2018年4月19日木曜日

【僕のヒーローアカデミア二次小説】スキルコンプレックス【物拳】※再掲

■タイトル
スキルコンプレックス

■あらすじ
「自分の個性が好きじゃない」と言う拳藤に物間は。
相思相愛系物拳です。色々捏造設定注意!

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。
※注意※2017/10/26に掲載された文章の再掲です。本文も後書も当時そのままになっております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 物間寧人 拳藤一佳 物拳 ヒロアカ


Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8836771
Fantia■https://fantia.jp/posts/23240

■スキルコンプレックス

※色々捏造設定なのでなんでも許せる方向けのお話だよ!


「私さ、自分の個性って正直、好きじゃないんだよね」

県内最多店舗数を誇る、ナウでヤングな最先端、木椰区ショッピングモールで拳藤の買い出しに付き合っていた物間は、粗方の買い物を終えた所で一休み、とカフェテラスに入って二人で休憩を満喫していた。
休日のショッピングモールである、それも大規模な店舗であるここには無数の客が犇めいている。雑踏の音で掻き消されそうになった拳藤の呟きを、物間は危うく聞き逃すところだった。
拳藤はストローでカップの中を掻き混ぜながら、他愛無さそうに、視線をカップの底に注いだまま、漫然と話を続ける。
「超人社会に於ける個性ってさ、確かに上手く活用すればヒーローにだってなれるし、悪用すればヴィランにもなれる、力の元、みたいな存在じゃん」クルクルとカップの中で氷が回っている。「そう割り切れば、確かに良いのかも知れないけどさ。私は、自分の手が大きくなるのって、女の子としてさ、どうかと思う訳よ」
溜め息を吐きながら、肘を立てて手の甲に顎を載せ、カップの底ではない世界を見つめる拳藤に、物間は暫く何も返さなかった。
「……個性って、言わばコンプレックスの塊だからね」
遠い世界に視線を飛ばしていた拳藤の顔が、ゆっくりと物間に向く。
彼は剽げた表情を浮かべて肩を竦めると、店内を歩く客に視線を逃がした。
「自分の個性が好きじゃない奴がいても、不思議じゃないさ」
「……それが、ヒーローだとしても?」
「それでヒーローを生業として生きていけるならね」
だよねぇ、と憂鬱そうに凹む拳藤に、物間は再び視線を向けると、手振りを交えて語り始めた。
「拳藤が、自分の個性が好きじゃないように、僕も自分の個性は好きじゃない」
「そうなの?」不思議そうに顔を持ち上げる拳藤。「あんたの事だから、気に入ってると思ってたけど」
「誰の個性でもコピーできるって事は、誰の代わりにでもなれるって事で、つまりそれは、僕である必要が無いんだよね」
唯一無二が、物間の前では存在しないように。
物間には、唯一無二である物が存在しない。
それが、物間のコンプレックス、と言う事なのだろうか。
「じゃあ私ら、自分の個性が嫌いなヒーロー二人組って事か」
にひ、と嬉しそうに笑う拳藤に、物間は片眉を持ち上げて、「そうでもないさ」とおどけてみせた。
「どういう事?」
「――拳藤。手、巨大化してみてくれないか?」
公共の場で、突然個性を使えと言うのは、ヒーローとしてどうなんだ。
そんな想いに駆られるも、いつになく真剣な表情の物間に気圧される形で、拳藤は右手を巨大化――置き場所が無いため、挙手する形で顕現させる。
「これでいいの?」
「ハイターッチ」
突然、物間も同じように右手を巨大化させ、巨大化した手同士で、宣言通り、ハイタッチする。
訳が分からない様子で物間を見つめる拳藤に、彼はしてやったりと言った顔で悪い笑みを覗かせた。
「拳藤は自分の個性が嫌いかも知れないけど、僕は拳藤としか出来ないこの個性が、好きだからね」
そう言って手を戻すと、ふざけた微笑を見せる物間に、拳藤は数瞬、惚けた顔を浮かべていた。
やがて何かを悟ったように口唇に笑みを刷くと、巨大化したままの手を振り下ろし、物間の頭を優しく撫でた。
「物間でも、他人を励ませられるんだ?」
「似合わないかい?」
「ううん、ありがと」
感謝を告げる拳藤の頬が若干紅潮しているのを見て、物間は嬉しそうに口唇を歪め、気づかないふりをしてそっと視線を雑踏に逃がすのだった。

【後書】
個性(才能?)=コンプレックスだと思わずにいられなかったお話でした。
他人から見てすげーって思われても、自分自身がその個性(才能)を好きじゃないパターンも有ると思うんですよね。仮にヒーローだとしても。
それをひっくるめて好きだと言われたら、そりゃもうグニャグニャになりますよねw
何と言いますか、こう、恋愛系ではなくとも、互いに分かり合ってる、励まし合える男女って、尊いなぁって…!
と言う訳で次回もそんな甘々な物語を! お楽しみに~!

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