2018年6月26日火曜日

【教えて!狩人先輩!】第32話 狩りたい! リモセトス!【モンハン二次小説】

■タイトル
教えて!狩人先輩!

■あらすじ
新米なのに先輩ハンターにされた少女のドタバタコメディ奮闘記。
※注意※2018/03/05に掲載された文章の再掲です。本文と後書が当時そのままになっております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【ハーメルン】の四ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
R15 残酷な描写 モンスターハンターダブルクロス MHXX ライトノベル コメディ

■第32話

Fantia【日逆孝介の創作空間】https://fantia.jp/posts/41305
Pixiv■http://www.pixiv.net/series.php?id=635565
ハーメルン■https://syosetu.org/novel/69877/

第32話 狩りたい! リモセトス!


「着いたな! ここが古代林だ! すげーだだっ広い草原が在ったり、鬱蒼とした森林地帯が在ったり、洞窟が在ったりと、まぁ色んな地帯が併合したような狩場だな!」

 ベースキャンプの準備を終えたアウグが、四人を前に説明を始めた。
 山間に設置したベースキャンプの眼下には、大きな規模の森林地帯と草原地帯が見下ろせる。
 ここに来るまでに竜車で半日、それから飛行船で半日と、随分と時間が掛かっていた。
 古代林とは、未開拓の島の山間に飛行船で乗り付けた先の、島の内部に当たる狩場だ。未調査の領域であるために、新米のハンターが訪れるような場所ではないのだが、近年、熟達のハンターの功績によって、少しずつ下位のハンターにも狩猟が解禁されつつある、現在ホットな狩場の一つでもある。
「ナルガクルガはこの狩場にいるらしいが、俺は今回、ナルガクルガがどこにいるかとか、そういう情報は仕入れてねえ。ガチの狩猟をしてこそ、俺はナルガクルガと対峙する価値が有ると思ってるからな!」うんうんと腕を組んで頷くアウグ。
「職務怠慢っす! ちゃんと下調べしてくれないと困るっすよ先輩!」ズバァッ、と挙手するオクトー。「自分達が楽できないじゃないっすか!」
「何で先輩に下調べさせる前提で狩場に来てるんだよお前は!?」スパァンッ、とオクトーの頭を叩くアウグ。「ハンターは個々人でしっかり下調べをする! 先輩に頼ってばかりじゃいけねえんだよ!! 分かったか!?」
「そんな……そしたら先輩の存在価値が……」「無くならないからね!? 俺の存在価値、まさかの下調べしかないんて嘘だよね!?」ガックガックと青褪めたオクトーを揺さ振るアウグ。
「奥さんったら仕方ない人ですね。私はしっかり下調べしてきたと言いますのに……」やれやれと肩を竦めるエネロ。
「えっ、エロ姉さんが下調べってもうその字面から嫌な予感しかしないけど」既に仏顔の準備が万端のアウグ。
「ナルガクルガの性癖、性病の有無、好みのタイプ、異性の好きな部位、何でもござれです!」満面の笑みのエネロ。
「お前はナルガクルガを落としに来たのか!? 合コンか!? これからお前はナルガクルガと合コンでも始めるつもりか!?」スパパパァンッ、とエネロの頭を連続で叩くアウグ。「てかよくそんなの調べ上げたね!? 俺は時折お前の情報網に恐怖を感じずにいられねえよ!!」
「僕は何も調べてないよ!」「うん、知ってた」スパッと手を挙げたフェヴラの手をそっと戻すアウグ。
「そういう訳だ! 俺達はこの現地、古代林でナルガクルガを知っていかなきゃならねえ! 狩りこそ自然との対話だ! 戦いの中で攻略法を見つけるんだ!! いいな!?」
「つまり、行き当たりばったりって事っすね!」「言うな!」スパァンッとオクトーの頭を叩くアウグ。
「分かりました……ナルガクルガ、必ず攻略してみせますわ……!」「うん、エロ姉さんは真面目にしてても意味深にしか聞こえないんだよなぁ……」エネロを仏顔で見つめるアウグ。
「つまり、行き当たりばったりって事だね!」「言うなって言ったよね!? 何で二回言った!? 大事な事なの!?」スパァンッとフェヴラの頭を叩くアウグ。
「賑やかなハンターですね」
 ベースキャンプに作った小さな椅子の上で、ルイルがハチミツミルクをコクコク飲みながら、ぽつりと感想を零した。
「済まねえな、いつもこうなんだ」ばつが悪そうに頭を掻くアウグ。「つー訳でよ、ルイルはここで留守番しててくれよな。ここにはモンスターが来る事はねえと思うけど、万が一が有ったらすぐ呼んでくれ。飛んでくるからよ!」ニカッと笑いかける。
「先輩、空を飛べたんすね!」「違う、そうじゃない!」スパァンッとオクトーの頭を叩くアウグ。
「先輩、そんな早くイケるなんて、早漏なんですか?」「やかましい!!」ドゴォッ、とエネロの鳩尾に拳を叩き込むアウグ。
「先輩の跳躍力は尋常じゃないね……!」「お前ら言葉知らなさ過ぎだろ!!」パァンッ、とフェヴラの頬を平手打ちするアウグ。
「駆けつけるって意味だよ!! と言う訳で、行ってくるぜ! オラ行くぞ手前ら!!」
 三人を引き連れてベースキャンプを後にするアウグに、ルイルは小さく手を振って見送るのだった。

◇◆◇◆◇

「! 先輩! あれ見て欲しいっす!」
「ん?」
 オクトーの指差す先には、ハンターの何倍も有ろうかと言う巨大な竜が闊歩していた。
 ベースキャンプから坂を下り、巨大な山の間に広がる水源地が、エリア1――今、アウグ達が踏み入れたエリアだった。
 巨大な滝が水飛沫を上げて狩場全体を潤し、草木も心なしか他の地域よりも青々と茂っている。
 危険な肉食竜の気配が無いこの狩場で、水辺で喉を潤している草食竜の姿が窺えた。
「アレ、ヤヴァくないっすか!? あんな大きい竜に襲われたら一溜まりも無いっすよ! アレがナルガクルガっすか!?」
「違う違う! アレはナルガクルガじゃない!」草食竜に襲い掛かっていこうとするオクトーを羽交い絞めにして吠えるアウグ。「アレはリモセトスと言って、古代林に生息する草食竜の一種だ!」
「つまり生肉の事だね!」涎をハンカチで上品に拭いながら告げるフェヴラ。
「お、おう、まぁ、間違っちゃいないが……」
「リモセトスの背肉は特に美味しいって評判なんだよ!」アウグに詰め寄るフェヴラ。「“厚切リモ背肉”って、最高の食材として有名でね、ステーキにした時のあの肉汁の滴り……じゅるり、もう僕我慢できないよ! シェフ! シェフを呼んでくれ!」どこから取り出したのか呼び出し用のベルを掻き鳴らし始めた。
「煩い!!」スパァンッとフェヴラの頭を叩いて呼び出し用のベルを奪い取るアウグ。「あいつの肉が美味いのは分かったから落ち着け!! 今回の標的はあいつじゃなくてナルガクルガ!! OK!?」
「そんな……! 目の前にリモセトスがいるのに、背肉を剥ぎ取らないなんて……っ! 先輩はハンターの風上にも置けないよ!!」地団太を踏み始めるフェヴラ。
「風上にも置けねえのはテメエだァァァァッッ!!」ドロップキックをフェヴラの脇腹に叩き込むアウグ。「良いか!? 依頼に関係無いモンスターを狩猟し続けたら、その狩場の生態系が狂っちまうんだよ!! 狩猟するにしても必要最低限にしろ!!」
「厚切リモ背肉って、高級料理店でも取り扱う、最上級食材って聞きますわね……」ポツリと呟くエネロ。
「ぐっ……」拳を固めて動きが鈍るアウグ。
「一度食べたら忘れられない程の美味しさって聞いた事が有るっすね……」ポツリと呟くオクトー。
「ぬぐっ……」動きが固まってしまうアウグ。
「素材一つで、どれだけの金策になるだろうね……」ポツリと呟くフェヴラ。
「~~~っ、分かったよ! 一頭だけな! 一頭だけだからな!!」
「流石先輩っす! 話が分かるっす!」「先輩の判断力の速さには感服致しますわ♪」「そうと決まれば早速……あれ?」
 四人の周りに、影が差していた。
 見上げると、怒りの形相で四人を見下ろすリモセトスの姿が有った。
「あ、あるぇー……? 温厚な性格って、聞いてたんだけど、なー……?」
 ――その後、リモセトスに散々追い駆け回されて泣きながらエリアを移動する四人の姿を、ベースキャンプから双眼鏡で見てしまうルイルなのだった。

【後書】
 このリモセトスって草食竜、本当にドチャクソ大きくて、観た感じ飛竜種以上の大きさが有ったりします。生肉を剥げる最大規模のモンスターだと思われます!
 尤も、草食竜である事には変わりないので、新米ハンターのこんがり肉になる運命になるモンスターなのですが、そんなモンスターに追い駆け回されて涙目になる彼らが本当に最高だなって!(ご挨拶)
 と言う訳でいよいよ狩場にやってきた一同ですが、今回は今までの話とは異なる展開で物語が進みますので、ぜひぜひ楽しみにお読み頂けたらと思います!
 それでは次回、第33話「分かる!? アイルー語!」…あの可愛いアイルーがまさかのアレって言うお話です。お楽しみに~♪

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