2022年6月25日土曜日

【スーパーボンバーマンR二次小説】青ファンSS【青ファン】

■あらすじ
スーパーボンバーマンRの二次小説。青ファンです。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【Pixiv】で多重投稿されております。

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■第2話→まだ


【青ファンSS】は追記からどうぞ。

青ファンSS


 ヤミヤミ星系3番惑星、キラキラスター。
 惑星全土を超大型脳が管理する、情報化惑星。
 そこでファントムボンバーは一人の学者として、遥か昔から放置されていた暗号化された情報を読み解いていた。
 あの宇宙制圧を企んでいた悪の帝王・バグラーをも凌駕する頭脳/知識を有する彼であっても、未知なる暗号化処理された情報を読み解くのは一朝一夕とは行かなかった。
 今日も今日とて難解極まる暗号を処理していた彼の下に、突然何かが投げ込まれた。
「ぐほぁっ!」
 投げ込まれた何かに押し潰され、ファントムボンバーが呻き声を上げる。
 何事かと見上げると、白ボンが「ふぃ~、ファントムボンバー、暫く青ボンを頼むな?」と一仕事を終えた態で満足そうな表情を浮かべているシーンに出くわした。
「白ボン? どういう事だ我輩に何の用だアポイントも無しに?」
「青ボンが静かな場所で昼寝したいって言うから、ファントムボンバーの所なら静かだろ? みんな情報化された電脳で会話したり研究したりで。暫く放置しておいてやってくれよ、その内帰してくれれば良いから。それじゃまたな!」
「確かに静寂そのものの惑星ではあるが……ってもういない! 我輩の話を最後まで聞かんか~!」
 怒鳴り声を上げるも、もう白ボンの姿は無く。スヤスヤと既に眠りこけている青ボンに潰されたままのファントムボンバーは、その非力な腕力を振り絞って青ボン布団から脱出する。
「やれやれ……とんでもない奴を連れて来てくれたな、白ボンめ……」
 バグラーが退治されたその後。ファントムボンバーは学者としてキラキラスターで研究に没頭するようになった事で、五人衆とも疎遠になり、今や独り身を思う存分堪能していた訳だが……
「…………寄りにも寄って、青ボン、か」
 かつて、自身が構築した暗号を一瞬で解いてしまった青ボンに、嫉妬や嫌忌の念を懐いた事が有った。頭脳の頂点に座していると自認していたファントムボンバーにとって、あまりに屈辱的な出来事だっただけに、バグラーの洗脳が解かれた後も、その想いは未だに胸中を蝕んでいる。
 本物の天才と言えるのは、まさにこの青ボンだと、未だに認める事が出来ないでいた。
「……まぁ、寝ているだけなら問題無かろう。我輩の邪魔をするなよ?」
 青ボンからの返事は無い。彼は今も気持ち良さそうに寝息を立てて夢の世界を探検中だ。
 普段から睡眠中毒のように寝てばかりいる青ボン。にも拘らず、本気を出せばバグラーすら凌駕する頭脳を有するファントムボンバーが構築した暗号を一瞬で解いてしまうのだ、あまりに癪に障るし、納得できなくて当然だと思わずにいられない。
 ともあれ、彼がファントムボンバーの邪魔をする様子は無いし、眠りたいだけ眠れば、その内帰ってくれるだろうと、早々に思考に見切りをつけて再び暗号解読の仕事に戻る。
「……ぬぬぬ、ここがこうだから……いや違うか。……待てよ、つまりこう……ぬぅ、そもそもここからもう違う可能性が……」
 独り言をブツブツ呟きながらファントムボンバーは暗号化された情報の解読を試みるが、作業は遅々として進まなかった。
 期限の有る仕事ではないとは言え、同じ業務に長時間費やされるのは面白くない。膨大な量の仕事が蓄積しているのだ、いち早く済ませて次の仕事に着手したいのだが……
 そんな折、突然肩にずしりと重たい感触が乗っかった。
 また潰される、と思って体勢を立て直そうとしたら、ファントムボンバーの顔の横から、青ボンが顔を乗り出し、その手が暗号化された情報の一文に触れた。
「ここ。これがそっちの文章に活きてくるから、ここの文をここに適用すれば良いよ」
「何ぃ⁉ 何も知らん奴が勝手に口を出すな馬鹿者!」
「ふぁーあぁ……煩くて目が覚めたんだよ……手伝うから早く終わらせてね」
「何なのだこいつは……! ……って、んん? ここが……こういう……なん……だと? つまりここがこれで、こういう事なのか?」
 ファントムボンバーの瞳が輝き始める。今まで解明を妨げていたテキストが、突然光り輝いて見えるかのように、スラスラと読み解ける。唐突に視界が開け、見る間に暗号化された情報が解読できていく。
 たった一瞬。青ボンは見ただけで読み解いてしまった。その事実が目の前に突きつけられた事で、再び嫉妬の炎が胸中を焦がし始める。
「……こ、これで勝ったと思うなよ、青ボン……? 我輩はまだ、この程度では……ッ!」
「知ってるよ……だから手伝ったんでしょ……ふぁーあぁ」
「何……?」
「終わったのなら僕は寝るね……おやすみ……」
 ファントムボンバーの肩に頭を載せたまま、再び寝息を漏らし始める青ボンに、彼は言い知れぬ羞恥心に身を焦がした。
 青ボンは、ファントムボンバーの秘めたる可能性を応援している……のだろうか。勝手にそう思い込みたいだけで、ただ馬鹿にされているだけかも知れないが。
 頭脳の先を行く先輩のような存在に叱咤されているような気分になり、ファントムボンバーは数瞬恥ずかしさでぷるぷる震えていたが、……やはり敵わない、と改めて青ボンの大きな存在感に打ちのめされるのだった。
 それはそれとして、青ボンが肩から離れないので、ファントムボンバーはそのまま彼が起きる三十七時間後までずっとその体勢を強いられる事になったのは、また別の話。

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