2018年4月17日火曜日

【僕のヒーローアカデミア二次小説】手重ね【物拳】※再掲

■タイトル
手重ね

■あらすじ
突然の雨に物間と拳藤は。
相思相愛系物拳です。色々捏造設定注意!

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。
※注意※2017/10/12に掲載された文章の再掲です。本文も後書も当時そのままになっております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 物間寧人 拳藤一佳 物拳 ヒロアカ


Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8783475
Fantia■https://fantia.jp/posts/21683

■手重ね

※色々捏造設定なのでなんでも許せる方向けのお話だよ!


「――ツイてないな」

ショッピングモールの書店で単行本を買い漁り、店を出ようと思った矢先、曇天からざぁざぁと白雨が降り注いだ。
物間はこんな日に限って傘を携行していない事を悔やみながら、いつ雨が止むだろうと携帯端末を操作するも、これから日の入りまで降雨は収まらないと言う情報を得て、落胆と共に肩を落とすのだった。
「参ったな……」灰色の空を見上げると、気を取り直すように店内に戻ろうとする物間。「傘、また新調するか……」
「そんな浮かない顔して、どしたの?」
振り返った先に、拳藤が不思議そうな顔で佇んでいた。
手には、重そうなビニール袋。食み出ているのはネギのようだ。
手荷物に傘が無い事を見て取った物間は、可哀想な同志を見つけた事を憂い、親指で背後――水飛沫を上げる路上を示した。
「この土砂降りの中、ずぶ濡れになって帰るつもりかい?」
「あぁ、あんた傘が無いのかい」腑に落ちたと言わんばかりに小さく首肯する拳藤。「じゃあ一緒に帰る?」
「二人一緒にずぶ濡れになってか?」嘲るように鼻で笑う物間。「遠慮しとくし、何なら君の分の傘も買ってあげてもいいけど?」
「まさか」肩を竦めて小さく笑う拳藤。「私の個性、こういう時に役立つんだよ」

◇◆◇◆◇

「……こんな風に君の個性が使われるのは、正直意外だったかな」
「そう? 寧ろ私は発想力貧しいからさ、こういう使い方しか思い浮かばなかったけどね」
二人は雨の降り頻る路上を並んで歩いていた。
だが、二人ともずぶ濡れではない。
頭上を、拳藤の巨大化した左手が覆っていた。
「併しアレだね、こういうのって相合傘って言うんじゃないかい」おどけた様子で呟く物間。「恥ずかしくないの?」
「いやそれ私の台詞じゃない?」思わず苦笑を浮かべる拳藤。「私の手で覆われてるのに、何食わぬ顔で歩いてるあんたのメンタルの方が凄いよね」
「? 君が個性を有効活用している事の何に恥ずかしさを覚える事が有るんだい?」
不思議そうに、拳藤の皮肉に本当に気づいていないかのような振る舞いをする物間に、彼女は「こいつ……」と嬉しくも有り、恥ずかしくも有る感情を滲ませる。
「……まぁ、あんたが良いなら良いけど、別に」
拳藤が敗北感を味わいながら視線を逸らした瞬間、車道をトラックが駆け抜けて行った。
その直前、物間は拳藤の右腕に触れ、右手を巨大化――泥水を浴びる前に、右手で全て受け止めた。
一瞬の出来事に、拳藤は驚きの表情を見せていたが、物間は至って冷静な表情で「それに、この有効活用は僕が介在して初めて至高になると言えるね」と口唇を喜悦に歪めた。
「君が左手で頭上からの水滴を遮り、僕が右手で車道の泥はねを防ぐ。これで完璧な布陣さ」
得意満面と言った風情で語る物間に、拳藤は感嘆したのか、瞠目した表情で小さく首肯を繰り返した。
「やっぱり物間は、個性のコピーって個性だけあって、応用力が高いよね。あんたの前じゃ、唯一無二は有り得ないって言うけど、あんた自身が、その唯一無二じゃなくなった個性を、唯一無二に変えちゃうんだもんなぁ」
感動しているのか、独語のように感想を呟く拳藤に、物間は呆気に取られた表情を浮かべた後、気まずそうに、――嬉しそうに、そっぽを向く。
「僕の名言をアレンジして言われるのは、流石に面映ゆいかな」
「あっ、珍しっ。照れてる」
「……君も、人を煽る才能が有るよ、絶対」
そう言うと二人は悪戯っぽく微笑み合い、雨天の家路をのんびりと進むのだった。

【後書】
拳藤さんの個性が有ればこんな事が出来るのでは~って妄想を膨らませたお話でした。
実際、雨の日に殆ど無意味に等しいにも拘らず手で頭を覆って駆け抜けてる人がいますけど、拳藤さんぐらい手が大きくなるなら全然ありなんじゃないかなって!
「二人が揃う事で最強と成る」って辺りにニヨニヨしてしまう性格をしているので、これから二人には雨の日に毎回並んで歩いて欲しいですね!(笑)
と言う訳でアニメのヒロアカ二期が終わってしまっても物拳短編は続きます! 10月一杯、どころか11月の頭ぐらいまで、毎週木曜の更新をお楽しみに! 

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