2018年5月27日日曜日

【教えて!狩人先輩!】第19話 続ける? ハンター活動!【モンハン二次小説】

■タイトル
教えて!狩人先輩!

■あらすじ
新米なのに先輩ハンターにされた少女のドタバタコメディ奮闘記。
※注意※2016/05/31に掲載された文章の再掲です。本文と後書が当時そのままになっております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【ハーメルン】の四ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
R15 残酷な描写 モンスターハンターダブルクロス MHXX ライトノベル コメディ

■第19話

Fantia【日逆孝介の創作空間】https://fantia.jp/posts/9192
Pixiv■http://www.pixiv.net/series.php?id=635565
ハーメルン■https://syosetu.org/novel/69877/

第19話 続ける? ハンター活動!


「クエストは失敗だ!」

 四季の街・テンプスに帰ってきた五人は、集会所の一角で反省会を開いていた。
「お嬢様。これでお分かりになったでしょう? ハンターとして活動する事の難しさを痛感されたと思います。無理にハンターを続ける事は有りません。再考してください」ヒツがフェヴラの前に紅茶を差し出し、アウグにふざけた表情を見せながら告げる。「失敗した事でゼニーも減るのですぞ? このままでは生活にも支障を来たすようになります。お嬢様がそんな苦労を強いられるいわれなど御座いませぬぞ」
「……」紅茶の入ったカップを握り締めながら、沈痛な面持ちで俯くフェヴラ。
「それに、お嬢様がヘマを踏んだ事で失敗したようなものです。ハンターとは斯くも過酷な稼業だと言う事を、身に染みてご理解された筈です」アウグに向けていたふざけた表情が鳴りを潜め、フェヴラに朗らかな微笑を見せるヒツ。「帰りましょう、我が屋敷に。お嬢様はそこでこそ輝く宝石なのですから」
「おいジジ――」オクトーが声を荒らげようとしたのを、アウグが手で制す。「先輩……?」
「……確かに、僕のせいでクエストは失敗した……けど、僕は……」
「クエストに失敗したと言う事は、ハンターとしての適性が無かったと、そういう事ではありませんか? 筆記試験も、実技試験も、お嬢様は合格点に達さなかった……それがどういう意味か、お嬢様にはお分かりの筈です」
 容赦の無い言葉の暴力に、フェヴラは押し黙る形で俯いている。それをアウグは止めようとしなかったし、オクトーやエネロに止めさせようともしなかった。
 それをオクトーは不満そうに見つめていたが、隣でエネロが意味深な笑みを覗かせて「大丈夫よ、先輩に任せなさい」とそっと耳打ちしたので、不承不承腰を下ろすのだった。
「――お嬢様」厳しい声で、ヒツはトドメを刺すべく言葉を叩き込む。「ハンターの世界は過酷です。適性の無い者が生き残れるほど甘くは無い。今回の狩猟で、それを実感されたのではありませんか?」
「それは……」
 フェヴラは見なくても分かるほどに心が折れそうになっていた。味方に回ってくれると信じていたアウグが何も言わずに、ただ静観している状況が、更に彼女を責め立てる。
 やはり自分はハンターに向いていないのか。ハンターを目指すべきではないのか。ハンターを、辞めるべきなのか。
 観念するように、瞑目するフェヴラ。アウグにこれ以上迷惑を掛けるのは、良くない。自分を奮い立たせてくれた恩人に対して仇で返すのは、いけない。
 そう思い、フェヴラは下したくない結論を口にしようと顔を上げ、――アウグの真剣な表情を見た。
「――“そんな理由”で、ハンターを諦めちまってもいいのか?」
「…………え?」
 アウグの言葉に、フェヴラは息を呑む。何を言われたのか瞬時には理解できず、返答にまごついてしまう。
 アウグはフェヴラを見据えたまま、ゆっくりと舌を動かした。
「お嬢。お前には確かにハンターとしての適性は無いかも知れない。実力も無い、知識も無い、技術だって無い。クエストも失敗した。死にかける目にだって遭った」そこまで言い連ねると、アウグは挑発的な笑みを浮かべた。「“それが何だ?” そんな理由で諦めちまうほど、お前にとってハンターってのは、ペラッペラなもんなのか?」
 瞠目するフェヴラ。アウグの発言が、あまりに突飛に感じて、言葉を失ってしまった。
 二の句を継げられないフェヴラに、アウグは鼻息を落として、改めて彼女を見据える。目を合わせ、しっかりと伝わるように、一言一句噛み締めるように、告げる。
「適性が無くたって、実力が無くたって、知識が無くたって、技術が無くたって、クエストに失敗したって、死にかけたって、諦めずにハンターを続けてる奴こそが、本物のハンターだ」断言するアウグ。「外野の雑言なんざ聞き入れる必要がねえんだよ。大事なのは、お前がどうしたいかだ」
 そこまで言うと、アウグは肩の力を抜くように脱力し、微笑を覗かせた。
「いい機会だから教えといてやる。ハンターになるための条件って奴だ」
「ハンターになるための、条件……?」反芻するフェヴラ。
「そうだ。ハンターになるための条件。それは――」一拍置くと、アウグはニヤリと笑い、「――ハンターになりたいって強い想い、それだけ有ればいい」そう言って、テーブルに運ばれてきたハチミツミルクを口に運ぶ。
「……ハンターになりたいって、強い、想い……」
 心の中に浸透していく、温かな言葉。フェヴラは何かを掴んだかのように、ハッと表情を移ろわせた。「先輩、僕……!」
「おう、何だ」ジョッキを下ろし、アウグはとぼけた表情でフェヴラを見据える。
「僕、もう一度ウルクススに挑みたい!」立ち上がり、アウグの手を取るフェヴラ。「もう一度、僕に力を貸して欲しいんだ!」
「お嬢様!?」素っ頓狂な声を上げるヒツ。「なりませんぞ! あんな危険な真似は許容しかねます! どうかお屋敷にお戻りください!!」
「おうジジイ」フェヴラに縋りつこうとするヒツの前に立ち塞がるアウグ。「俺はな、お前の気持ちが分からない訳じゃないんだ」
「何を……?」困惑した様子でたたらを踏むヒツ。
「危険な場所に、大事な奴が連れて行かれるのは、すげぇ不安になるし、心配だって尽きねえ。――けど、だからってずっと箱の中って訳には、いかねえんだよ」真剣な表情でヒツを見据えるアウグ。「永遠に籠の中の鳥って訳にゃぁ、いかねえんだよ」
 それがアウグにとって何を意味する言葉なのか、その場に居合わせる者の誰も理解できなかったが、フェヴラを箱入り娘のままにさせたくないと言う意志だけは、全員に伝わった。
 ヒツもそれに関してはぐうの音も出ないのか、歯軋りするだけで反論はしなかった。分かっているからこそ否定したかったし、分かりたくないからこそ何も言えなかった。
「お嬢だって、お前に心配を掛けさせたい訳じゃねえんだ。お嬢なりに、立ち向かおうとしてるんだよ。それを、分かってやって欲しい」
 そう言って、アウグは頭を下げた。突然の低頭にヒツだけでなく三人の娘も瞠目する。
「俺だって新米のハンターだから、力を貸してやるって言っても高が知れてる。けどな、ハンターになりたいって奴に、適正が無いだの、実力が伴ってないだの言って辞めさせるのは間違いだって、俺は思ってる。そいつが自分の意志で、もうハンターは続けられないって思った時、初めてその選択肢を選べるんだって、思うんだよ。だから……お前には悪いが、俺はお嬢に手を貸すぜ」
 頭を下げたまま、アウグは告げる。自分の想いと、フェヴラへの想いを。
 ヒツは何も言えず、アウグを見下ろす事しか出来なかったが、やがて観念したように溜息を落とした。
「……そこまで仰るのであれば、わたくしからは何も言えません。頭を上げてください、アウグ様」アウグが顔を上げたのを見計らい、ヒツは真剣な表情で彼女の目を見据える。「お嬢様を、お頼み申し上げます」
「あぁ、任せとけ!」ドンッと胸を叩くアウグ。
「えっ、先輩どうなったんすか! 急に頭がおかしくなって変な事を言ってたみたいっすけど、話はどうなったんすか!」
 オクトーが騒ぎ始めたのを見て、アウグの額に青筋が走り始めた。
「頭はおかしくなってねーし変な事も言ってねーよ!! すこぶる真面目だよ!!」カンカンのアウグ。「それと!! 俺はいつでも真剣だ!!」
「私も真剣ですよ? 真剣に先輩と交尾したいって」スパァンッ、とエネロの頭を叩くアウグ。
「先輩、有り難う! 僕、もう一度頑張ってみるよ!」アウグの手を握り、目元に涙を浮かべるフェヴラ。「だから、まずはゼニーを貸しておくれ!」
「おう! って、何言ってんの!? 何でお前にお金を貸さなきゃならないの!?」思わず気前の良い返事をしてから違和感に気づくアウグ。
「まずは装備を揃えてからって、僕気づいたんだ! だからまずはお金を」「自分で稼がんかーい!」スパァンッ、とフェヴラの頭を叩くアウグ。
「良かった、いつもの先輩っす! ツッコミが鋭くて、律儀にツッコミを入れる、いつもの先輩っす!」ホッと胸を撫で下ろすオクトー。
「そうね、真剣な先輩も素敵だけれど、突っ込んだり突っ込まれたり抜き差ししたりする先輩の方が素敵よね……」はぁはぁと呼気が荒いエネロ。
「先輩が一番輝いてるのは、やっぱりツッコミの時って事だね!」グッと親指を立てるフェヴラ。
「お・ま・え・ら・なぁ……っ!」
 ギリギリと拳を固めて殴りかかろうとしているアウグだったが、それ以上の暴行には及ばなかった。
 それを眺めていたヒツが「完敗ですな」と言ったのが、聞こえたような、聞こえなかったような……

【後書】
 クエストを一度失敗したからってもうクエストに挑まないってのは、ちょっとネー(よそ見)。
 はい、斯く言う私がそういうクソッたれハンターな訳ですが、先輩ならね、きっとこう言ってくれるって信じてた!(キラキラした瞳
 先輩が言うように、適正がうんたん、実力がうんたんと言う輩は関わり合いにならなくていいです。適性が無くても実力が無くても好きで続けた者こそ強くなるのですから。
「好きこそものの上手なれ」と言う言葉を覚えて今日は解散です! お疲れ様でした!

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