2019年12月25日水曜日

【FGO百合SS】11話「エレモーに現代デートさせたい奴#2」【エレモー】

■あらすじ
エレシュキガルとモードレッドに現代日本でデートさせたい奴です。今回はカフェデート編。

■キーワード
FGO Fate/Grand Order エレシュキガル モードレッド 百合

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/series/1018872
■第11話

11話「エレモーに現代デートさせたい奴#2」


「つーか、デートってどんな事すりゃいいんだ? 茶でも飲めばいいのか?」

エレシュキガルの半歩前を歩きながら肩越しに振り返るモードレッドに、睨まれているような目つきに晒されている冥界の女主人は「そう……ねぇ。カフェで歓談、と言うのは、オーソドックスなデート……と言える……かしら……?」と思案に暮れた様子で返答を絞り出した。
「よし、んじゃまずはカフェだカフェ。カフェを探すぞ!」
「そんな意気込んでカフェを探すデート、聞いた事無いのだわ……」
意気揚々と辺りを見回しながら先頭を行くモードレッドに、エレシュキガルは苦笑を禁じ得ない様子でその背中を追う。
併し――モードレッドは然程意識している様子は無いが、エレシュキガルは胸に去来するときめきに、少し頬を紅潮させていた。
今現在、マスターを取り巻く環境は平穏無事とは程遠い。世界は漂白され、刻一刻と終焉の時は近づいている。
そんな中、こうして……己の想い人であるモードレッドと、安穏とした街を散策できるなど、マスターには感謝してもしきれない程だった。
……尤も、モードレッドはその事を何とも感じていなさそうと言うのは、エレシュキガルとしては正直業腹ではあるのだが。
ともあれ、仔犬のようにはしゃぎ回りながら先頭を駆けるモードレッドを見て、楽しそうで良かった、と言う想いが先に来てしまうのは、惚れた弱味、と言う奴だろう。
……いやいや、恋仲になりたいとかそんな感情ではなく、ただ一緒にいる事が好きと言うか何と言うか……
「おい、エレ公。アレじゃねえか?」
「――――ふぇ?」
「ふぇじゃねえよ、カフェだよカフェ」
先頭をずんずん進んでいたモードレッドがいつの間にか眼前に立ち塞がり、不服そうにエレシュキガルの顔を覗き込んでいた。
間の抜けた顔を返している事に気づいたエレシュキガルは、取り繕うように慌てて手をパタパタ動かし、モードレッドが示した先に在るカフェを視認すると、首がもげんばかりにブンブンと肯定の意を示した。
「……ったく、まるでオレだけ楽しんでるみてーじゃねえかよ……」
「え……?」
「だぁーから、」グイッと、エレシュキガルの胸倉を掴み上げて顔を引き寄せるモードレッド。「お前も、楽しめよ。……デート」
間近に迫ったモードレッドの顔に、エレシュキガルは暫し意識を飛ばした後、顔を真っ赤に染め上げて、「う、うん……」と生唾を呑み込んで返答を吐露した。
「ちッ……」対するモードレッドも気恥ずかしげに手を離すと、「ほら、入るぞ入るぞ!」と再び歩幅を大きくしてカフェに突貫していこうとしたので、エレシュキガルは咄嗟にその手を握り締めて引き留めた。「――おうっ?」
「モーちゃん、私もその、……楽しんでるから、デート」消え入りそうになる声で、けれどハッキリとした意志を持って、エレシュキガルはモードレッドの瞳を覗き込んだ。「だから……えへへ、ありがとう、モーちゃん」
「~~~」エレシュキガルの照れ笑いに、一気に羞恥心が爆発したモードレッドは、「分かッてンならいい! ほら、冷やかしてねえで入るぞ!!」と、外気に晒されて冷たくなっていた彼女の手を握り返して、カフェに突っ込んで行く。
あぁ、やっぱりこいつは苦手だ、とモードレッドは苦虫を潰したような顔でそっぽを向いた。
己自身、今まで意識してこなかった、得体の知れない感情が胸中を渦巻く。心臓が不規則に脈打つのだ、気持ち悪い感覚だと言うのに、それが悪くないと感じてしまうのが、本当に気味が悪い。
この惚けた冥界の女主人に特別な感情を抱いているとは思っていない。けれど、何故か放っておけなかったし、一緒にいると不可思議な、触れた事無い柔らかく温かなものが溢れるのだ。
きっと、そういう意味でこいつは特別なのだろうと、モードレッドはそれ以上の回答を求めようとはせず、けれど突き放そうとも考えず、エレシュキガルの手を引っ張って行く。
その先に、もしかしたら己の理想とする何かの一端が、見えるような気がして。

◇◆◇◆◇

「――お待たせ致しました、ブラックコーヒーのお客様」
「おう、オレだ」「え?」
ウェイトレスがトレイに載せたマグカップを、モードレッドの前に置く。
「では、ホットチョコレートのお客様」
「……」「……えぇと、はい」
ウェイトレスがトレイの載ったマグカップを、エレシュキガルの前に置く。
「では、ごゆっくり」
スッと優雅に一礼して去って行くウェイトレスを見送ると、すぐにモードレッドは、テーブルに置かれた二つのマグカップをパパッと取り換えた。
「……モーちゃん?」
「何だよ、エスコートする側がお子ちゃまみてえなもん頼んだら悪ぃか?」眼光鋭くエレシュキガルを睨み据えるモードレッド。
「何も言ってないのだけれど……」苦笑と共に降参の仕草を返すエレシュキガル。「モーちゃん、甘党なのね」
「寧ろエレ公がブラック頼んだ事にオレは驚きだっつーの」ホットチョコレートを啜ろうとして、「あっちッ! ふーっ、ふーっ」とマグカップに精一杯呼気を吹きかけ始めるモードレッド。
エレシュキガルはひたすら心の中で「可愛い! 可愛い!」と心の撮影機能を全力で稼働させて記憶回路に今のモードレッドの様子を刻み込んでいた。
「ふふん、こう見えて冥界の女主人ですから。大人の嗜みってものなのだわ!」
「……オレが言うのも何だけど、お前それ流石に……いや、何でもねえわ」
「何!? 何なのだわ!?」
不満そうに頬を膨らませるエレシュキガルに、モードレッドはおかしそうに含み笑いを返すと、「まっ、その方がエレ公らしいわ」とウィンクを見せた。
「ぐっ……」突然の愛嬌に心臓が止まりかけるエレシュキガル。「もう……」そしてそれ以上何も言えなくなってしまうのだった。
改めてブラックコーヒーを口にするエレシュキガルだったが、途端に顔を曇らせて、テーブルに備え付けられた砂糖をガンガンに注ぎ込み始め、更にモードレッドに笑われる事になるのは、次の瞬間の事だった。

【後書】
メリークリスマース! と言う訳で毎年恒例のサンタ短編も綴らずに甘々なエレモーを綴っていた日逆ドンです。ウェヒヒww
いやぁ、友達とラーメンを食べに行った時にバビっと浮かんでしまったのでサラサラっと綴り切った奴です。ザ・捏造☆ の鎌足なので許してんこ盛り!w※常套句
何かこう、こうあれ! みたいな妄想を亜音速で叩き込んだつもりですので、そんな感じです! メリークリスマース!(逃げ口上)

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