2018年4月13日金曜日

【僕のヒーローアカデミア二次小説】カッコ悪いヒーロー【物拳】※再掲

■タイトル
カッコ悪いヒーロー

■あらすじ
物間が怪我をしたと聞いて飛んできた拳藤。
相思相愛系物拳です。色々捏造設定注意!

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。
※注意※2017/09/21に掲載された文章の再掲です。本文も後書も当時そのままになっております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 物間寧人 拳藤一佳 物拳 ヒロアカ


Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8748597
Fantia■https://fantia.jp/posts/19482



■カッコ悪いヒーロー

※色々捏造設定なのでなんでも許せる方向けのお話だよ!

「――物間、ほんとあんた、何してんの?」

病院の一室で、包帯の巻かれた腕で単行本を読み漁っていた物間に、扉を開け放った拳藤の、怒りとも安堵とも付かない、溜め息のような声が飛来した。
単行本から目を上げた物間は、そこで単行本を片手で閉じ、「何って、ここ、どこだか分からない?」と言って手で病室を示す。「病室なんですけど?」
「あんたが怪我したって聞いたから、何事かと思ったんだよ」
はぁーっと大きな溜め息を盛大に吐き出すと、彼のベッドの近くに有ったスツールに腰掛け、物間を改めて見やる拳藤。
「怪我、そんなに酷くないみたいじゃん」
「酷かったら優雅に読書に励んでる訳無いと思わないかい?」
「怪我の理由にもビックリだよ、あんた、カッコつけようとしてドジ踏んだんだってね」
軽口で済まそうとしていたのに痛い所を衝かれたのか、澄ました微笑が固まり、ぐうの音も出なくなる物間。
拳藤は物珍しそうに物間を観察し、右手を唇に当てた。
「あれま、この噂、ほんとだったんだ」
「く……ッ」しくじったと言わんばかりに顔を押さえる物間。
「ほんと、何してるの物間? この大事な時期に、ヴィラン相手に大立ち回りして怪我とか、Aクラスの事、煽れなくなっちゃうんじゃない?」
「――悪かった、僕が悪かったから、それ以上傷口に塩を塗りたくるのはやめてくれないか」降参だと諸手を挙げて項垂れる物間。「拳藤の言う通り、純然たる僕個人のミスだ、それでBクラスに迷惑が掛かるのは、僕の本意じゃないし、申し訳ないとも思ってる。だから……」
意気消沈した様子で肩を落とす物間を、拳藤は物珍しそうに見つめる。
「何でまた、カッコつけようとなんかした訳よ」
「……」
全く追及の手を止めようとしない級友に、物間は苦しそうに視線を逸らして、沈黙を返した。
「誰か、カッコよく見られたい相手でもいる訳?」
「……」
「――物間は、カッコつけなくていいよ」
不思議そうに顔を上げると、拳藤はいつもの調子で物間を見つめていた。
物間は一瞬何を言われたのか分からなかったが、すぐに軽口を叩ける雰囲気なのだと察して、口唇を嘲笑の色に染めた。
「僕はカッコつけなくてもカッコいい、とでも言いたいのかい?」
「いや? 物間はカッコ悪いヒーローだよ」
「……言ってくれるね」
流石にこうも真正面から言われると、心に名の有る病気を有している物間でも、黙っていられる訳が無かった。
それも、好意を寄せている女生徒から、カッコ悪いとまで言われて、前を向いていられるだけのメンタルも有してはいなかった。
「物間は、カッコ悪いヒーローでいいのさ」
暗い影が出来上がりつつあった物間に、明るく声を掛ける拳藤。
振り向くと、拳藤はやっぱり笑っていた。人を鼓舞する、魅力的な笑みを浮かべて、更に言葉を連ねる。
「私だけが物間の魅力を知ってたら、私だけが物間の魅力を独り占めできるだろ?」
そう言って笑う拳藤に、物間は数瞬呼吸する事を忘れて、頭が熱くなる感覚に身を浸した。
――敵わないな。
敗北を表明するように、無言で肩を竦めてみせると、拳藤は「だから、無理にカッコつけなくていいよ、物間は」と物間の額を指で小突いた。
「私だけのヒーローでいればいい、だろ?」
「……それ、告白として受け取っていいのかい?」皮肉った笑みを口唇に浮かべて尋ねる物間。
「勿論! あんたの第一のファンなんだからさっ」人差し指を物間に突きつける拳藤。
「……くそう、君にはやっぱり敵わないな」結局、敗北宣言を口にしてしまう物間。
そう、二人して笑い合ってると、扉の間から「乳繰り合いはその辺でいいか?」と泡瀬達Bクラスの面々が気まずそうに尋ねてきて、二人は同時に赤面し、Bクラスの面々も居心地悪そうに物間を見舞っていくのだった。

【後書】
アニメのEDテーマであるLiSAさんが歌う「だってアタシのヒーロー」を拝聴して思い浮かんだ物語になります。素敵なミュージックなのでぜひご一聴頂ければ幸いです!
曲のテーマとは異なる展開なんですけど、「私だけが知ってるヒーロー」ってドチャクソ魅力的なワードじゃないかなーって思うんですよわたくし。
ところで、全5回を予定しておりました物拳短編の週刊連載でしたが、全7回に延長する事になりました! 10月も引き続きお楽しみにお待ち頂けたらと思います~!

0 件のコメント:

コメントを投稿

好意的なコメント以外は返信しない事が有ります、悪しからずご了承くださいませ~!