2018年1月26日金曜日

【浮世のカルデア事情】第1話「触媒」【FGO二次小説】

■あらすじ
砂落浮世(サラク・ウキヨ)と言う人間らしい人間のマスターがいるカルデアの物語。コメディタッチに描いたFGOの二次小説です。
※改題前:人理改竄系カルデア

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【Pixiv】、Fantia【日逆孝介の創作空間】の四ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
FGO Fate/Grand Order コメディ ギャグ マシュ・キリエライト マルタ


Fantia■https://fantia.jp/posts/35171
Pixiv■https://www.pixiv.net/series.php?id=923944
ハーメルン■https://syosetu.org/novel/146108/
■第1話

第1話「触媒」


「マシュマシュ、これ何かどうよ?」

特異点F。突然の大事故を経て先輩とレイシフトした先で、拠点となる召喚サークルを設置したわたしに、先輩が頻りに話しかけてきます。
先輩。砂落浮世(サラク・ウキヨ)と言う女性は、人間らしい人間です。もうここぞとばかりに嘘を吐きますし、訳の分からない事をやって自爆しますし、結果的に己の評価を落としながらも笑って歩いて行く、人間らしい人間です。たぶん。
今はわたしのマスターなので、ここではマスターと呼称しますが、マスターが持ってきたのはどう見てもただの……
「マスター、それでまさかあのガイコツ兵と戦うつもりですか?」一応尋ねてみます。
「あたし流石にそんな脳筋じゃねーわ」見たら分かります。「これあれだよ、触媒触媒。召喚サークル確立したんでしょ? つまりサーヴァント召喚できるって事でしょ? ガチャ引けるって事でしょ??」偶にマスターの言動が突拍子も無くなるのは何故でしょう。
「召喚は可能ですが……それを触媒にするんですか?」マスターが手に持つそれを見下ろして、改めて確認します。「もっと他に、魔術的価値の有る物の方が、より強力なサーヴァントを召喚できますが……」
「まぁ待ってよマシュ」マスターは馴れ馴れしくわたしの肩に手を回してきました。「わたし一般ピーポーだよ? 一般枠で採用された、魔術師っぽい魔術師じゃない魔術師なんだよ? そんな朴念仁が魔術的価値の有る物を持ち歩いているとしたら、今頃町中魔術が飛び交うパーリーナイだと思わない?」
……マスターの言い分は納得できますが、例え方が失望の極地です。
ともあれ今はオルガマリー所長もいるのですから、何かしら借用すればいいのではと声を掛ける前に、マスターは既に召喚サークルで“それ”を触媒に召喚を始めてました。
「何だっけ? 閉じよ満たせ四時よ美味しいもぐもぐ!」召喚の詠唱がグダグダの極みで最早察するほかありません。「で、何だっけ。天秤の護り手よー!」詠唱の大幅削減に成功しています! 流石先輩、現代に生きる時短マスターです!
召喚サークルが破裂してマスターが飛び散った瞬間が視界に飛び込んできた時には、流石のわたしも真顔にならざるを得ませんでした。
ともあれマスターがもぞもぞと戻って来た時には、召喚サークルに女性のサーヴァントが佇んでいる姿が確認できました!
際どい礼装の女性です。杖を持っている姿を見るに、キャスターでしょうか?
「私はマルタ。ただのマルタです。きっと、世界を救いましょうね――」
「えっ」「おっ」わたしとマスターの声が重なってしまいました。
際どい礼装のサーヴァント――マルタさんは、わたしとマスターを見つめて、不思議そうに小首を傾げた。
「……何か?」
「い、いえ……」思わず視線を逸らしてしまいました。
「よく見ろマシュ! あれ星四のサーヴァントだぞ! 召喚に成功だ! ガチャ大勝利だ!! 爆死は免れたーッ!」マスターがとにかく喧しいです。「ようこそマルタさん! 待ってたよー! 君の力が必要なんだ! 助けてプリーズ!」
「あら……」嬉しそうに頬を染めるマルタさん。「貴女の想い、信じる心、確かに感じます」と、敬虔に祈る姿は、聖女そのものです。
「そうかい? うへへぇ、まさか丸太を触媒にしたらマルタさんを召喚とか、やっぱり触媒は大事だなー!」
間。
……マスター、それ言っちゃうんですね。
「……今、何と?」
「ん? いやだからさー、魔術的価値の有る触媒が無かったからさー、そこらへんに薙ぎ倒されてる街路樹から丸太をね、拝借してね、触媒にしたらさー、マルタさんがさー」
マスターは何気無い態度でヘラヘラ話してますけど、マルタさんの血相が見る見る変わっていく事に気づいてないのでしょうか。
「丸太を触媒にして……召喚……聖女としての威厳が……」ガックリと四つん這いになってしまうマルタさん。
「マルタさん! 落ち込まないでよ!」マルタさんの肩をいやらしく叩くマスター。手つきが本当にいやらしいです。「あたし困ってたんだよ! 来てくれて本当に有り難う! 頼りにしてるよ!」グベェ、って笑みが本当に汚いです先輩。
マルタさんは若干放心状態でしたが、何とか気を持ち直したのか、小さく吐息を落とすと、力強く踏み締めて立ち上がりました。
「……これも神の思し召しですね。そこまで言われたら、頑張らないといけませんね!」
「うんうん! 頑張ろうねマルタさん!」
マスターの上辺だけの応援の白々しさが、やっぱりもう人間らしい人間過ぎて、ああこれが人間の本質なんですねー、って感じです。
「よし、まずは丸太の触媒が成功したから次は何で実験しようか……」
マルタさんがガイコツ兵を薙ぎ倒しに行く道すがら、とんでもない台詞を耳にしましたが、聞かなかった事にしました。
先輩、この危地にも拘らず触媒を節約しようとするその心胆、流石です……!

【後書】
FGOの小説を綴りたいな~と思いながらモダモダと過ごす事早半年。結局この形に落ち着いたので投稿に参りました!
初めての方は初めまして~、お馴染みの方はどうも! 日逆孝介です。初めてFateシリーズの二次小説に手を出してみましたが、原作がうんたんとか設定がうんたんとか言われるのもアレなのでザックリしたギャグコメディになりました(笑顔)。
今回スポットライトが当てられた子であるマルタさんは、わたくしがFGOをPlay開始して初のガチャで引いた子なので、綴るのならこの子からでしょ~と思いながら綴りましたが、まぁ、その、扱いこんなですけど大好きなんですよ??
この物語は予定では月一更新くらいのペースで投稿して参りますので、良かったらお付き合い頂けたら幸いです~!
と言う訳で次回、第2話「聖女」…再び触媒と言いますか召喚のお話です。お楽しみに!

0 件のコメント:

コメントを投稿

好意的なコメント以外は返信しない事が有ります、悪しからずご了承くださいませ~!