【クラン『無人党』のチャットログ】第２話「お爺ちゃん」【オリジナル小説】

■タイトル
クラン『無人党』のチャットログ

■あらすじ
架空のＦＰＳ系シューティングオンラインゲーム『War Life Online(ウォーライフオンライン)』をプレイしている、仲良しのユーザー達が集まってワイワイしているシーンを切り取った短編集です。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
オリジナル　オンラインゲーム　FPS　戦争　ネトゲ　ライトノベル　ミリタリー

■第２話

---

カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054885747217

---

■第２話「お爺ちゃん」


■登場人物
・シガ■シガちゃん。眼帯とポニーテールと八重歯が素敵な少女アバター。
・秀■ヒデさん。シュウさん。団長。頭の紙袋と引き締まった筋肉、上半身裸のガチムチアバター。

「うわっ、団長もうインしてるし。いや寝てないのか？」
　現在時刻を確認すると早朝六時前。にも拘らずクラン『無人党』のクランマスター・秀の活動がクランメニューで確認できた。
「おはようございます、シガさん」
　クラン部屋には秀の姿は無いが、クランチャットで声だけが見える。
「団長おはよー、寝てないの？」クラン部屋で端末を操作しながら声を掛けるシガ。
「私、朝早いんですよ。大体この時間帯にはログインしていますよ」
「えー、はやー。てか、そう言えば団長って夜あんまり見ないよな。朝方プレイヤーなのか？」
「そうですねぇ、夜は八時には就寝していますし」
「お爺ちゃんかよ……」
「ははは、お爺ちゃんです」
　ふと気になり、端末を操作して現在秀が何をしているのか確認するシガ。
「団長、新人区で何してんの？　初心者狩り？」
「そんな悪い事はしません」即座に否定の声を飛ばす秀。「お手伝いですよ、教官スキル習得してますから」
「あー、新米と組むと経験値補正一・五倍だっけ？　いいなー、オレも行こうかな」
「是非に」嬉しそうな秀の声だったが、すぐに「おっと、申し訳無い」と続いた。「もうじきラジオ体操に行くので、もう暫くしてからでも構いませんか？」
「お爺ちゃんかよ……」
「ははは、お爺ちゃんです」
　ともあれ場所を移動する気が無いと見たシガは、クラン部屋を出てクラン保有のバイクを駆り、【キョウゲン】の新人区に向かう。
　新人区では昨日今日ゲームを始めたばかりと思しき、薄緑色の制服を纏ったプレイヤーで溢れていた。
　その中で異彩を放つ男が一人、佇んでいる。
　頭に穴の開いた紙袋を被った、上半身裸の、引き締まった筋肉を剥き出しにした、細身で長身の男。
　どう考えても新米のプレイヤーではない。リアルでいたら確実に事案が発生するに違いない彼こそがクラン『無人党』のクランマスター、秀である。
「やー、相変わらずやべーな団長の姿は」バイクを降りて秀の元に歩み寄るシガ。「新入り達怯えてない？」
「敵兵と間違われたりＮＰＣと間違われたり不具合と間違われたりして七回誤射された程度ですよ」紙袋の下から優しい男声が聞こえてくる。
「団長の鋼メンタル、まじで見習いてぇよ」
「ところで、シガさんも朝早いんですね」のんびりとした声を掛ける秀。「普段この時間帯にインしているのは、私とデコさんぐらいですよ」
「おっさんもこんな朝早くからプレイしてんのかー。おっさん実はニートなんじゃないの？？」ニヤニヤと笑いながら口にするシガ。「オレは今日早起きしただけ！　学校休みだしな！」
「おや、振替休日でしょうか？」
「インフルで学級閉鎖してんだって。昨日の夜に学校からメール来てさー、今日は一日遊べるんだぜヒャッハー！」
「それはそれは。今日はゆっくりできますね」のんびりした声で告げると、秀は「そうだ、」と手を打った。「でしたら今日は私が一日お供しましょうか、シガさんとはログインする時間帯が合わなくて、普段あんまり交流有りませんでしたし」
「えっ、いいのか？」嬉しそうな声を上げるシガ。「てか団長こそ、今日はお休みなのか？　予定とか無いの？」
「今日はこれからラジオ体操に出掛けて、昼にジムに行くぐらいですかね」淡々と応じる秀。
「団長、もしかしてニートなのか……？」
「ははは、お爺ちゃんですから」
「えぇ……」
　そんなお爺ちゃん見た事ねーよ、と心の中でぼやくシガなのだった。

---

【後書】
　ネトゲとかやってると「この人リアルでは一体何してる人なんだ…」って思う事が多いと思うんですよ！
　斯く言うわたくし自身がそう思われてそうな気がしますが！(笑)
　因みに秀さんはPSO2のマイキャラである「日出」さんをまんまイメージしております。あの姿は至高の一言ですから…(恍惚)
　とまぁ、今回は前回とは異なるキャラクターが出てきましたが、今後も色んなキャラクターが登場する予定です。このクラン、六人くらいメンバーがいますからね！　そんなこったで次回もお楽しみに～♪