2018年4月20日金曜日

【僕のヒーローアカデミア二次小説】そんなあんた/君だから【物拳】※再掲

■タイトル
そんなあんた/君だから

■あらすじ
拳藤からデートに誘われた物間。
相思相愛系物拳です。色々捏造設定注意!

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。
※注意※2017/11/02に掲載された文章の再掲です。本文も後書も当時そのままになっております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 物間寧人 拳藤一佳 物拳 ヒロアカ


Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8864272
Fantia■https://fantia.jp/posts/24186

■そんなあんた/君だから

※色々捏造設定なのでなんでも許せる方向けのお話だよ!


「物間ー、一緒に映画見に行かない?」

放課後の雄英高Bクラスの教室。生徒が続々と退室していく中で、物間もその流れに従うように教科書やノートを通学用の鞄に詰め込んでいた。
顔を上げると、映画館のチケットを二枚、見せびらかすようにヒラヒラと宙を泳がせながら、拳藤が微笑んでいた。
「明日」
「何でそんな急なの!?」思わずツッコミの声を上げてしまう物間。
「ダメ?」こと、と悪戯っぽく小首を傾げる拳藤。
「ダメじゃないが……」
「じゃあ明日、木椰区ショッピングモールで待ち合わせ、午前十時中央広場! じゃねー」
チケットを一枚机に置いて、颯爽と立ち去って行く拳藤を見送る物間。その様子を見ていた生徒は皆「男前過ぎるだろ……」と感心したような呆れたような感想を懐くのだった。
物間も、おどけた表情で肩を竦めるだけで、拳藤に対して文句の一つも言わずにチケットをスラックスのポケットに納める辺り、見ていた生徒は皆「夫婦かよ……」と、やっぱり感心したような呆れたような感想を懐いて、帰途の準備に戻るのだった。

◇◆◇◆◇

「お待たせー! やっぱ物間早いなー、絶対そんな気したもん」
木椰区ショッピングモールの中央広場に在るベンチで、単行本を片手で開いて読書に耽っていた物間の頭上から、拳藤の楽しそうな声が下りてきた。
顔を上げると、私服姿の拳藤が「よっ」と軽やかに手を挙げて笑った。
「どれくらい待った?」
「五分も待ってないよ」単行本を閉じ、肩を竦めながら立ち上がる物間。「まだ待ち合わせの時刻にすらなってないじゃないか」
「ふーん?」ニヤニヤと意地悪そうに笑む拳藤。「十分前から見てたのに?」
「……趣味が悪いね」ばつが悪そうにそっぽを向く物間。「僕をからかうのが目的だったのかい?」
「ごめんって」小さく手を挙げて頭を下げる拳藤。「つい嬉しくてさ、物間も期待してるって事が」
「僕が何を期待しているって言うんだい?」ハッ、と鼻で笑い、併設されている映画館の方へ向かって歩き出す物間。「僕は映画のチケットを貰ったんだから、タダで観に行ける。その事実を有効活用してるだけだけど?」
「嘘でも“帰ってもいいんだぜ?”って言わない辺りにさ、物間って良い奴だよな~って思う訳よ」物間の左側に並ぶように歩く拳藤。「からかったのは謝るからさ、一緒に観ようよ、映画」
「……」はぁーっと溜め息を落としながら、映画のチケットで拳藤の額を叩く物間。「初めからその予定だったじゃないか、何を言ってるんだい君は」
呆れ果てた表情で先を行く物間に、拳藤は思わず笑みを零してから、「うん、そうだったね」と軽やかな足取りで彼の隣に並ぶのだった。
「――あっ、あいつ雄英祭に出てた生徒じゃね?」
不意に、二人に向かってそんな声が飛んできた。
二人が同時にちら、と視線を向けた先では、軽薄そうな若者が三人、ヘラヘラと笑いながら指差していた。
「あいつあれだろ? 優勝した奴に喧嘩吹っかけて負けた奴」
「弱ぇ個性の癖に、強ぇ個性に挑むとか、頭足りてないんじゃないの?」
「口だけ達者な雑魚でしょ、俺の個性でも勝てるかもじゃね?」
三人が銘々に嘲弄し合っているのを見て、著しく気分を害した拳藤が「ちょっとあんたら……」と思わず声を掛けようとした時、物間が一歩前に出て、歪んだ笑みを覗かせた。
「何? “高校生”のヒーローの卵に罵詈雑言ぶつけちゃう辺り、そんなに自分に自信が無いんですかぁ? あれれぇ? それとも僻み? 自分がより秀でた個性じゃないと、優勝できなかった僕より優秀じゃないといけないぐらいに、自分に自信が無いのかなぁ?」
手振りを交えて、積極的に煽って行く物間に、三人は一瞬惚けた顔をした後、怒りを沸騰させて「おい手前……」と刹那に喧嘩腰になった瞬間、拳藤の手刀が物間の首筋にクリーンヒットした。
くたり、と拳藤の腕に凭れ掛かる物間に、彼女は三人に小さく頭を下げると、「ごめんね、でもあんたらも注意した方がいいよ、喧嘩売っちゃいけない卵もいるから。じゃ!」と物間を背負って遁走した。
残された三人は怒りの矛先を失い、互いに見つめ合って舌打ちを奏でるのだった。

◇◆◇◆◇

「物間! 一般人を挑発するとか、流石にそれはヒーローの卵として失格じゃないかな!」
先刻の場所から離れたフードコートで、椅子に座らせた物間に、腰に手を当てて拳藤が説教していた。
「これで乱闘騒ぎに発展したら、流石に私でも庇いきれないよ! 雄英高にも波及するだろうし。判ってる?」
「分かってるさ」肩を竦めておどける物間。「僕には僕のやり方が有るからね、あの場を治める方法も考えてたさ」
「そう。……でもね、一番私が頭にキてるのは、そこじゃないんだ」
グイっと、物間の胸倉を掴んで顔を引き寄せる拳藤。
顔と顔が接触する程の距離で、拳藤は物間を睨み据えて、告げた。
「私と二人きりなんだからさ、私を、“私だけ”を見てよ」
数瞬、急接近した顔に物間は瞠目していたが、肩と一緒に鼻息を落とした。
「悪かった、謝るよ」
「ならいい」胸倉を離し、ふぅ、と小さく吐息を漏らす拳藤。「映画、始まっちゃってるじゃん。あーあ……」と腕時計に視線を走らせて落胆の声を連ねた。
「……君も、変わってるよね」
「何が?」
「こういう事が有るって、“僕と一緒にいれば”、こういう事が起こり得るって、事前に分かりそうなものじゃないか」背凭れに寄りかかり、物間は手振りを交えて剽げる。「そんな僕をデートに誘おうとか、変わってるな、と思ってね」
自嘲するように呟く物間に、拳藤は小馬鹿にするように右手を口唇に添えて、小さく噴き出した。
「何がおかしいんだい?」
「――そんなあんただから、一緒にいたいんだよ」
そう言って微笑む拳藤に、物間は一瞬、虚を衝かれた表情を浮かべるも、すぐに呆れた苦笑を覗かせて肩を竦めた。
「そう言われたら敵わないな」
――だって僕も、そんな君だから、――
そう続けようとも思ったが、物間は口にせず立ち上がり、「さっきの詫びだ、何か奢ってあげるよ」とフードコートのカウンターを指差して歩き出した。
「そう来なくっちゃ!」
嬉しそうな表情を見せて、物間を追って歩き出す拳藤だったが、内心では、(その続きを、聞きたかったんだけどな)と、残念そうな笑みを浮かべるのだった。

【後書】
男前にデートを誘うシーンとか、「私だけを見ろ」と真剣に告げられるシーンとか、「そんなあんただから」と微笑むシーンとか、わたくしが愛して止まないシーンをこれでもかと詰め込んだお話です。ワシは満足じゃ……(満面の笑み)。
性癖ドストライクな物語を綴ってこそ物書きだと思いますので、今後も隙あらばこういう物語を綴って参りたいですね!

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