2019年3月23日土曜日

【ベルの狩猟日記】085.ウェズの監獄日記【モンハン二次小説】

■あらすじ
守銭奴のベル、天然のフォアン、爆弾使いのザレアの三人が送る、テンヤワンヤの狩猟生活。コメディタッチなモンハン二次小説です。再々掲版です。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【風雅の戯賊領】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
モンハン モンスターハンター コメディ ギャグ 二次小説 二次創作 P2G


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/135726/
■第85話

085.ウェズの監獄日記


 その頃ウェズは。
「違うんだ、誤解なんだ、僕は変質者じゃない!! ただの行商人なんだってばーっ!!」
 オートリアに在るガーディアンの屯所に放り込まれていた。
 彼の罪状は幾つか有る。まず、閉門を迎えて久しい夜半に、突然外壁を駆け上って街に侵入。半裸のまま半狂乱の様相で街中を走り回り、多大なる迷惑を与えた。
 ガーディアンが出動し、彼が捕縛されるのは当然の成り行きであった。
「うぅ……僕はただ、ティアリィさんの私服姿が見たかっただけなのに……」
 充分変質者としての素質が有る発言を落とすウェズ。
 ガーディアンの屯所に設けられた粗末な監獄で、ようやく我に返ってべそを掻いていたウェズだったが、そこでふと、或る人物を思い出す。
「そこのガーディアンさん、聞いて下さいっ!! ワイゼン翁! ワイゼン翁に、ウェズが捕まったと伝言を入れて下さい!! そしたら僕が変質者じゃないって分かる筈です!!」
 ウェズの必死の訴えに、ガーディアンの服装を纏った男が怪訝そうな視線を向けてくる。端から信じていない瞳だ。
「手前みたいな変質者が易々と口にして良い名前じゃねえだろうがよ。分を弁えろってんだ」
「僕はワイゼン翁と知り合いなんだって!! ホントだよ、賭けても良い!! だからお願い、ワイゼン翁に取り次いで!!」
「うるせえぞ!! 張り倒されてえか!!」
「もうこの際張り倒されても良いから!! お願い、一度で良いからワイゼン翁に取り次いで!!」

◇◆◇◆◇

 翌朝。ガーディアンの男はワイゼン屋敷へと赴いた。
「済みませ~ん、ちょっとお話を伺いたいのですがー」
 ノッカーをガンガン叩いて様子を窺うと、突然物凄い量の声が響いた。
「はいはーい、今出ますよー」「待って! わたくしが出ますから、貴女はここでお待ちになって!」「わたくしが出ますのよ、ちょっと押さないでくれるかしら!」「今、出ますからお待ちになって~!」「わたくしが出るって言ってるでしょ!」
 あまりの声の多さに驚いていると、扉が開いた瞬間、視界一杯にメイドの姿が広がった。
『ようこそ、ワイゼン屋敷へ! ご用件をお伺い致しますわ♪』
 綺麗に揃った唱和を聞いて、男は頭がクラクラした。ここまで洗練されたメイドを見るのは、初めてだったのだ。
「あ、いやその、ワイゼン翁に取り次げと煩い者が今、屯所の方で暴れているのですが……」
「あら、どちら様かしら?」「お嬢様はもうお帰りになられたのよね?」「リボンと一緒に帰りましたわよ?」「では、どなた様かしら?」「だから今、わたくしがそう申し上げたでしょう?」「その方、何と言うお名前なのかしら?」
 やんややんや喚き散らすメイドの群れに、男は目を回しそうになる。
「えーと……ウェズ、と名乗っているのですが……」
「あら!」「ウェズ様ですの?」「懐かしいお方ですわね~」「屯所にお世話になるなんて信じられないですわ~」「久方振りに聞きましたわね、そのお名前」「生きていらしたのね~」「でも、どうして屯所にいるのかしら?」
「実は……」
 ガーディアンの男が掻い摘んで説明すると、メイド達は黄色い声を上げて囀り合う。
「あらあら、ウェズ様ったら」「はしたないですわね~、もう」「一目見てみたかった気も致しますけど」「あら? 貴女、ウェズ様に気でも有るのかしら?」「ウェズ様、性格はともかく、カッコ良いですものね~」「それがまた魅力なのですわ~」
「ちょっ、あのっ、それで!? あのウェズとか言う男は知り合いなのですか!?」
 メイド達は一斉に視線を男へ向け、ニッコリと華やぐように笑んだ。
『いいえ、存じ上げません♪』

◇◆◇◆◇

「……だ、そうだ」
 げっそりと窶れた感じで帰って来たガーディアンの男に告げられ、ウェズは四つん這いになって落胆した。
「ひ、酷過ぎる……絶対に僕で遊んでるんだ……うおぉーッ!! ティアリィさん、僕は諦めませんからねーッ!!」

◇◆◇◆◇

「……くちゅんっ」
「あら? ティアリィ、風邪?」
「ちーんっ、……いえ、誰かが噂でもしているのかも知れません♪」
「そっか。ラウト村の給仕は貴女しかいないんだから、絶対に風邪なんて引かないでよねっ?」
「心配ご無用! 私、こう見えて体は丈夫なんですから~♪」
「……まぁ、ティアリィが風邪を引くなんて考えられないしねぇ~」
「ティアリィ~、ザレアが呼んでるぞ~」
「は~い♪」
 フォアンの言葉を聞き、会心の笑みを浮かべて返答するティアリィなのだった。

 その後、彼らがラウト村に着いた時、酒場の惨状を見てウェズに少なからぬ殺意を覚えたのは、また別の話。


第六章〈師匠から弟子へ〉―――【完】

【後書】
 これにて第六のエピソード・完です! いやー、ウェズ君はね、惨たらしい目に遭うと最高に輝きますね!w(恍惚)
 さてさて、次回からはエピソード七…! ではなく、「ベルの狩猟日記」の配信当時に応募した「このキャラクターのこんなお話が読みたい!」のリクエスト作品の短編集が始まります。トップバッターはまさかの「ザレアとヒロユキ」のお話ですw お楽しみに~♪w

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    「違うんだ、誤解なんだ、僕は変質者じゃない!!」
    今回はこれが全てかなw

    いやぁ~やっぱウェズ君でしたねぇwなんていうか安定感?ww
    そしてメイド部隊の洗練された行動に目も眩む思いです!(ワハハ
    ほんと最後まで楽しませていただきました!

    次回から短編集とな?これは+(0゚・∀・) + ワクテカ +である!

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv

    返信削除
    返信
    1. 感想有り難う御座います~!

      ほんそれwwwその一言に集約されてましたね!ww(笑)

      やっぱウェズ君でしたねぇ!w ですですww安定感が有るんですよこの子ww(笑)
      メイド部隊もこれ、当時からお気に入りでした!w こういうイメージに訴えるシーンはね~、やっぱ好きですw
      最後までお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!!(*´σー`)エヘヘ!w

      次回からいつもの半分~3分の1くらいの短いエピソード祭りです! お楽しみに~♪

      今回もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

      削除

好意的なコメント以外は返信しない事が有ります、悪しからずご了承くださいませ~!