2018年4月17日火曜日

【スターフォックス二次小説】全壊系前線基地・カタリナ〈前編〉

■あらすじ
カタリナ前線基地に行く前の会議を始めた。
※スタフォは64ぐらいしかマトモにプレイしてないのですが、その中でも未だに憶えてるステージがカタリナ前線基地でした。「俺達を犬死にさせるつもりか!」って名言ですよね。私大好きです(ニッコリ

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、【Pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。
※注意※2013/09/01に掲載された文章の再掲です。本文が当時そのままになっております。

■キーワード
スターフォックス64 コメディ ギャグ

Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2766941

全壊系前線基地・カタリナ〈前編〉


その日もグレートフォックスでは会議が開かれていた。
綿密な意志の疎通こそが、針の穴を通すような計画を実行に移す原動力になる。それが四人の共通見解なのだ。
「明日はカタリナの前線基地に向かう事になる」ホワイトボードに記されている“カタリナ前線基地”と言う文字を円で囲むフォックス。「ここで予想される戦闘に就いて何か意見は無いか?」
「俺から一ついいか」スッと挙手するファルコ。
「なんだ? 言ってみてくれ、ファルコ」手に持つペンで指し示すフォックス。
「カタリナの前線基地には一度行った事が有る。地理に関しちゃまず問題ねえぜ」フッと微笑を見せるファルコ。
「それは心強いな」感心して首肯を見せるペッピー。「併しファルコ、お前一体何の用で前線基地なんかに?」
「ちっとやんちゃしちまってな……」フッと視線を逸らすファルコ。
「暴走族だった時に兵士のアーウィンでも煽ったのか?」呆れ顔のフォックス。
「いや、暴走族だった時に前線基地を襲撃して全壊しちまった」テヘペロなファルコ。
「全壊!? 暴走族だとしても度が過ぎるだろ!! 一度全壊して改築されたカタリナ基地に向かうの俺達!? 気まず過ぎるだろ!!」ペンを圧し折りそうな勢いのフォックス。
「まぁそうがなるなよフォックス」爽やかな表情のファルコ。「一度や二度くらい、全壊したっておかしくない基地だったぜ?」
「どんだけ脆弱な基地なんだよ!! 併もお前、一度ならず二度も全壊したのか!? アンドロフ軍なんか来たら瞬壊される気しかしないんだけど!?」そこではたと気づくフォックス。「ビル!? そうだ、俺の古い友達がいるんだけど!? ビル生きてるよな!? ビルまで壊してないよな!?」
「ビルって機械か何かなの?」仏のような顔をしているスリッピー。
「ビル? ……あぁ、あの犬死にした奴か」ポン、と手を打つファルコ。
「うわぁぁぁぁッッ!! ビルゥゥゥゥッッ!!」顔を両手で覆ってエビ反りになるフォックス。涙が滝のように流れ始めた。「ファルコてめえェェェェッッ!! 敵討ちだッッ!! お前をッ、今ッ、ここでッ、仕留めるッッ!!」
「落ち着くんじゃフォックス!! 今お前がここでファルコを仕留めても何にもならん!! ビルとやらの事は残念じゃが……今は耐えるんじゃフォックス!!」フォックスを羽交い絞めにして必死に説得するペッピー。
「そうだ、ビルって奴の遺言を聞いてたのを忘れてたぜ、フォックス」
ファルコが指を立てると、こめかみに添えて瞑目した。内容を思い出そうとしているのだろう、難しい表情になっていた。
「遺言……? ファルコ、聞かせてくれ……ビルは一体何と言って亡くなったのか……」今にも倒れそうな程に憔悴しきった表情でファルコを見やるフォックス。
「確か……『各隊、援軍が来るまで持ち堪えるんだ! ドーベル隊は、基地の援護に回れ! バーナード隊! 基地には何も通すな!』とか言ってたな」
「何かオイラ、デジャヴュとしてこれからその台詞を聞く気がするよー」やっぱり仏のような表情のスリッピー。
「その後に俺が『たっぷり礼をしてやるぜ!』と返して、『ファルコ! 俺達を犬死にさせるつもりか!』って言った後、もう通信は聞こえなくなったな」
「お前かァァァァッッ!! お前がビルを殺ったのかァァァァッッ!!」再びファルコに向かって殴りかかろうとするフォックス。
「待て落ち着くんじゃフォックス!! どう考えてもファルコに責が有るとしか思えんが、今は耐えるんじゃ!! 明日にはそのカタリナ前線基地に援護に向かうんじゃぞ!? ファルコ無しでは勝てる戦闘も勝てん!!」フォックスを羽交い絞めにして必死に説得するペッピー。
「い、いやでもッ、聞いてペッピー!? 俺の古い友人を簡単に殺害してのけたファルコだぞ!? 俺は絶対に許せない!! その手を離してくれ!!」必死に抵抗するフォックス。
「まぁ話は最後まで聞けよ、フォックス」澄まし顔のファルコ。「カタリナ前線基地を三回全壊した後にな、ビルって奴から連絡が来たんだよ」
「暴走族に三回も全壊させられる前線基地って何なん? ねぇ、何なん?」白目を剥きまくっているフォックス。「ってビル生きてたのか!? 三回も全壊されたのに、よく生きてたな!!」
「確かビルって奴はこんな事言ってたぜ。『お願いしますファルコ様、もうこれ以上カタリナ前線基地を全壊するのは止めて下さい、本当に止めて下さいお願いします、何でもしますからほんと勘弁して下さい』って、すっげぇ小さい声でブツブツ言ってたな」
「前線基地もそうだけどビルって人も完全に心が全壊してたんだね」仏の顔が離れないスリッピー。
「うわぁぁぁぁッッ!! 理不尽な暴力がビルを襲うッッ!! これもう今から俺達がカタリナ前線基地に行っても到底受け入れて貰えないよ!! 寧ろアンドロフ軍よりも性質の悪い奴らだって思われちゃうよ!!」両手で顔を覆って号泣するフォックス。
「心配いらねえよ、その時俺はちゃんと言ってやったぜ。『何でもしますだぁ? 上等だ、まずはその前線基地を最高峰の設備で固めておきやがれ。もし次も適当な設備だったら、その時は容赦無く全壊にしてやるからな!』……ってな」
それはファルコなりの善意だったのかも知れない。脆弱な設備で建築された前線基地では、有事に善戦できない可能性が有る。それを憂慮し、少しでも剛健な設備に新調して貰おうと敢えて襲撃し、自ら憎まれ役を買って出た……
そんなファルコの意志が見え隠れしているような気がして、フォックスは不覚にも涙が出そうになった。既に滂沱と流れてる涙はさておきだ。
「……そうだな、じゃあ明日カタリナ前線基地に行けば、きっと強靭な施設に生まれ変わってる筈……強大なアンドロフ軍にも善戦できる筈だ!」
そう言って爽やかに涙を拭ったフォックスに、ファルコも同様に爽やかな表情で頷いた。
「まァ四回目もあっさり全壊したんだがな」
フォックスの顔から生気が失われたのは、次の瞬間だった。

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