2018年4月14日土曜日

【僕のヒーローアカデミア二次小説】初言【物拳】※再掲

■タイトル
初言

■あらすじ
物間がいつから好きなのか拳藤に訊いてみた。
相思相愛系物拳です。色々捏造設定注意!

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、Fantia【日逆孝介の創作空間】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。
※注意※2017/09/28に掲載された文章の再掲です。本文も後書も当時そのままになっております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 物間寧人 拳藤一佳 物拳 ヒロアカ



Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8748666
Fantia■https://fantia.jp/posts/20156



■初言

※色々捏造設定なのでなんでも許せる方向けのお話だよ!


「拳藤さんって、いつから物間さんが好きなんですか?」

雄英高校の近所に在るショッピングモールで拳藤の買い物に付き合っていた八百万が、カフェテラスでスイーツのケーキを突きながら、世間話の態でそう声を掛けてきた。
拳藤はチーズケーキに突き刺したフォークを空中で止めて、「……八百万さんて、偶にズバリと言うよね」と苦笑を滲ませた。
「ご、ごめんなさい……」悄然と俯く八百万。「その、恋バナと言うのを、やってみたくて、その……」
「ああ、いいよいいよ、気にしてないから」苦笑が微笑に変わり、拳藤はフォークを皿に戻して頬杖を突き、ここではないどこかに視線を飛ばした。「いつから、って言うと、きっと入学式からちょっと経ってから、かな」懐かしむように、ゆっくりと舌に言の葉を載せる。「初めは、物間の事、好きじゃなかったって言うか、寧ろ係わり合いになりたくないなって思ってたよ。あいつ、誰彼構わず煽っていくし、嘲弄するし」
BクラスやAクラスだけでなく、一年の間では共通の認識とも言える、“Bクラスの問題児”と言う所感は、初めて出逢った時に既に芽生えていた。
物間は、同じBクラスの生徒であっても言葉尻を捕らえては煽情的な発言を繰り返し、相手を感情的にさせてトラブルを誘発させる、名の通りトラブルメイカーだった。
Bクラスの委員長として彼の素行を注意する事は、自然と多くなったが、それでも彼はその言動こそが個性とでも言うかのように、どれだけ警告・勧告しても、態度を改める事は無かったし、言動も変わらなかった。
「Aクラスの生徒にしてみれば、Aクラスに喧嘩を吹っかけてくる問題児、って認識なのかも知れないけどさ、あいつ、相手は誰であってもあの態度なんだよ。だから、Aクラスだけじゃなくて、どこのクラスからも疎まれてたりするんだ」
ストレートティーをストローで掻き混ぜながら苦笑する拳藤に、八百万は併し笑みを見せなかった。
困惑。その一言で足りる表情が、八百万の顔に浮かんでいる。
「拳藤さんは、そんな問題児を好きになった……のですか?」
「そう言われると流石に否定したいけど、結果的には、そうなるかな」
あはは、と苦笑を濃くして手を振る拳藤だったが、落ち着いた様子で視線を落とすと、「物間はさ、」と小さな声を吐き出した。
「確かに、誰彼構わず喧嘩を売る問題児だけど、あいつなりの美学って言うのかな。喧嘩を売る相手を、ちゃんと分かってるんだと思う」
「喧嘩を売る相手を、分かっている……?」不思議そうに問い返す八百万。「それは、自分より弱い相手なら、喧嘩を売っても負けない、と言う話でしょうか?」
「あはは、それだと完全にヴィランだよ」思わず失笑してしまう拳藤だったが、すぐに訂正するように八百万を見やる。「何て言うのかな……物間は、自分のために煽ってるんじゃなくて、誰かのために煽ってるんだって、私は考えてる」
「誰かのために、煽っている……」顎に拳を添える八百万。
「……私さ、雄英に入ってからすぐにね、委員長としての素質を問われた事が有るんだぁ」コップの底に視線を据えて、拳藤は言葉を連ねた。「そんな個性で委員長なんて出来るのかよ、とか、手が大きくなるだけの個性で、ヒーロー目指すなんて、とか。直接は言われなかったけどね、偶々教室に向かう道すがら、耳にしちゃってさ」
笑い話のように話す拳藤だが、それを八百万は真剣な眼差しで見つめていた。
「その陰口を叩いてる連中にさ、物間が突っかかって行くとこ、見ちゃったんだ」嬉しそうに口唇を緩める拳藤。「手が大きくなる個性で委員長の座を獲得したけど、君らはそれ以下なのにそれを中傷するなんて、小物にも過ぎるよね。ヒーローの素質無いんじゃない? とか、そりゃもう痛烈痛快に煽ってたよ」
拳藤はコップの底に落としていた視線を上げ、八百万を正面から見据えて、穏やかな微笑を見せた。
「物間にとって、それはいつもの事だったのかも知れないけど、私はとても嬉しくてさ」
「……素敵じゃないですか」拳藤の微笑が伝染するかのように、穏やかな微笑を覗かせる八百万。「自分のためではなく、誰かのために喧嘩を吹っかけると言うのは、確かにヒーローとしては間違っているかも知れませんが、余計なお世話とは、ヒーローの本質でも有る、と言うお話を伺いました。ですから物間さんも、決してヒーローの素質が無いとは言えませんね」
「えへへ、八百万さんにそう言われたら、物間も嬉しいだろうね」自分の事のように照れてはにかむ拳藤。「じゃ、そろそろ帰ろっか」
拳藤が立ち上がった瞬間、背の低い垣根の向こう側に、物間と轟の姿が目に映った。
轟は神妙な面持ちで拳藤を見上げ、「……済まん、声を掛けようと思ったんだが……話が盛り上がってたみたいだったから……」と気まずそうに視線を逸らした。
その向かいに座る物間は顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俯いていた。
「……えーと、どこから聞いてた?」拳藤の手が巨大化し、逃げ出そうとした物間を摘まみ上げた。「物間?」
「八百万が、拳藤に物間をいつから好きなのか、って所からだ」轟がザックリ喋った瞬間、物間が「君も容赦が無いね!?」と悲鳴を上げた。
「へぇー」物間を摘まみ上げた拳藤の顔に青筋が走る。「物間、ちょっと話が有るんだけど、いいかな?」
「日を改めて貰えないかな?」「今すぐだよ」「は、はい……」
そう言って拳藤に掴まったままどこかへ連れ去られて行く物間を見やる轟と八百万の顔には、「もう夫婦じゃん」って書かれていた。

【後書】
こんな馴れ初めだったらいいな!! って言う妄想を吐き出してみました(挨拶)。
その後物間君を見た者はいない……
でも正直、拳藤さん自身、この話を聞かれてもそんなダメージ無いイメージなんですよ。その瞬間は気恥ずかしさ爆発するかも知れませんけど、いつか物間君に聞かせてやりたいと心の底では思ってたらいいなーって。
本来次回で一区切りでしたが、もう少しだけ続きます! 十月も中旬辺りまでお付き合い頂けたら幸いです!

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