2018年5月1日火曜日

【ベルの狩猟日記】034.リオレイア?【モンハン二次小説】

■タイトル
ベルの狩猟日記

■あらすじ
守銭奴のベル、天然のフォアン、爆弾使いのザレアの三人が送る、テンヤワンヤの狩猟生活。コメディタッチなモンハン二次小説です。再々掲版です。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【風雅の戯賊領】、の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
モンハン モンスターハンター コメディ ギャグ 二次小説 二次創作 P2G

■第34話
【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/135726/

034.リオレイア?


エリア3――砂浜の方まで樹木が侵食し、密林地帯ほどではないが視界があまり良好とは言えない狩場。砂浜の先には小島が浮かび、足許を水で濡らす事にはなるが、小島まで歩いて行き来できる。湖とは逆方向には洞窟への入口が二つも穿たれ、更に密林地帯へと誘う岩と岩の隙間に出来た道も確認できる。
「……話が、違うんじゃない……?」
エリア4からやって来たベルは、岩礁が作り上げた自然の道を通り抜け、エリア3の入口で双眼鏡を構えてしゃがみ込んでいた。拡大したレンズの中に映る巨像は、紛れも無く――飛竜種。だが、エルが言っていた飛竜種とは明らかに違っていた。
体長は人間の五~六倍は有ろうか。長い尻尾には確かに棘らしき突起が幾つも付随し、巨体が動く度に揺ら揺らと揺れている。堅牢そうな甲殻と鱗を纏い、両翼は広げると大人が何人でも入る程の大きさになる。それこそが『陸の女王』と呼ばれる、気品を感じさせる飛竜――リオレイアの証明になっていたが、その飛竜は体色が明らかにリオレイアのそれと異なっていた。
リオレイアは通常、深緑の鱗を纏っている。故に、別名『深緑の女王』とも呼ばれているのだが……ベルの視界に映るリオレイアの色は――鮮やかな桜色。密林と言う世界に於いて、明らかな異彩を帯びている。
――亜種。モンスターの中には通常の固体とは全く異なる体色を有するものが稀に存在する。ベルが纏っているフルフルDシリーズの基となっている赤いフルフルもそれに当たる。フルフルは通常、白色のブヨブヨした体色をしているが、稀に赤色のフルフルが存在する。そういう通常とは異なる色彩を放つモンスターを、猟人達は「亜種」と呼称している。
更に亜種は通常種よりも気性が荒いと言う話を、ベルは聞いた事が有る。亜種は極めて異例な色彩を放つ事から他のモンスターに狙われ易く、生き残るために更に強靭な肉体を有するに至る――らしい。そのため通常の固体に比べ、亜種は強いと言う噂が流布している。環境が気性を荒くさせる……らしい。
ベルは双眼鏡から目を離し、どうするべきか思考を纏める。
――亜種とは言え、通常種と似たような行動を取ると考えてもいいものかしら? 
とにかく狩猟を完遂せねばならない。ベルはポーチの中からペイントボールと呼ばれる手のひらサイズの球状の道具を取り出し、こっそりと忍び足で桜色のリオレイアに近づいて行く。
「グルルル……」
近づけば近づく程に、その巨体が露になっていく。双眼鏡とは違い、肉眼で見るリオレイアは一層巨大に感じられる。甲殻や鱗に隠れてはいるが、人間とは比べものにならない程の筋繊維を有しているのが分かる。巨体を支える足など、まるで筋肉の塊だ。
鮮やかな桜色が視界に焼きついて離れない。翡翠色の瞳がこちらを向いていないにも拘らず、潰れそうになる程のプレッシャーを感じる。ベルは自分が息を止めている事にも気づかず歩を進め、やがて――ペイントボールの射程に入った。
「グルゥ?」
リオレイアが不意に何かを感じ取ったのだろう。それは匂いか、気配か――何れにせよベルは気づかれたと感じ、刹那にペイントボールを放った。
ばちゃっ、と水音が弾け、桜色の甲殻に、鋭い臭素の混じった液が付着する。それを見届けたベルは、刹那に背中を向けた。長居は無用――仲間がいない今、一人でやり合うのは危険と判断した。
すぅ、と空気が吸引される気配。不味い――そう感じた時には、手遅れだった。
「ギャアアアアアアアアアアアアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」
バインドボイス――本能的に耳を押さえて蹲ってしまうベル。頭の中では危険信号が点りっ放しだった。ここで行動を凍結されるのは不味い――分かっているのに、体は本能に忠実に動き、完全に硬直している。
どしん、どしん、と地面が鳴動するような音が響く。見ずとも分かった。リオレイアが突進して来ている……!
咆哮による硬直が解けた瞬間、ベルは咄嗟に走り出した。地面の鳴動はもう間近に迫っている。このままでは追い着かれる――そう思った瞬間、咄嗟に左側へ――砂浜を越えて湖の中へ飛び込む。
頭から湖の浅瀬へ突っ込んだベルは、そのまま跳び込んだ反動を利用して前転し、更に湖の中へと体を埋没させる。
――凄まじい轟音が背中を掠めて行く。砂浜を削るような勢いで突っ込んで行ったのは言うまでも無く――リオレイアの巨体だった。彼女も頭から砂浜へと突っ込み、――筋肉の塊のような二本の足を使って素早く起き上がる。
「く――ッ」
起き上がるモーションが速過ぎる……! とベルが舌打ちする間も無く、桜火竜は向き直り、大きく息を吸い込む動作に移る。
――ブレス。
火球が飛んでくると分かっていても、すぐに体勢を立て直す事が出来ない。リオレイアの口の中が白熱する様が、離れていても画然と分かる。このままでは――――

「――目を!」

限り無く短縮された指示。怒号が張り上げられる直前に、リオレイアとベルの間に球状の道具が投げ込まれた。それを察知する間も無く、ベルは戦闘中にも拘らず両の瞼を閉じた。
――瞼の隙間から染み込む、昼の太陽よりも強烈な閃光。声の主――エルが閃光玉を放ったのだ。
再び瞼を持ち上げると、リオレイアが衝撃を受けたかのように頭を振って、踏鞴を踏む場面を拝む事が出来た。絶妙のタイミングで喰らったらしく、リオレイアの口から白熱した塊が吐き出される事は無かった。間一髪以外の何物でもなかった。
瞬間的に安堵の感情が込み上げてきたが、すぐに視界を巡らして閃光玉を投擲した猟人の姿を探す。すると、密林方面から二人の猟人が疾走して来るのが映った。先頭を行くのはフォアンで、続くエルは手を振ってベルに合図を送っている。“走れ、フォアンの行く先へ”――そう合図を受け取ったベルも、慌てて立ち上がって駆け出す。
全力疾走だった。飛竜種などの巨体を誇るモンスターに見つかると、どんな猟人であれ、平常心で走る事は不可能だ。両脚を跳ねるように上げ、両腕を力の限り振り、全速力でフォアンの向かう先――地底へ下りる洞窟へと駆けて行く。
「グルルルル……」
背後で桜色の巨体が、苛立ちのこもった唸り声を発していたが、ベルは構わず洞窟へ下りて行った。

【後書】
「リオレイア?」と言うタイトルからお察しのお相手、リオレイア? でしたw
いやまぁリオレイアなんですけどね!w 亜種ってだけで何だか特別な感じがするじゃないですか! 特異個体…辿異種…うっ頭が(仮病)。
さてさて次回、第3章第8話にして、第35話!「爆弾危険指定区域」…タイトル通り、密林が大惨事になります(笑)。お楽しみに!ww

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    深緑だとばっかり思ってたらまさかの桜色w
    亜種…強かったですよね!体力も多かったような気がします。
    肉質も硬い部分があったり、攻撃パターンもちょっと違ったり。
    でもでも、作れる防具が綺麗な桜色だったので頑張りましたよw

    今では精錬とかいうシステムのおかげで、
    そのデザインを全く見ることもなく、
    装飾品化してしまうことも多くなりました。

    おっと、愚痴はここまでだw

    ピンチには閃光玉!覚えておくといい。

    さてさて次回!どう考えてもあの娘が大活躍しそうですw
    大丈夫か密林w

    今回も楽しませて頂きました!
    次回も楽しみにしてますよーvv

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    1. 感想有り難う御座います~!

      ですです!w まさかの桜色です!w
      モンハンの設定上でも亜種って原種より強い、ってなってるだけあって、Game上でも中々の膂力でしたよね…!
      肉質だけでなく弱点属性も原種と異なっていて、攻撃パターン含め、覚える事がたくさん有るので、初めて狩猟した時は中々苦戦した記憶がw
      やっぱり桜色の装備は欲しくなりますよね!w 特に女の子の装備はそれはもう可愛くてな~!w わたくしも装備欲しさに通いましたとも!w

      もう実装されてるかもですけど、外装で桜レイアの装備が有るのならまたワンチャン有りそうな気がしますけどね…!
      昔の装備も、今のような華やかさは無くても、それでも好きっ、って装備はたくさんありますからね~! ゲリョスUの頭とか…!(;゚∀゚)=3ハァハァ

      ピンチには閃光玉! 覚えましたし!!

      そして次回は、そうです!w あの娘がまた大活躍の予感です!w
      密林逃げてぇーっ!ww

      今回もお楽しみ頂けたようで嬉しいです~!!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

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