2018年5月6日日曜日

【神否荘の困った悪党たち】第19話 負けられない戦いが始まりますね【オリジナル小説】

■タイトル
神否荘の困った悪党たち

■あらすじ
非現実系ほのぼのニートフルコメディ物語。宇宙人、悪魔、殺し屋、マッドサイエンティスト、異能力者、式神、オートマタと暮らす、ニートの日常。
※注意※2017/03/11に掲載された文章の再掲です。本文と後書が当時そのままになっております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】、Fantia【日逆孝介の創作空間】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
日常 コメディ ギャグ ほのぼの ライトノベル 現代 男主人公

■第19話

カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054881797954
Fantia【日逆孝介の創作空間】https://fantia.jp/posts/9189

第19話 負けられない戦いが始まりますね


「マナさーん」

 マナさんの部屋の前で扉をノックする。すると部屋の中から顔を出したのはメイちゃんだった。
「マナ様に御用ですか?」ことりと小首を傾げるメイちゃん。
「あっ、うん、用事が有るって言うか、マナさんって普段何してるのかなーって見に来ただけなんだけど」てれてれと頭を掻いてしまう。
「マナ様を観察されたいのですね。どうぞ、お入りください」静々と脇に逸れて部屋に案内するメイちゃん。
「言い方に一言言いたい所だけど、お邪魔しまーす」
 俺の部屋の造りと一緒かな、と思ってたけど、全然違ってた。
 畳敷きだが、壁全面にモニターと計器類がびっしり設置された、目に悪い部屋になっていた。薄暗い訳ではなく、部屋の灯りは煌々と点っているのだけれど、どこを見ても電子機器が輝いてて、目が休まらない。
「あら~、亞贄君、いらっしゃい」白衣姿のマナさんが椅子を回転させて振り返る。「わたしに何か御用かしら~?」
「マナ様を観察されたいとの申請が有り、メイの一存で受理しました」とんでもない事を言い始めるメイちゃん。
「あら~、そうなの~。じゃあゆっくりしていってねぇ~」おっとりとした笑顔で応じるマナさん。
「マナさんの器のでかさには恐れ入りますね」感嘆しきりって奴だ。
 モニターに映っているのは神否荘の一角だったり、どこか知らない場所だったりする。
「これ、何を見てるんですか?」モニターの一つを指差して尋ねる。
 モニターに映っているのはどこかのパーティ会場だ。そこで誰かが演説しているのが判るけど、音声が無いから何を喋っているのかまでは分からない。
「大統領選挙の様子を見てるのよ~」頬に手を当てるマナさん。「トラさんを次の大統領にするって話なんだけど、わたしはこの人あんまり好きじゃないのよねぇ~」
「トラさん」風来坊みたいな愛称だ。「そういうのを確認するのもマナさんのお仕事なんですか?」
「ん? うふふ~、そうねぇ、世界を混沌に陥れたマッドサイエンティストは、今も世界を裏側から操ってるのよ~、凄いでしょ~?」優しい微笑を浮かべるマナさん。
「凄い筈なのに、マナさんが言うと凄くない感じがしてきますね」こんなおっとりした世界の支配者だったら寧ろ歓迎かも知れない。
「あら~、亞贄君たら。うふふ~♪」嬉しげに頬を染めるマナさん。「あらやだ、メイちゃん、今何時かしら?」突然手を叩いてメイちゃんを見つめるマナさん。
「現在東京時間で十時四十七分十四秒です」スパッと応じるメイちゃん。
「いけない! わたし、朝ご飯を食べてないわ!」
「否定。マナ様は一時間二十四分前に朝餉として白米、ワカメと豆腐の味噌汁、ほうれん草のお浸し、厚焼き玉子、新巻鮭、沢庵を食しています」鋭い眼差しのメイちゃん。
「あら、そうだったかしら」不思議そうに頬に手を当てるマナさん。「流石メイちゃんねぇ、よく憶えてるわぁ~」
「マナ様が制作された自律型思考装置、コード【考える君捌號】の成果です」ぺこりとメイド服の裾を広げて一礼するメイちゃん。
「あら~、そんな凄い装置を制作した人がいるなんて、世の中って広いわねぇ」満面の笑みのマナさん。
「はい、世界最高の頭脳を有していると自負しております」心なしか笑っているように見えるメイちゃん。
「うふふ、メイちゃん、あなたやっぱり最高のメイドさんだわぁ~」
「お褒めに与り光栄です、マナ様」
「あっ、今の一連の流れはもしかして定型文でしたか」思わずポン、と手を打ってしまった。「メイちゃんもしゅごいですけど、それを作成したマナさんはもっとしゅごいですよね」
「うふふ~、そんなおだてても何も出ないわよ~」口元を隠して上品に笑むマナさん。「そうだ、亞贄君」パン、と手を合わせるマナさん。「亞贄君、私に頼みたい事が有るんじゃないかしら?」
「えっ?」頼みたい事? と一瞬考えた後、「あぁ、そうでした、マナさんって、ゲームとか作成できますか?」
 人生ゲーム……じゃなかった、人生体感VRをやる前に、神否荘の皆で遊べるゲームを用意できたら楽しいんじゃないかなーって考えていた事を思い出した。
 そう思って尋ねてみると、マナさんは「皆で遊べるゲームを作って欲しいのね?」と、ほんわかとした表情で微笑む。
「マナさんは何でもお見通しなんですね」心が読まれてる感しゅごい。
「マッドサイエンティストに不可能は無いのよ~♪」再び口元を白衣の袖で隠して上品に微笑むマナさん。「亞贄君からお願いされるのを待ってたの。お願いされたからには、私、頑張っちゃうわ」
「あっ、有り難う御座います」ぺこりと頭を下げる。「どんなゲームが出来るのか楽しみだなぁ」
「罰ゲームにトブコプターを使ってね♪」ニッコリ笑うマナさん。
「負けられない戦いが始まりますね」敗者は処刑されるゲームとか、それもう闇のゲームだよね。「じゃあ、改めてお願いしますね」
「お願いされました♪」手を合わせて頷くマナさん。「じゃあメイちゃん、そろそろ朝ご飯にしましょうか」
「不安がしゅごいんですけお」
 結局朝ご飯なのか昼ご飯なのか分からないご飯をマナさんと一緒に摂る事になった。

【後書】
 最近話題のトラさんですけど、マナさんが渋々選んだのならきっと何とかなるのでしょう、たぶん。
 と言う訳でマナさん回でした! 耳が遠かったりボケちゃったりするお茶目なお婆さんなのに、世界を裏側から支配している優しさも有している、マッドサイエンティストなのです!(ごちゃごちゃ
 日色さんの幼馴染だけあって色々ヤヴァいと言う事ですね! と言う訳で次回、「全世界のクリエイターが切望する異能だ」……砂月ちゃんのお話です。いよいよ有料配信まで残り2話! どうかお楽しみ頂けたらと思います!

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