2019年2月8日金曜日

【艦娘といっしょ!】第18話 金剛といっしょ! その2【艦これ二次小説】

■あらすじ
ちょっと頭のおかしい提督と艦娘達の日常生活を切り抜いた短編集です。
※注意※2016/09/29に掲載された文章の再掲です。本文は修正して、新規で後書を追加しております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
艦これ 艦隊これくしょん コメディ ギャグ 金剛 電


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/68881/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/series.php?id=627932
■第18話

第18話 金剛といっしょ! その2


「提督ぅー! 今日の秘書官はぁ~? わーたしデース!」

 バァーンッ、と扉を開け放って入ってきた金剛に、提督は「おう、宜しくにゃー」と顔を上げずに手だけ挙げて反応を返した。
「提督ぅー!? そんな塩対応はNoデース! もっと優しく接して欲しいデース!」デスクに齧りついて涙目になっている金剛。
「お、済まん」思わず顔を上げてポリポリと頭を掻く提督。「てか、私の方こそ優しくされたいよ! 憶えてる!? 金剛ちゃんが今までやってきた狼藉の数々!」
「良い女は、過去を水に流すネー!」サラーリと何かを流す仕草をする金剛。「提督ぅ~? 大事なのはぁ、私といるJust Now! 違いマスカー?」
「いやまぁそうなんだろうけど、腑に落ちねぇー何か腑に落ちねぇなー」納得行かない様子で小首を傾げる提督。
「じゃあ今日は提督を目いっぱい甘えさせてあげるネー! 私、こう見えて甘えさせ上手なんデース♪」胸を張って宣言する金剛。
「まじか! じゃあ今日はたっぷり甘えさせて貰おうかな!」嬉しげな表情で金剛を見やる提督。
「任せるネー!」ポンっと胸を叩く金剛。「じゃあ早速……提督ぅー? 喉渇いたデショー? 今からTea Timeするデース!」ガラガラとティーセットを持ってくる金剛。
「いや別に喉は渇いてないんだが……」呆然とした様子でその光景を眺めている提督。
「えっ……提督、喉渇いてないデスカー……? Tea Set……無駄になっちゃいマシタ……」しょんぼりとティーセットを片付け始める金剛。
「あっ、いやっ、あーっ! 喉渇いたなぁーっ! うん、今メチャクチャ喉渇いてる! 凄い紅茶飲みたい気分だこれ! 今すぐ紅茶飲みたい奴だこれーっ!」慌てた様子でティーセットの元へ駆けつける提督。
「Really!? もう提督ってばー、そうならそうと言ってヨー♪」ニコニコとご機嫌の様子でティーセットを用意し始める金剛。
「おかしいなぁー甘えるとは何だったのか」不思議そうな表情を浮かべて、出されたティーカップを手に取って口に運ぶ提督。「うん、うみゃい。ちょっと熱くて舌が火傷しそうだけど」
「提督は熱がりだからネー、私がフーフーしてあげるネー! フー! フー!」金剛が提督に向かって必死に息を吹きかける。
「いやいや熱いのは紅茶だから。私は熱くないから」金剛に息を吹きかけられて目を細めながらツッコミを入れる提督。
「Wow! 提督ってばドジっ子ネー♪」ペシペシと提督の肩を叩く金剛。
「このマイペース感がいいんだよねぇ……」シミジミと金剛を見つめる提督。
 のんびりとお茶会を楽しんだ後、再び提督は執務に戻って行った。
「提督ぅ~? 執務まだ終わらないデース?」退屈そうにデスクにしがみつきながら上目遣いに尋ねてくる金剛。
「終わらないねぇ。山ほど溜まってるから、今日一杯掛かるかなぁ」首の筋を解すように手で揉みしだく提督。
「Oh……提督、大変そうデース……」心配そうに提督の周りを回り始める金剛。
「大変だけど、金剛ちゃん見てると癒されるから大丈夫かなぁ」にへら、と微笑む提督。
「提督……! 私の事、もっと見るデース! そして癒されるデース! さぁ! さぁ!」デスクの前で色んなポーズを取り始める金剛。
「癒されるなぁ~」と言いながら金剛から視線を戻して執務に戻る提督。
「目を離さないでって言ったのにーっ! 提督ぅー! 何してるデース!?」提督の肩をガックガック揺さ振り始める金剛。
「執務ッ、執務してるからッ、字が書けないからッ」ガクンガクンと頭を揺らしながらも必死に執務を続ける提督。
「うぅ~……」
 涙目で提督を背後から抱き締めたまま動かなくなる金剛に、提督はペンを置いて、ポンポンと金剛の頭を撫でた。
「執務終わるまで待っててくれよぉ~。執務をしなかったら、提督としてここにいられなくなるからさぁ。それはつまり、金剛ちゃんとも一緒にいられないって事なんだよ」金剛の頭を撫でながら、澄ました表情で呟く提督。「金剛ちゃんと逢えなくなるのは嫌だからさ。もうちょっとだけ、我慢できないかい?」
「うぅ~……提督はズルいデース……」
 提督を抱き締めたまま離れない金剛。提督は彼女の頭を撫で続ける。
「……もうちょっとだけ、こうしてていいデスカー……?」
「いいよぉ」
「……Thank Youデース……」
 その後提督が執務を再開しても終わるまでべったり張り付いたままの金剛なのだった。
「ん~……」大きく伸びをする提督。「まぁ今日の執務はこんなもんでいいでしょ。適当適当~♪」
「終わったデスカー!?」提督の体からパッと離れ、手を取る金剛。「もうDinnerの時間ダヨー? Hurry Up! 間宮食堂にDashネー!」
「夕飯は逃げないっつぇー」引っ張られるように立ち上がり、廊下を連れ立って進む提督。「そんなにお腹空いてたの? 金剛ちゃんや」
「No No!」人差し指を振って告げる金剛。「提督と一緒にDinnerを食べたかったんデース♪」
「まじか~。そう言って貰えると嬉しいにゃぁ~。げへへ!」
 嬉しげに頬を綻ばせる提督に、金剛も「私も提督が喜んでくれると嬉しいデース♪」とはしゃぎ始めた。

◇◆◇◆◇

 夜が更け、執務室の外に闇が落ちた頃。提督は執務室で金剛と真剣な表情で向かい合っていた。
 執務用のデスクは片づけられ、煎餅布団が一つだけ敷かれている。その上に二人は正座で座り込み、向かい合って視線を交わしている。
「金剛ちゃん……覚悟は出来てるね……?」真剣な表情で尋ねる提督。
「提督……本当にいいんダネ……?」ゴクリ、と生唾を呑み込む金剛。
「じゃあ……行くぞ!」
「臨む所ね! Come on!」
 二人してバッと目の前に出したのは、3DS。
「やったぁー! プレイ時間、私の方が五時間短い!」
「Why!? 私のPlay時間の方が長いんだから、私がWinnerデショー!?」
「いやいや、こういうのはいかに時間を短くしてクリアするかが大事なんだってー」
「長い時間PlayしてるPlayerの方が偉いに決まってるネー! Loveの重みが違いマース!」
「なにおう!? だったら……この圧縮されたプレイ時間で熟成された実力を見せてやるんだぜ!」
「OK! 提督よりPlayしてる私のLoveの強さ、見せてあげるネー!」
 もそもそと二人で煎餅布団に入り込み、顔だけ出してプレイを始める。
「金剛ちゃん喰らえ! 回復弾Lv2!」
「Thank youネー! 提督のLove……確かに受け取ったヨー!」
「そっちに行ったぞ金剛ちゃん!」
「Yes! 私の実力、見せてあげるネー! Burniguuuu Loooove!!」
 二人で賑やかなプレイに終始していたが、やがて金剛がウトウトし始めたのを見て、提督が「よし、今日はこの辺にして寝るかー」と3DSを閉じる。
「……I'm just sleeping now……」ムニャムニャと寝言のように呟く金剛。
 消灯すると、提督は金剛に背を向けて瞑目する。「おやすみ、金剛ちゃん」
「ムニャ……Sweet Dreams……」
 静かな夜の執務室。すぅすぅと寝息が聞こえていたかと思いきや、不意に金剛が提督の背に手を当てて、ポツリと呟きを漏らした。
「これからも……提督の隣にいさせてくださいネ……」
「勿論さ」即答が返ってきた。
「提督!? 起きてたデスカー!?」思わず跳ね起きる金剛。
「そんなに早く寝入る訳無いだろ! いい加減にしろ!」対峙するように跳ね起きる提督。
「もーっ! ……Love以外は許さないんだからネ!」
 珍しく赤面して人差し指を突き立ててくる金剛に、提督は笑顔で応じた。
「おう、任せろ! 金剛ちゃんラヴは誰にも負けねえぜ!」
「……提督ぅー!」ガバーッと提督に抱き着く金剛。
「うわぁーっ!」煎餅布団に倒れ込む提督。
「そこまで言うんだったら……今夜は寝かせないヨ……!」ニタァ、と笑む金剛。
「臨む所だァ!」挑戦的な笑みで返す提督。

◇◆◇◆◇

 そして、
「おはようございますなのです、司令か……ん……?」
 マルハチマルマル。執務室を訪れた電が見たのは、司令官と金剛がPS4のコントローラーを握り締めて倒れている姿だった。
「また徹夜したのです……?」近寄り、ツンツンと司令官をつつく電。
「お、おう……FPSを徹夜するのは……ダメだな……頭が……死ぬ……」プルプルと生まれ立ての小鹿のような動きでのた打ち回る提督。「金剛ちゃん……生きてる……?」
「うぅ~……日頃の無理が祟ったみたいデース……」目を回して果てている金剛。
(この夫婦は一緒に寝ても何も起こらないどころかおかしな事になるのがデフォルトになってるのです……)
 呆れるような、羨ましいような、そんな気分で電は執務室に敷かれた煎餅布団を片付け、デスクを引っ張り出すのだった。

【後書】
 も~このバカ夫婦感が好きなんですわ…(恍惚)
 金剛ちゃんも電ちゃんと同じく、何回でも綴りたくなりますね…! こう、何て言うんですか。天然元気っ子ってこう、一緒にいるだけで力が出る感有りますよね…!
 そう言えば今回でキャラ毎の表紙が終わりまして、次回から新たに断さんにお願いしたテキストだけの表紙になります。そちらもお楽しみに!

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