【神否荘の困った悪党たち】第５６話 別の悪い事してる子を懲らしめに行こうよう【オリジナル小説】

■あらすじ
桃太郎が完全にサイコパスだよ砂月ちゃん。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
日常　コメディ　ギャグ　ほのぼの　ライトノベル　現代　男主人公


カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054881797954
■第５６話

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第５６話　別の悪い事してる子を懲らしめに行こうよう


「つまり私が桃太郎役なんですね？」

　吐瀉物塗れの式子さんが、その、アレです、とても臭います。
「ですです！　式子さんは桃太郎役なんです！」鼻を摘まみながら砂月ちゃんが笑いかけてる。
「式子さんくっさーい」鼻を摘まみながらシンさんがしっしっと追い払う仕草をし始めた。
「ガーン！」懐かしい表現だね式子さん！「ちょっと洗濯機に入ってきます……」トボトボと飛んでいく式子さんだけど、その体丸洗いできる事が俺は驚きでしたね。バラバラにならない？？
「じゃあここでシーンが切り替わって、桃太郎・ザ・式子さんが、成長した桃太郎・オブ・ザ・先輩になります」なにて？？
「俺が桃太郎役なの？」てっきり裏方の仕事をするんだと思ってたぞう。「俺演技とかカラッキシだよ？」
「大丈夫です！　何か、こう、桃太郎にオーラ纏わせておきますから！」俺もしかして劇で人間辞めちゃう感じなんだろうか。
「あら～、亞贄君が桃太郎の役なのね。お爺さん、アレが桃から生まれた亞贄君ですよ」マナさんが完全に正気度を失ったお婆さん役に徹してる。
「さぁ先輩！　ここから、かの邪知暴虐の鬼を撫で斬りしに行くんですけど、何か適当な理由をでっちあげないと！」桃太郎が完全にサイコパスだよ砂月ちゃん。
「えっ、もしかしてこの劇の鬼さんって、そもそも悪い事をしてない設定なの？？」悪さしてない鬼を撫で斬りって殺人鬼……いや、殺鬼人じゃねーか。「別の悪い事してる子を懲らしめに行こうよう」
「フルタイムでお仕事をしている鬼が稼いだ給金を殺して奪い取る……その非人道的行いを正当化する理由と言えばやっぱり！　人種差別！」ぱちーんと軽快に指を鳴らす砂月ちゃんが正気なのか疑いしか湧かない。「鬼はきっと元は人間だったのですが、あまりにも金を稼ぎ過ぎた事により、他の人間から妬ましく映りそして……って設定どうですか？」心が痛い。
「現代の悍ましい部分を抽出したメルヘンになってるの、ほんとつらあじだよ」園児号泣どころか心が無になるんじゃないかと不安しか湧かない。「それだと完全に桃太郎が悪役なんだけど、いいの？　勧善懲悪どころか、勧悪懲善になっちゃうよ？？」
「それでいいんです」菩薩のような笑顔してるけど、これもうＳＡＮ値無くしてるな砂月ちゃん。「人は時にして悪に堕ちるもの、そして善人が必ず報われる訳ではない事を幼い頃から認識として植え付けておけば、立派な人間に育ちますよ……！」幼い子が非行に走らないか心配でならないよ。
「うーん、まぁ劇の主催者が良いって言ってるなら俺は了承するけども……」園児が道を踏み外さない事を祈ろう。「じゃあ俺あれかな、何かこう、恐ろしい奴なんだぞ～的オーラを出して演技した方がいいのかな？」
「そんな事無いですよ！」ブンブンと手と首を振る砂月ちゃん。「先輩みたいな虫も殺せないような善良そのものの一般ピーポーが大罪を犯すからこそより恐怖は深みを増し、狂気が底を抜けて悍ましさを醸し出すんですよ！」園児発狂待ったなし！
「もう砂月ちゃんがヤバい事は分かったけど、俺もう眠くて思考力無いからそれで行こう！」俺は考える事を諦めた！「よーし、何か鬼さんが金銀財宝溜め込んでるから襲っちゃうぞー、撫で斬りだぞー」
「あらぁ、桃太郎君、お爺さんを退治しに行くのね？」マナさん、お爺さんはもう既にあなたの手で退治されてます。「それならこれを持っていきなさい、きっと役に立つわ」
　マナさんから手渡されたのは小さな団子状の何か。
「キビダンゴですか？」どんな味なのか一口……
「そうなの、それを食べさせるとね、圧縮された炸薬が爆裂して、全身を木っ端微塵にするの～」あぶねえ、俺の肉体が木っ端微塵になるところだった。
「そんな危険物を持って旅に出ないといけないのか……」このお婆さん、サイコパスの上にガチの殺し屋の可能性が浮上してきた。「まぁ、じゃあ行ってきますお婆さん」
「待ちなさい桃太郎君～」マナさんがすっと立ち塞がった。「旅にはお供がいるでしょう～？　私が付いて行ってあげるわ～」
「……んん？」
　桃太郎の一番初めのお供がまさかのお婆さん。
　装備品はやばみ溢れる爆裂団子。
　一回皆寝た方がいいんじゃないのかこれ？？

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【後書】
　深夜テンションなので理解力が甚だしく衰えてしまう奴です。深く考えないでいるとガンガンヤバい方向に走っていくアレです！ｗ
　悪人と言いますか、サイコパス辺りのくだりの話は完全に性癖です。善人が悪事を働くからこそ怖いんです。あんなマトモな人だったのにー！　ミステリーで真っ先に疑われるような人は白で、完全に意識してなかった善人が犯人ってパターンが多いのもこの辺意識してるのかなー感有ります(果てしない妄想)。
　と言う訳でどんどん園児の顔から生気が失われていく桃太郎と化していきますが、果たしてどうなっちゃうのか！？　次回もお楽しみに～♪