2018年6月3日日曜日

【教えて!狩人先輩!】第26話 宿泊! ゲストハウス!【モンハン二次小説】

■タイトル
教えて!狩人先輩!

■あらすじ
新米なのに先輩ハンターにされた少女のドタバタコメディ奮闘記。
※注意※2016/07/19に掲載された文章の再掲です。本文と後書が当時そのままになっております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【ハーメルン】の四ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
R15 残酷な描写 モンスターハンターダブルクロス MHXX ライトノベル コメディ

■第26話

Fantia【日逆孝介の創作空間】https://fantia.jp/posts/9192
Pixiv■http://www.pixiv.net/series.php?id=635565
ハーメルン■https://syosetu.org/novel/69877/

第26話 宿泊! ゲストハウス!


「お帰りなさいませ、お嬢様」

 テンプスの街に戻ると、即座にヒツがフェヴラの元へ駆け寄って気遣わしげに様子を窺っていたが、大きな傷が無い事を確認すると安堵の溜息を零して改めてアウグに向き直った。
「此度の件、アウグ様にはとてもお世話になりました。一見蛮族のように見える方でも、少量ながら常識と知性を持ち合わせている事が分かった事、大きな収穫でした」ペコリと頭を下げるヒツ。
「おい、遂に建前が消失して本音がダダ漏れになってるぞお前」額に青筋が走るアウグ。「……まぁいいや。お嬢もこれでハンターの厳しさは分かったと思うしな。良い経験になったと思うぜ?」
「うん! 先輩のお陰でハンターがとっても大変な稼業だって、身に染みて分かったよ!」笑顔でアウグに振り返るフェヴラ。「それに……最後まで諦めずに挑戦する姿勢、一度の失敗で挫けない胆力、支給品は転売するとお金になる事……先輩から大切な事を一杯学んだって、今なら思えるよ!」
「おう、そうか。って待て待て、支給品の転売はやめとけよまじで? それハンターズギルドが黙っちゃいないから! 指名手配待ったなしだから!」慌てて訂正に走るアウグ。
「それで、お嬢はハンターを続けるんすか? それとも辞めちゃうんすか?」きょとん、と尋ねるオクトー。
「お前は本当に怖いもん無しだよな……」呆れた様子で溜息を吐くアウグ。「お嬢。これはお前自身の問題だ。今回のウルクススの狩猟を経て学んだ事を活かして、ハンターとして生きるか、ハンター以外の道を模索するか、お前が決めるんだ」
「僕は……」一瞬俯きそうになったフェヴラだが、すぐに顔を上げて笑みを覗かせた。「僕は、ハンターを続けるよ! もっと色んな狩猟を経験して、先輩に認めて貰えるような、伝説のハンターになってみせるよ!」
「伝説のハンターって……でかく出たな?」思わず苦笑してしまうアウグだったが、すぐに表情を改め、真剣な表情で拳を固める。「俺達もお前に負けねえような、伝説のハンター目指すからよ! また逢う時には、互いに誇れるハンターになってようぜ!」
「先輩……!」思わず涙ぐむフェヴラ。「……うんっ! 僕も先輩に負けない位素敵な伝説のハンターになるから! だから、約束しよう!」
「あぁ、約束だ!」
 アウグとフェヴラは拳をコツン、と交わして笑顔を見せ合う。
 いつか、そう……本当に伝説のハンターになった時、また逢えると信じて。
 アウグは、フェヴラに背を向けた。

◇◆◇◆◇

「ふあぁ~、疲れたなぁ……」
 ゲストハウスに戻ってきたアウグは、ベッドにダイヴしてそのまま動かなくなった。
 今までは問題児は二人だけで済んでいたが、更にもう一人増えた状態で狩猟を行ったのである、アウグの疲労は至極真っ当だった。
 ぐったりして寝転んでいると、部屋の扉がノックも無しに開く音が聞こえた。
「へぇ~、ここがゲストハウスなんだね! 素敵じゃないか!」
 聞き覚えの有る声。いや、ついさっきまで散々聞いていた声だ。
 アウグはやつれ果てた表情でベッドから身を起こすと、部屋の中にフェヴラが侵入している事を目視した。
「……おい、何してんだお嬢?」意味不明過ぎてこめかみがビキビキ疼き始めるアウグ。
「何って、宿泊の下見さ! これからハンターとして活動するための拠点がどんなものか見てみないとね!」ニッコリ笑顔のフェヴラ。
「お、おう、そうか……」疲れ果てて最早ツッコミを入れる気力が無いアウグ。「見学が終わったら帰れよ……」
「え? 何を言ってるんだい先輩」腰に手を当てて不満そうに口を尖らせるフェヴラ。「今日からここでお世話になるんだから、帰る場所はここだよ?」
「…………は?」一瞬頭が回らず生返事をしてしまうアウグ。「なんて?」
「説明致しますと、お嬢様は旦那様からの援助を完全に絶ち勘当された身。そんな新米ハンターであるお嬢様を一人にしておいては不埒な輩に狙われるかも知れません。故に、辛うじて知性と常識を持ち合わせた蛮族であるアウグ様の傍にいた方が二割ほど安全だと思い、このような措置を取らせて頂いた次第で御座います」
 突然降って沸いたヒツに鳥肌を立てながら跳び下がるアウグ。
「え、な、はぁ!? おい待てふざけんな、俺の了承は!? 俺の意志は完全に無視かてめえコラ!!」
「ごめんよ先輩……僕にはもう、先輩しか頼る人がいなくて……」しょんぼりと俯くフェヴラ。「ダメかい……?」ウルウルした瞳を見せ始めた。
「え、あ、お、おう……わぁーったよ、好きにしろ、ったく……」不承不承ながらも満更じゃない様子のアウグ。
「やったーっ! これで家賃が浮くっすね!」「えぇ、これで毎晩毎朝先輩の寝顔を見れると思うと、心が躍りますわね……!」
 いつの間にかオクトーとエネロも部屋の中に侵入を果たしていた。
「いやいや待て待て!? 何でお前らまで来てんの!? お前らにはちゃんとゲストハウスが――」「解約してきたっす!」「先輩と一つ屋根の下で暮らすのが夢でしたから……」「バカなの!? お前らはバカなのか!?」
 ……こうして、アウグの平穏の象徴たるゲストハウスすら乗っ取られ、姦しい生活は装いを新たに幕を開けるのだった。

【後書】
 と言う訳で今回のお話で第2シーズンはおしまいと相成りました! ここまでご愛読頂きまして、誠に有り難う御座いました!
 次回第3シーズンの公開は早くて秋、遅くとも冬に予定しておりますので、良かったら気長にお待ち頂けたらと思います! この問題児どもが伝説のハンターになるまで綴るのが夢ですが果たして……!
 そんな感じで一旦クールタイムを挟んで、また秋か冬にお逢い致しましょう! それでは~!

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