2018年4月21日土曜日

【僕のヒーローアカデミア二次小説】眠り姫【物拳】※再掲

■タイトル
眠り姫

■あらすじ
物間を「眠り姫」と称する拳藤。
相思相愛系物拳です。色々捏造設定注意!

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。
※注意※2017/11/09に掲載された文章の再掲です。本文も後書も当時そのままになっております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 物間寧人 拳藤一佳 物拳 ヒロアカ


Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8889491
Fantia■https://fantia.jp/posts/25064

■眠り姫

※色々捏造設定なのでなんでも許せる方向けのお話だよ!


「もし、大切な人の事を忘れてでも生きる事になったら、私は辛くて前を歩けなくなりそう」

雄英高の近くに在る喫茶店で、物間と拳藤はテーブルを挟んでランチを摂っていた。
朝に二人で映画を鑑賞して、その帰りにランチと称して喫茶店に立ち寄り、コーヒーとココア、それとサンドイッチを頼んで、のんびりと食事を楽しみながら、つい先刻鑑賞した映画の感想を語り合っていた。
映画の内容はと言えば、世界から忘れられてしまう病気を患った少年と、そんな少年に恋をした少女の、ボーイ・ミーツ・ガールなロマンスストーリー。
結局少年は世界から忘れられてしまうのだが、少女だけは憶えていて、少年のいない世界で気高く生きていく……と言う締め括り方をされていたのだが、拳藤としては作中の少女の在り方が、自分には真似できない、と感じたようだった。
「あの女の子は憶えていたようだったけれど」カップをコースターに戻しながら応じる物間。
「それはそれとして、って事」“それは置いといて”、とジェスチャーする拳藤。「好きな奴の事を忘れてでも生きたいか、って問われると、私はノーかな。辛いと思うんだよね、絶対」
「忘れてしまっているのに、辛いも辛くないも無いんじゃないかな」テーブルに腕を置いて小さく手振りを交える物間。「忘れてしまっているのに、好きな奴の事が思い出せなくて辛い、と言う心境にはならないと思うけど」
「……痛いとこ衝くじゃない」難しい表情で唇を尖らせる拳藤。「物間は、好きな奴の事を忘れても、辛くないって事?」
「辛いと感じないだろうし、寧ろハッピーなんじゃないかな」剽げた表情で皮肉っぽく笑む物間。
「ハッピー? どうして?」
「またそいつの事を好きになれるでしょ」
そう言ってしたり顔で笑う物間に、拳藤は再び虚を衝かれた表情を見せたが、「……なるほど、そういう考えも、有りっちゃ有りか」と顎に拳を添えて俯いた。
「そしたら物間は、眠り姫だね」
「は? 何で?」訳が分からないと言った様子で小首を傾げる物間。「どこにそんな要素が有るんだい?」
「好きだった王子を忘れてしまった姫様は、王子のキッスで目が覚めるって事」腕を突き出して、物間の鼻っ柱を人差し指で突く拳藤。「そしたら好きだった記憶を思い出して、めでたしめでたし」
「王子が姫様を好きかどうかも分からないのにかい?」ハハッ、と乾いた笑声を零す物間。「知っててやってるなら、王子もよっぽど姫の事が好きなんだろうね、それ」
「そうさ」物間を見据えて、挑戦的な笑みを覗かせる拳藤。「目覚めのキスで夢から覚ませてやる。あんたをこんなに好いてる女がいるって事を、分からせてやるんだ」
数瞬の沈黙がテーブルに降り、やがて物間は肩を竦めておどけた表情を浮かべた。
「……いつから王子は女体化したんだい?」
「さてね」と言ってカップを手に取ってココアを口にする拳藤。「何なら詳しい解説、いる?」
「遠慮しとくよ」降参だ、と諸手を挙げる物間。「記憶を失いたくなるほどの辱めを受けたくないからね」
物間の自嘲気味の苦笑に、拳藤は「素直で宜しい」と嬉しそうに微笑を返すのだった。

【後書】
この映画の元ネタはわたくしの拙著「春の雪」と言う、恋愛モノになります。「小説家になろう」でだけ掲載しているので、良かったら読みに来て頂けると嬉しいです!
と言う訳で、遂に物拳短編もこれで10作品目です。前回の映画編の続きと言う立ち位置の物語ですが、前回のお話を読んでいなくても単品として愉しめる作品にも仕上げました。
映画を視聴し終えた後に、喫茶店で感想を述べ合うって、初々しさと熟年の夫婦感が相俟って、堪らんのです……

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