非現実系ほのぼのニートフルコメディ物語。宇宙人、悪魔、殺し屋、マッドサイエンティスト、異能力者、式神、オートマタと暮らす、ニートの日常。
※注意※2017/11/13に掲載された文章の再掲です。本文と後書が当時そのままになっております。
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日常 コメディ ギャグ ほのぼの ライトノベル 現代 男主人公
■第３７話
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第３７話 もうやりたくないけお
「あっ、孫君じゃないっすか～！ チィーッス！」
お城の中を進んで、大きなホールに出ると、一人で夕飯を食べてるラヴファイヤー君を見つけてしまった。
「チィーッス」ラヴファイヤー君を真似て、人差し指と中指を合わせて敬礼してみる。「ラヴファイヤー君、新米冒険者が初めて行くダンジョンの目の前に魔王城って、ゲームバランス崩壊してると思うよ」これだけは言っておかねば。
「えっ、冒険者も育ってなければ屠るの容易くないっすか？」確信犯かよぉ。「ところで夕飯一緒にどうっすか？ 一人で寂しかったんすよ！」魔王様が夕食会に誘ってくるゲームは初めてだ。
「じゃあご一緒しようかな」テーブルに近づくと、並んでる料理が全部パンだと気づいた。「あれ、パン祭りでもしてるの？」
「お城の庭で小麦作ってるっすから、それでパン作ったんすよ！」まさか魔王城で小麦育ててるとは思わなかった。「一つどうっすか？」とフランスパンっぽいパンをお勧めされた。
「じゃあ頂こうかな」受け取り、齧ってみる。「おいひい」
「でしょでしょ！？ 魔族直伝の小麦っすからね、市販品とは違うっすよ！」魔族って何だっけ感で一杯になってきた。
その後、もさもさとパンを食べ続け、お腹が一杯になった辺りで話を切り出してみた。
「ところでラヴファイヤー君。俺ログアウトしたいんだけど、どうしたらいいのかな」
「えっ、孫君もうログアウトしちゃうんすか？ もうちょっと遊ぼうっす！ 僕今までずっとソロプレイだったから、一緒に遊ぶの楽しみにしてたんすよ！」魔王様がぼっちってヤバいゲームだな。
「てか、ラヴファイヤー君ってこのゲームだと魔王様なんだよね？」うっかり忘れそうになる設定を尋ねてみる。
「そうなんすよ、何でか知らないっすけど」いやどう考えてもラヴファイヤー君以外に適任者いないと思うけお。
「魔王様が冒険者と一緒に遊ぶのって、だいぶやばみ感じない？」
「そんなぁ！ じゃあ僕魔王辞めるっす！ 孫君と一緒に冒険者になるっす！」魔王様がまさかの冒険者に転職。
「えっ、そしたらこのゲームのエンディングどうなるんだ？」魔王様が冒険者になるエンドなんて聞いた事無いぞ。
「あっ、何か呼ばれた気がするっす！ 孫君また後で！」シュパッとラヴファイヤー君が消えてしまった。
「あー、ログアウトの方法教えて欲しかったな……」
仕方ないので今日は魔王城で一晩明かすか、と振り返ったら、ゴブリンさん達が俺を見つめて震えていた。
「ま、魔王様を触れずに消滅させたぞあの人間……！？」盛大に勘違いしていらっしゃる。「あ、あれが真の勇者……！？」誤解が留まるところを知らない！
◇◆◇◆◇
その後、ゴブリンさん達は盛大な誤解を魔族だけじゃなく世界全体に広め、俺は何でこうなった感を胸一杯に懐きながら、真の勇者として祭り上げられる事になった。
やはりニートは最強のジョブだったなとか、真の勇者は冒険者になる前から逸話を残してる(町中で真顔で剣を振り回す等)とか、もう散々惨たらしい台詞を浴びせられて、俺はゲームの中にいるのに真顔が貼りついて仕方なかったよ。
そしてマナさんによる緊急メンテが行われ、俺は無事に現実に戻って来た訳だけど、魔王様が消滅してしまった事でフドハクコはサーヴィス停止で、掲示板などで幻のネトゲとして噂が広がるのだけれど、これはまた別の話。
◇◆◇◆◇
「にーさん、知ってるか？ フドハクコってネトゲ」
ナモとラインをしていると、そんな話題が出た。俺は「うん、俺それやってたわぁ」とたぷたぷ返した。
「ｍｊｄ 俺もやりたかったんだけどもう終わってた件」ナモ、開発までしてくれたのに、一度も触れなかったのか。
「カワウソ」たぷたぷ返しておく。
「おもろかった？」
俺は真顔で数瞬考えた後、たぷたぷ返した。
「頭おかしいクソゲーだったけど、面白かったお」と返した後、「もうやりたくないけお」と付け加えておいた。
■５章 フドハクコ／了
【後書】
と言う訳で３ヶ月間続いた「フドハクコ編」も今回でエンディングです！ 一応ここでフドハクコ編はおしまいですけど、何れまたフドハクコをPlayするお話を綴りたいですなー！「フドハクコ２編」として！！（懲りない）
元々、この面子でネトゲをPlayしたら絶対に面白くなるって確信が有ったので綴り始めた章だったのですが、実際は設定の方に殆ど持って行かれた感有りますｗ 次またネトゲのお話を綴る機会が有れば、もっとキャラクターの面白さを追求してみたいですね！
次回からは新章開幕です！ その名も「メッチャゲロしばくぞ編」です！ 現状最長の章になりますので、またのんびりお付き合い頂けたらと思います！ それでは、次回もお楽しみに～！！
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