2018年5月19日土曜日

【教えて!狩人先輩!】第11話 手伝って! 新たな新米!【モンハン二次小説】

■タイトル
教えて!狩人先輩!

■あらすじ
新米なのに先輩ハンターにされた少女のドタバタコメディ奮闘記。
※注意※2016/04/05に掲載された文章の再掲です。本文と後書が当時そのままになっております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【ハーメルン】の四ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
R15 残酷な描写 モンスターハンターダブルクロス MHXX ライトノベル コメディ

■第11話

Fantia【日逆孝介の創作空間】https://fantia.jp/posts/9110
Pixiv■http://www.pixiv.net/series.php?id=635565
ハーメルン■https://syosetu.org/novel/69877/

第11話 手伝って! 新たな新米!


「失礼、ちょっといいですかな?」

四季の街・テンプス。寒冷期に入った大陸に倣うように、街並みには軽く雪化粧が施され、酒場では温かな料理が振る舞われている。
クエストから帰ってきて、のんびりと酒場で温かいハチミツミルクを飲んでいたアウグの前に、白髪の老爺とベルダーシリーズを纏った女が相席してきた。
パリッとした紺のスーツに、カイゼル髭と、老練な紳士と言った風情の老爺と、新米ハンターと思しき女を交互に見やり、アウグは「おう、何だ?」とジョッキをテーブルに戻して尋ねた。
「失礼ですが、貴女様がアウグ様、で宜しかったでしょうか?」キビキビとした声で更に問いかける老爺。
「おう、そうだが?」不思議そうに返答するアウグ。「俺に何か用か?」
「貴女様にお願いしたい事が有りましてな。実は……」「じい、そこからは僕が言うよ」老爺を手で制して声を上げる女。
ベルダーシリーズを纏っている事から新米のハンターである事が分かる。年はアウグより上のようで、更にオクトーより少し年上、エネロより年下と言った塩梅の女だ。
「まずは名乗らせて貰うね。僕はフェヴラ」女・フェヴラは小さく華やぐと、表情を改めて続けた。「これから、先輩のクエストに同行させて欲しいんだ」
「……は?」間の抜けた表情をするアウグ。「同行って、俺ついさっきクエストから帰ってきたばかりなんだが」
「えぇと、つまり、次にクエストに行く時、同行させて欲しいんだ」まごつきながらもしっかり訂正するフェヴラ。
「それはいいが……何で俺なんだ?」
アウグは先日の二人の問題児の件を思い出していた。あの時は、己のギルドカードの称号を“お手伝いさん”にしたばっかりに起きた不幸な事案だったが、その一件で学んだアウグは、既に称号を抹消している。
にも拘らず、育ちの良さそうなお嬢様、と言った風情の女が、名指しでアウグを指名する理由が全く以て不明だった。
「それはわたくしからお話し致しましょう」こほん、と空咳をする老爺。「申し遅れました、わたくし、マルヴェシア家の執事長を務めております、ヒツと申します。以後お見知り置きを」
「お、おう」
マルヴェシア家と言うのが貴族の名前なのか富豪の名前なのか、分からないまでも何と無くそういうものなのだろうと察するアウグ。
「マルヴェシア家は代々ハンターズギルドを支えてきた名家の一つでして、ハンターとは切っても切れない関係なのですが……」そこで若干暗い表情を覗かせる老爺・ヒツ。「あくまでハンターズギルドを支えるのが家業であって、ハンターを生業にはしてこなかったのです」
「へぇー。何か不思議な感じがするな」適当に相槌を打つアウグ。
「そんな折、お嬢様が突然ハンターになりたいと世迷言を言い始めまして……旦那様の必死の説得も空しく、こうしてハンター登録を済まし、ここまで来てしまった次第でして……」
「お、おう。そりゃ大変だったな」ヒツの苦労に思わず共感してしまうアウグ。
「何とかお嬢様にハンターとしての活動を諦めて頂きたく……おほん、ハンターとして活動する事の難しさを学んで頂きたく、ギルドマスターに飛びっきりの問題児……おほん、飛びっきりの優秀なハンターを紹介して頂きまして、一度ハンターとして狩場を体験し、ハンターを諦めて……おほん、ハンターとして実績を積んで頂きたいと思っております」
「お前さっきから本音みみり出てるけど大丈夫か?」白目を剥かざるを得ないアウグ。「まぁ、話は何と無く分かった。このお嬢さんに一度ハンターを体験させてやりゃいいんだろ?」
「おぉ、話が通じる方で助かります。てっきり言葉が通じないレヴェルの野蛮人かと」「お前さっきから失礼にも程が有るよね!? それが人に物を頼む奴の態度か!?」ホッと胸を撫で下ろしているヒツにカンカンのアウグ。
「じゃあ僕をクエストに同行させてくれるのかい?」嬉しげに表情を華やがせるフェヴラ。「ありがとう! 先輩みたいな優しい人に同行できるんだから、じいも安心だよね?」
「もももも勿論安心ですぞ?」ガタガタと歯を鳴らしてアウグを睨み据えるヒツ。
「安心の欠片も無いよね!? 不安しか感じてないよね!? こんな奴に同行させて悪かったな!!」気分が悪そうにジョッキをテーブルに叩きつけるアウグ。「えーと、何だっけお前、フェ……」
「僕の事はお嬢、って呼んでおくれよ、先輩」微笑を浮かべるフェヴラ。「屋敷でいつもそう言われてるから、その方が呼ばれ慣れてるんだ」
「おう、そうか。じゃあお嬢、お前行きたいクエストとか有るか?」ハチミツミルクを飲みながら尋ねるアウグ。「ハンターとしての活動の基礎と言えば採取だから、まずは採取からの方が――」「僕、ウルクススを狩猟してみたいんだ!」「は?」
希望に満ち溢れた眼差しでアウグを捉えるフェヴラに、アウグはだばだばとハチミツミルクを零して自分の耳を疑った。
「……なんて?」
「ウルクススを狩猟してみたいんだ!」
キラキラした瞳には、見覚えが有った。つい先日見たばかりで、忘れられる筈も無いものだ。
「……お前、ハンターになったばかりなんだよな?」確認するように尋ねるアウグ。
「うん、ついさっきギルドマスターからこの街で活動していいって言われた所さ!」そう言ってギルドカードを見せるフェヴラ。
「……」フェヴラのギルドカードを受け取って覗いてみると、クエストクリア回数がゼロになっていた。「お前正気か? ウルクススって言やぁ、大型モンスターなんだぞ? 新米には荷が勝ち過ぎると思うんだが……」
「先輩がいるから大丈夫さ! 僕は何の心配もしてないよ!」拳を固めて自信満々に応じるフェヴラ。
「またかーまたそういう展開なのかー」頭を抱えてテーブルに突っ伏すアウグ。
「どうかお願い致しますアウグ様。お嬢様にハンターを諦めさせるため……おほん、ハンターの厳しさを教えるために、どうかご助力を……!」深々と腰を折るヒツ。
「……分かった、分かったよ」降参だ、とお手上げのポーズを取るアウグ。「これは俺だけの手じゃ負えねえから、ベテランハンターの力を借りる事にする。それでいいな?」
「先輩がそれでいいなら、僕は構わないよ」ワクワクした表情を崩さないフェヴラ。「あ~楽しみだな~ウルクスス、どんな奴なんだろう~♪」
「して、アウグ様。ベテランハンターの当ては有るのですか?」改めてアウグを正視するヒツ。
「うーん、当ては無いけど、集会所なんだから、クエストメンバーを募集すれば、誰かしらやってくるって」残っていたハチミツミルクを飲み干すアウグ。「或いはハンターランクの高そうなハンターに声を掛ければそれで問題無いだろ」
「先輩は凄いね! 自分よりもランクの高い人にも物怖じせず声を掛けられるなんて!」尊敬の眼差しを向けてくるフェヴラ。
「お、おう、そうか?」照れ臭そうに鼻の下を擦るアウグ。「まぁ見てろって、今適当な奴に……声……を……」
立ち上がろうとしたアウグの前に人影が落ちていた。
二人分の人影が。
「……済まん、お嬢。今回のクエストの安全の保障は出来ねえや……」
爽やかな涙を流すアウグの前には、オクトーとエネロが邪悪な笑みを浮かべて立ち開かっているのだった。

【後書】
お待たせ致しました、【教えて!狩人先輩!】第2シーズンの開幕です! 今回も毎週火曜に更新して参ろうと思いますので、どうか最後までお付き合い頂けたらと思います。
そして今回から表紙も変わりまして、遂に4人のハンターが出揃いました! ハイテンションハンティングアクションストーリーの4人目……一体どんな問題児……おほん、どんな楽しいキャラクターとして問題を起こす……おほん、どんな活躍するのか!? 次回もお楽しみに!!

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