘲るように小さく吐息を漏らした。
「僕じゃない、Bクラスの評価だよ」
「私らって事?」不思議そうに小首を傾げる拳藤。「余計なお世話じゃないそれ?」
「……だから言いたくなかったんだよ」ボソリと呟くと、物間は立ち上がって単行本を鞄の中に落とした。「話はもういいかな? 僕そろそろ帰るよ」
「物間ってさ、何だかんだ言って、仲間想いなんだよね」
そう言ってにへら、と微笑む拳藤に、物間は一瞬頬を赤らめるも、気づかれないようにそっぽを向いて、「そう思われてるなら光栄だね」と手を振って立ち去ろうとしたが、その背に拳藤が声を掛けた。
「――私の評価は、どうなのさ?」
縫い止められたかのように足を止め、影の伸びる教室を振り返った物間が観たのは、黄昏に浮かぶ拳藤の微笑だった。
「君は、もっと評価されるべきだろうね」
ポツリと返して、物間は今度こそ教室を後にした。
残された拳藤は、「ふ~ん、そっか」と小さく零した後、俯いて、「……物間に評価されてるなら、それでいいよ」と、誰にも聞こえない声量で呟いた。
廊下を進む物間も、窓から差し込む斜陽に照らされた橙色の顔で、「……好きな奴を評価しない奴なんていないでしょ」と、もどかしそうに呟くのだった。

【後書】
最後の台詞を言わせたかっただけに綴った作品と言ってもいい物語です(笑顔)。
と言う訳で初めて物拳に挑戦してみました。わたくし今まで轟爆をメインで綴って参りましたけど、その実、アニメの感想ポスト見てればお気づきかと思いますが、生粋の物拳マンでしてな! 綴りたい綴りたいと思いながら中々ネタが思い浮かばず、やっと己の想いを形に出来た次第です。長かったナァ……( ˘ω˘ )
この物語を綴り終えてから怒涛の物拳綴りたいラッシュが始まってしまったので、ちょっと真面目に「週刊物拳短編」を始めようかと思い始めておりましてな……にへへ!
気が向けば来週辺りにまたお逢い致しましょう! ここまでお読み頂き、有り難う御座いました!

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