2018年5月8日火曜日

【ベルの狩猟日記】035.爆弾危険指定区域【モンハン二次小説】

■タイトル
ベルの狩猟日記

■あらすじ
守銭奴のベル、天然のフォアン、爆弾使いのザレアの三人が送る、テンヤワンヤの狩猟生活。コメディタッチなモンハン二次小説です。再々掲版です。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【風雅の戯賊領】、の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
モンハン モンスターハンター コメディ ギャグ 二次小説 二次創作 P2G

■第35話
【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/135726/

035.爆弾危険指定区域


 クェレツン密林には幾つかの洞窟が存在し、エリア7と呼ばれる区画に在る洞窟は、中でも一番の広さを誇っている。崩落のために偶然できた大穴――つまり今、入って来た場所から外へと繋がっている。
 三人の猟人はその中程まで走ると、滑り込むようにして停止した。
「はぁ、はぁ、――はぁ、ちょっとエル! 話が違うんじゃない!?」
 肩を上下させながら、ベルが怒気と共に不満をブチ撒ける。
 対するエルはすぐに呼吸を落ち着かせたのか、「ふぅ、ふぅ、」と心臓の高鳴りを抑えるように胸に手を置き、ベルの方を見ずに言葉を返す。
「わ、わたくしも、亜種がいるだなんて、聞いていませんわっ。……ふぅ、……それにしても綺麗でしたわねぇ……あんな綺麗な桜色のモンスター、初めて見ましたわ……」
「はぁ、はぁ、……ババコンガも似たような色、してるじゃない……はぁ、」
「あ、あんな獣と一緒にしないで下さるかしらぁ!? あ、あんな汚らわしいモンスターと一緒にするなんて……お姉様はどうかしていますわ!!」
 散々な言われようにベルがどうしたものかと考えていると、フォアンが落ち着き払ったように肩に手を置いてきた。
「はぁ、はぁ、……何よ?」
「ベルの防具も同じ色だよな」
「…………殴られたい?」
 と言いながらベルがフォアンの頬に一発くれてやる頃には、エルの呼吸は納まっていた。
「あら? お姉様。ザレア様はどうなさいましたの?」
「あー……ザレアなら爆弾の準備が有るとかで消えちゃったわ」
「爆弾の準備……? ザレア様って、ハンマー使いではありませんの?」
 ここに来る時、確かに彼女は腰にハンマーを提げていた。グレートノヴァと呼ばれる、希少な鉱石ノヴァクリスタルを叩く部分に用い、それを固定する部分と柄にはバサルモスと呼ばれるモンスターの堅い殻を施し、更にフルフルから取れる電撃袋を鉱石に施した、雷属性の付加価値を懐くハンマーを。
 武具は言わば猟人のステータスでも有る。どんな武器を持っているか、どんな防具を纏っているか、それだけでその猟人が如何程の力量を備えているか判断する一因になる。ザレアのハンマーは、彼女が上位に位置する猟人であると証明する高価な代物なのである。防具は……別の意味で最強を冠しているが。
 そんなザレアの正体を知っているからこそ、ベルの顔には自然と苦笑が浮かぶ。
「……あの娘はね、真正の爆弾っ子なのよ。爆弾が無いと狩猟が出来ないと豪語する位にね」
「……それ、大丈夫なんですの? 猟人としてと言うより、寧ろ人として……」
「人として……はどうか分からないけど、猟人の腕は確かよ。ザレアには今までも何度と無く助けられてるし」
「ああ、ザレアは頼もしい仲間なんだぜ。格好を見れば分かるだろ?」
 フォアンが微笑を浮かべて口を挟んでくる。二人の少女は「確かに」と頷かざるを得なかった。頷いた後、三人で顔を合わせて苦笑を滲ませる。
 そこに、
「にゃにゃーんっ! 皆、何の話をしてるのにゃーっ!!」
 エリア7の洞窟には人間が行き来できる道が四つ存在する。先程三人の猟人が洞窟に入るために利用した大穴、緑地へと抜ける二つの穴、更に別の洞窟へと繋がっている、洞窟の上の方に存在する小さな穴。その最後の出入口――洞窟の上部に設けられた穴から、ザレアが跳び下りてきた。
 ずだんっ、と手を突いて着地を果たしたザレアは、三人の猟人を見回して、止まる。皆の顔に一様に「噂をすれば何とやら……」と書いてあったのだが、ザレアには何の事だか分からず、思わず小首を傾げてしまう。
「――ってザレア! あんた何、勝手な行動してるのよ!? 二人一組で行動しなさいってリーダーが言ったでしょ!」
 我に返ったベルの一喝が洞窟内に響き渡る。突然の怒気のこもった声に、ザレアは萎縮するように体を震わせ、ネコの被り物に手を当てて怯え込む。
「ご、ごめんにゃさいにゃ……っ、こ、今回こそは爆弾が無くにゃらにゃいようにしたかったのにゃ……っ」
「……えと、狩猟で爆弾が無くなるのは普通なのでは?」
 目を点にして、顎に指を添えて小首を傾げるエル。ザレアは手をブンブン回してそれを否定する。
「狩猟で無くにゃるのはいいのにゃけれど、途中で無くにゃると、オイラはもうどうしようもにゃくにゃるのにゃ! 最後の最後まで爆弾を使って狩猟したいのにゃ!!」
「そ、そうなんですの……」若干引き気味なエル。
「あれ、それはそうとザレア。その爆弾が一つも見当たらないんだけど」
 ベルが右手を瞼の上に翳して辺りを窺うも、大タルの姿はどこにも見受けられない。いつもならザレアの腰に提げられている小タル爆弾Gも鳴りを潜め、ポーチに入っているだろう数個以外は見つける事が出来なかった。
 ザレアはインナーでしか隠されていない胸を張り、「それはですにゃ!」とどこか自慢げに話し出す。
「いつ爆弾が尽きてもいいように、狩場の至る所にカモフラージュして隠しておいたのにゃ! これでもう、爆弾が尽きる事は有り得にゃいのにゃ!!」
「恐ろしくて狩猟が出来るかそんな狩場ッ!!」すっぱーんっ、と〈アイルーフェイク〉をブッ叩くベル。
 ネコの被り物を揺らしつつ、「あにゃ~?」とザレアが小首を傾げる。
「狩場のあちこちに爆弾が眠ってるのにゃよ? こんにゃ心ときめく空間が存在するにゃんて、夢のようじゃにゃいですかにゃ!!」
「悪夢よ!! 悪夢以外の何物でもないわよ!!」
「まぁ落ち着けよベル」
 ぽん、とベルの肩に再び手を置くフォアン。ベルはどこか苛立たしげにレックスシリーズの少年に視線を向ける。
「骨は俺が拾ってやるから」
「死亡フラグ立っちゃってるじゃない!? つか、あたしだけじゃないから!! あんたも一緒に死んじゃうから!!」
「仲間に看取られてあの世に旅立つ……悪くない終わり方だな」腕を組んで、うんうんと頷くフォアン。
「受け入れちゃダメでしょそこは!?」ツッコミを忘れないベル。
「お姉様っ、お姉様っ、わたくしここで死んじゃうのかしら!? まだっ、まだっ、やり残した事がたくさん有るのにぃ~っ!!」ふぇ~ん、と蹲って泣きじゃくり始めるエル。
「ザレアぁぁぁぁ―――――ッッ!! どうすんのよこのカオス!? 責任取りなさい!!」
「わ、分かったのにゃ……、ぐす、今、全ての爆弾を起爆してくるのにゃ……」めそめそしながら歩き始めるザレア。
「そうそう……って、んん!? 全部起爆したら逆に危ないじゃないそれ!? 待った待ったストォ――――ッップ!! 起爆しなくていいから!! 何かそれ密林が大変な事になっちゃいそうだから止めて――――ッッ!!」
 テンヤワンヤだった。

【後書】
 このやりたい放題やってくれる辺りがザレアちゃんの良い所です(笑)。
 自然破壊反対! って言いたい所ですが、ザレアちゃんを前にそんな事が言える訳が無かった…w
 今まで若干コメディ要素が少なかった反動か、突然はっちゃけましたけど、これがいつもの【ベルの狩猟日記】ですよね!w
 と言う訳で次回、第3章第9話にして、第36話!「青の群れ」…前哨戦の始まりです! お楽しみに~♪

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    こうして密林崩壊の危機は回避されたわけですねw
    ハラハラ・ドキドキなシリアス回も良いですが、
    別な意味でハラハラ・ドキドキしちゃうコメディ回も大好きですw
    わたしも彼女たちと狩りをしてみたいものですw
    場を和ます(荒らす?)チャットでは負けないぞぅv

    今回も楽しませて頂きました!
    次回も楽しみにしてますよーvv

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    1. 感想有り難う御座います~!

      密林崩壊の危機www確かに辛うじて回避されましたね!ww
      こういうドキドキしちゃうコメディ回も良いですよね!w 大好きと言って頂けてドチャクソ嬉しいです~!!。゚(゚^ω^゚)゚。
      えっ、これはもう「ベルの狩猟日記」にとみちゃんを登場させるしかないのでは…!?(ガタッ
      とみちゃんのチャット力が交わればこの場がカオスになる事必至じゃないですかやったー!ww

      今回もお楽しみ頂けたようで嬉しいです~!!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

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