2018年4月23日月曜日

【僕のヒーローアカデミア二次小説】同じ人【物拳】※再掲

■タイトル
同じ人

■あらすじ
幼い頃の夢を見る拳藤。
相思相愛系物拳です。色々捏造設定注意!

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。
※注意※2017/11/23に掲載された文章の再掲です。本文も後書も当時そのままになっております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 物間寧人 拳藤一佳 物拳 ヒロアカ


Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8938811
Fantia■https://fantia.jp/posts/26683

■同じ人

※色々捏造設定なのでなんでも許せる方向けのお話だよ!


「なんで泣いてるの?」

自分の泣き声が聞こえる。幼い自分が泣いている声が、世界に反響している。
夢を見ているのだと、拳藤はすぐに気づいた。懐かしい夢。幼い頃の夢。
近所の公園で、近所の子供同士で、発芽した個性の見せ合いをしていた時の出来事だ。
拳藤は己の手が巨大化する個性を見せて、皆の反応を見て、公園の隅で泣いていた。
そこに、見知らぬ少年が声を掛けてきたのだ。
泣きじゃくる拳藤は、顔を上げずに、目元を何度も拭いながら、しゃくり上げた声で応じる。
「手がっ、手が大きくなるなんて、可愛くないっ、って、言われた……」
「可愛くないから、泣いてるの?」
懸命に応じたにも拘らず、少年の声は無機質そのものだった。
まるで、拳藤の告げた罪状を理解できない裁判官のように、少年は不思議そうに泣きじゃくる拳藤を見下ろしている。
拳藤は止め処なく流れる涙を拭いながら、怨嗟を吐き出すように、憎悪を以て、短く己の想いを言の葉に載せる。
「こんな個性、無ければいいのに」
拳藤が己自身を、この世界を、あらゆる他人を憎もうとするように告げた台詞に被せるように、彼女の頭に、ぽすん、と柔らかく、優しく、温かく、そして大きな手が、舞い降りてきた。
訳も分からず顔を上げると、少年の手とは思えないほど大きな手が、拳藤の頭を撫でていた。
「そう? 君の大きな手が有れば、大人が撫でてくれるような安心感が無いかい?」
少年はおどけるように口唇を喜悦に曲げる。
拳藤は驚きに目を瞠り、少年を見上げて固まってしまう。
「どうして、わたしの個性……」
「ぼくは君と一緒さ。それでも、泣いちゃう?」
少年はからかうように笑っている。
それがどうしようもなく愛おしくて、拳藤は惚けた表情で暫く少年の顔を見つめる事しか出来なかった。
「わたしと、一緒……」呆然と、少年の言葉を反芻する拳藤。「あなた、名前は……?」
「ぼくかい?」少年は剽げるように肩を竦めると、「ぼくの名前は……」と、名乗りを上げる途中で、世界が白く焼ききれてしまった。
古い写真が焼けてしまうように、真っ白に破れていく。それが、現実世界に戻る、覚醒の合図だった。

◇◆◇◆◇

「――君が居眠りなんて珍しいね」
薄っすらと目を開けると、前の席で単行本に視線を落としたまま微動だにしない物間の姿が視界に飛び込んできた。
ぼんやりと、現実感の無い感覚がまだ抜け切らない頭を持ち上げ、拳藤は目元を擦りながら呆然とした声を漏らした。
「物間……懐かしい夢を見てた気がするよ」
「ふぅん」興味無さそうに応じた物間は、単行本を閉じ、鞄の中にしまい込む。「ほら、早く帰らないと教諭に怒られるよ」と言って立ち上がろうとすると、その服の袖を、拳藤が弱く引っ張った。「どうしたの?」
「物間。“私の手”で、頭撫でてくれない?」
真剣な表情で見上げてくる拳藤に、物間は一瞬瞠目するも、即座に拳藤の個性をコピー、巨大化した手で、割れ物を扱うように、ぽすんと、彼女の頭を撫でた。
「はい、これで満足した?」手を戻し、おどけた表情で背を向ける物間。
「……うん、ありがと」照れ臭そうに微笑む拳藤は、物間の背を追い駆けながら、思わず笑声を零してしまう。「えへへ」
そんな拳藤を不思議そうに振り返りながら、物間は彼女と共に無人の教室を後にするのだった。

【後書】
こんな過去が有ればいいなーって捏造妄想でした。
前にも似たような話を綴った記憶が有りますが、幼少の頃から既にそんな兆しが有った――的な話に弱くてですね……
と言う訳で、今回を以て遂に物拳短編は最終話と相成りました! 尤も、ネタが浮かべばまた綴る予定でおりますゆえ、今回はあくまで“第1シーズン終了”と言う形で締め括らせて頂きます! 何れ来るヒロアカアニメ3期までに、物拳短編の第2シーズンが始められたら……いいな!
と言う訳で約3ヶ月間お付き合い頂きまして、誠に有り難う御座いました! またお逢いできる事を祈りつつ、筆を擱かせて頂きます!(*- -)(*_ _)ペコリ

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