2018年6月25日月曜日

【物拳】〇〇しないと出られない部屋【僕のヒーローアカデミア二次小説】

■タイトル
〇〇しないと出られない部屋

■あらすじ
“物間が消えないと出られない部屋”。
相思相愛系物拳です。色々捏造設定注意!

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、【Pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 物間寧人 拳藤一佳 物拳 ヒロアカ


Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9785206

■〇〇しないと出られない部屋

※色々捏造設定なので、なんでも許せる方向けのお話だよ!


「あれ? ここ、どこ……?」

目を覚ました拳藤の前には、座り込んだ物間と、一面真っ白の壁しか映らない。
ぐるりと視界を回しても、自分が真っ白な空間に閉じ込められていると言う事実しか分からなかった。
「拳藤、これを見てくれ」
物間が指差す先に視線を向けると、一枚の紙切れが落ちていた。
這い寄って中を検めると、簡潔にこう記されていた。
“物間が消えないと出られない部屋”
「物間が消えないと出られない部屋……?」文面をまるっと唱える拳藤。「どういう事これ?」
「分からん。だけど、どうやら条件をクリアしない限り、この空間が維持される……そういう個性なのかも知れない」
難しい表情で応じる物間。その視線が上に向く。
拳藤がその視線を追って顔を上向けると、そこには監視カメラと思しきものが映り込んだ。
「……ヴィランの仕業?」ひそ、と物間に囁きかける拳藤。
「かも知れないね」応じる物間の声も潜められる。
「うーん、でも見渡す限り……」拳藤は立ち上がって周囲の壁にペタペタ触るも、「条件をクリアする以外に手段無さそうだね、こりゃ」と結論付けた。
「うん、そうなるね」
物間は応じながらも、どこか上の空だった。
それもその筈。物間には拳藤が置かれている状況を事前に教えられていた。
“条件をクリアしない限り出られない部屋を形成する”個性、“密室”。その個性を使った、或る種の授業なのだ。
今回拳藤に出された条件は「物間を消す」と言う事。この条件をクリアしない限り密室は解けない。
物間自身は、この密室を解く答を既に理解しているし、拳藤に教える事も可能だ。だが、それでは拳藤の成長に繋がらないと言う理由で、教諭陣から物間に対して「拳藤に対して一切の助言を与えるな」とキツく言い含められていた。
予め答を言っておくと、拳藤の個性で物間の体を包み込み、監視カメラに映らなくする事で条件を満たすのだが……
「物間を消す……物間を消す……」ブツブツと呟きながら自問自答を繰り返す拳藤。「物間を……ころ……消す……」不穏な呟きが漏れ始めた。
「――拳藤。言っとくけどアレだよ? 消すって、殺害の事じゃないと思うよ僕。うん、絶対にそれは有り得ないし、アレだよ? それもうヒーローとして超えてはならない線をぶっちぎりでオーヴァーする奴だよ言っとくけど?」いつもの表情なのに冷や汗が止まらない様子の物間。
「そうだよね、ちょっとそんな気もしたけど、そうだよね」物間の冷や汗が加速していく!「物間を……消す……。――――!」何か思いついたのか、拳藤が両手を巨大化させた。
(――! 流石拳藤だ、これぐらい、すぐに気づくよね)
ちょっと頭の足りない生徒が難無く問題を解いた時の教師の顔でほっこり微笑みそうになった物間だったが、突然巨大化した手で叩き飛ばされ、物間の右半身が真っ白な壁に叩きつけられた。「へもっしッ!」凄まじい形相で気の抜ける悲鳴が漏れた。
「…………え? なに? 何で僕、突然攻撃されたの……?」歯の間から血を流しながら狼狽える物間。
「えっ? いやほら、物間をすり潰して消すのかなーって」てへへ、と恥ずかしそうに微笑む拳藤。
「嘘でしょ……」絶句の態の物間。「すり……えぇ……すり潰して消すって、もうそれ殺害の方がマシに思える事案なんですけど……」声に張りが無くなっていた。
「そうかなぁ、良い線言ってたと思うんだけど」「嘘でしょ……」どんどん物間の顔色が悪くなっていく。
再び拳藤が「物間を消す……物間を……消す……」と不穏な呟きを繰り返し始めた。
(今更だけどヤバくないこの状況? 僕、ともすれば死ぬ奴じゃないこれ??)
拳藤のあまりの察しの悪さに段々と恐怖を感じ始める物間だったが、そんな折突然拳藤が「――あぁ! やっと分かったよ物間!」と指をパチーンッ、と鳴らして、得意気な顔をして手を巨大化させた。
(良かったーッ! そうだよな! 拳藤の機転の良さ、頭の回転の速さはB組一! これで僕は開放され――)
物間の前に立った拳藤は、巨大化した両手を全力で振り回し、物間に盛大な風圧を叩きつけた。
「――ッ! ――ッ!」風圧で顔がメチャクチャに歪む物間。「――ちょッ、なになにッ!? 何で僕に全力であっち行けみたいな事してるの!?!?!」ともすれば風圧で吹き飛ばされそうになっている。
「えっ? ほら、あれだよ。物間を風化させて、物理的に消す、みたいな?」得意気に人差し指を立てる拳藤。
「えぇ……」物間の顔が見る見る暗澹たる色に染まっていく。「風化って、どれだけの時間掛ける気なの君……」
「あっ、それもそうか。うっかりうっかり!」てへぺろする拳藤。
物間の心が段々と風化を始める頃、拳藤はまたも「物間を消す……」と恐ろしい単語を繰り返し始めた。
(これは……ダメだな。そろそろ授業も終わる頃だ、ヴラド先生が止めに来る頃か……)
やれやれと重い腰を上げて答を言おうとした物間の前に、拳藤が立ち塞がった。
「――物間」
「ん?」
「手、出して」
「手?」
物間がよく分からずに手を差し出すと、拳藤はその手を掴み、自分の胸に宛がった。
「!?!?!」物間の頭が一気に沸騰する。
「えと、これで物間は社会的に消えた……で、どうかな?」赤面して、照れ臭そうに呟く拳藤。
(もう、それでいいんじゃないかな――――)
物間は鼻血を流しながら幸せそうな顔をして昇天し、その後B組の生徒に散々問い詰められる事になるのだった。

【後書】
いつか綴ってみたかったシリーズの一つ、「〇〇しないと出られない部屋」です!
このシリーズ、R-18系のネタでも良かったんですけれど、思い浮かんだのがこれでした(笑)。
こう、何と言いますか、こういう拳藤さんも可愛い…可愛いですよね!?(同調圧力)
物間君を大変な目に遭わせるのが面白過ぎたのでまたネタが浮かんだら大変な目に遭わせたいですね!w

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