2018年7月6日金曜日

【神否荘の困った悪党たち】第36話 傷つくわぁ……【オリジナル小説】

■あらすじ
非現実系ほのぼのニートフルコメディ物語。宇宙人、悪魔、殺し屋、マッドサイエンティスト、異能力者、式神、オートマタと暮らす、ニートの日常。
※注意※2017/10/30に掲載された文章の再掲です。本文と後書が当時そのままになっております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】、Fantia【日逆孝介の創作空間】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
日常 コメディ ギャグ ほのぼの ライトノベル 現代 男主人公

■第36話

カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054881797954
Fantia【日逆孝介の創作空間】https://fantia.jp/posts/23783

第36話 傷つくわぁ……


「パパー! お家明るくなったけど、何だったのー?」

天井の無くなった洞窟の奥から、小さなドラゴンが出てきた。
「あれ? パパ……? パパ……?」
涙声になっていく小さなドラゴンを見て俺はもういたたまれなさがカンストしそうだった。
「にー君あれ見てよあれ」笑いを堪えきれない様子のシンさん。「子供のドラゴンが泣いてるぞ、ぷくっ、ぐひひ」外道を極め過ぎてる。
「もうこれ良心を痛めつけるどころの騒ぎじゃないですよ、魔族の平和を踏みにじってる感強過ぎて、しんど過ぎます」涙が出そうだよ。
「そこの幼竜よ! 貴様の親は死んだニャ! 我輩の地上……否! 宇宙最強の魔法でニャ!」声高らかに笑い始めるニャッツさんが今初めて宇宙最強の支配者に見えましたね?
「えっ……そんな……嘘でしょ……パパぁ、パパぁ……!」あああ良心がズタズタにされていくぅ。
「ニャッツさん、あれもやっちゃいますか?」砂月ちゃんが真顔で剣を振り回し始めた。
「経験値稼ぎには持ってこいニャ! 行くぞ覚者!」ニャッツさんが杖を掲げ始めた。
「よーし、お姉さんも加勢してやろう、ぐひひ、愉しい狩りの時間だよぉ」最高に愉しそうな笑顔を浮かべてるシンさん。
何だこの地獄絵図は。
「許さない……殺してやる……人間共め……ッ、一匹残らず駆逐してやる……ッ!」小さなドラゴンの顔がもうしゅごい形相になってて、俺は正視に耐えられませんでしたね。
その後、小さなドラゴンもあっさり溶けた。
「パパ……今僕もそっちに行くよ……」
浄化されるように消えてしまった小さなドラゴンを見送った俺は「あの、済みません、もうこのゲームログアウトしていいですか? 俺の良心値がゼロになる寸前なんですけお」と挙手して尋ねた。
「えっ、あーそろそろご飯の時間だもんね」違うよシンさん。「じゃあ私も落ちるかなーおつおつ」シュパッとシンさんが消えた。
「我輩も一旦落ちるニャ! おつニャー!」シュパッとニャッツさんも消えた。
「じゃあ先輩、また後で!」真顔で剣を振り回してた砂月ちゃんもシュパッと突然消えた。
「えっ、あの、どうやってログアウトするのこれ」
誰もいない空間で俺は、虚空に声を掛けていた。
あれ、詰んだ?

◇◆◇◆◇

仕方ないので洞窟から出て、辺りを見回してみる。
近くに見えるのは、大きなお城だ。清潔そうな白い城壁が見える。
確か初心者が初めて挑むダンジョンがこの洞窟の筈だから、アレが初心者が初めて辿り着くお城なのかも知れない。
そう思って、段々と日が暮れてきた平原をトボトボ歩いて行く。
「あっ、人間だ!」「しっ、見ちゃいけません!」
ゴブリンっぽい親子に指を差されて凹んだけれど、俺は元気です。
「てか、別に攻撃しなかったら、向こうから襲ってくる事無いのか」
平原にはちらほらとゴブリン……と思しき角の生えた人間がうろうろしてたけど、大概俺を見てひそひそ話したりするだけで、襲い掛かってくる様子は無かった。
流石に「うわっ、あれ人間だぜ……」「こわっ、近寄らんとこ……」って聞こえてきた時は泣きそうになったけれど。
ともあれ特にエンカウントもバトルも無いままお城の城門まで辿り着くと、門番と思しき人影が見えた。
何でだろう、門番さんに角が生えてるように見える。
「うわっ、人間だ……」門番さんが吐き捨てるように言った。傷つくわぁ……
「あの、このお城って、もしかして……」と声を掛けてみる。
「何だお前、この城が何か知らずに来たの? 観光客?」不思議そうに応じる門番さん。
「えーと、一応冒険者ですね」ニートの事は伏せておこう。
「ここアレだよ、魔王城だよ」門番さんからとんでもない台詞が出てきた。
「えっ、でもすぐそこに新米冒険者が初めて行くダンジョンが見えるんですけお」夕暮れに沈む洞窟を指差してみる。
「新米冒険者が初めて行くダンジョンの近くに魔王城が有っても不思議じゃないだろ?」どう考えても不思議ですね??
「えっ、じゃあラヴファイヤー君……じゃなかった、魔王様って今ここにいるんですか?」一応尋ねておこう。
「いるよ。今夕飯食べてる」コクコク頷く門番さん。「お前も食ってくか? 夕飯」門番とは思えない気軽さだ。
「えっ、俺冒険者ですけど、ラヴファイヤー君……じゃなかった、魔王様と一緒に夕飯食べていいんですか?」超展開だ。
「別にいいんじゃない? 知らんけど」と言いながら城門を開け始める門番さん。「ほら、早く入れよ、暗いから足元気を付けろよ!」
この門番さんいつかクビになるんじゃないかな。

【後書】
山田さん家を崩壊させていく冒険者達……魔族よりよっぽど魔族感溢れる冒険者です(笑)。
そしてまさかの魔王城と言う展開です! やりたい放題だよマナさん!ww
いやー、RPGツクールなどのGameをお手軽に作成できるGameをやってるとよくやらかす奴です、始まったばかりなのに目の前にラスダンが有る仕様w 絶対にクリアできねーよ! と笑いながらプレイするのが醍醐味ですよね!
ところで今回も断さんに更新告知イラストを描いて頂きました! ペンタブがご臨終為された直後のイラストと言う事で、本人納得が行ってないそうですが……! どう考えても最高の亞贄君です本当に有り難う御座いました!
と言う訳で次回、フドハクコ編最終話の第37話!「もうやりたくないけお」……魔王城に辿り着いた亞贄君が見たものとは!? 次回もお楽しみに!

0 件のコメント:

コメントを投稿

好意的なコメント以外は返信しない事が有ります、悪しからずご了承くださいませ~!