神否荘の困った悪党たちと困った編集長さんその３【オリジナル小説】

■タイトル
神否荘の困った悪党たちと困った編集長さんその３

■あらすじ
非現実系ほのぼのニートフルコメディ物語。宇宙人、悪魔、殺し屋、マッドサイエンティスト、異能力者、式神、オートマタと暮らす、ニートの日常。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
日常　コメディ　ギャグ　ほのぼの　ライトノベル　現代　男主人公

■神否荘の困った悪党たちと困った編集長さんその３

---

カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054881797954

---

■神否荘の困った悪党たちと困った編集長さんその３


「大変です亞贄さん」

　ニャッツさんとのんびりお昼寝してたら突然ペシペシと頬を叩かれた。起きると、もうまるで住人の貫禄で神子さんが俺を見つめていた。
「大変です亞贄さん」大変なのは俺の方ですよ神子さん。「月正先生がですね……」もう話が進んでる！
「待って待って、寝起きの頭に何も入ってこない」ふわふわ頭で理解できる話じゃないってもう分かる。俺は詳しいんだ。「ちょっと顔を洗わせてくださーい」
「ここに米を研いだ後の水が有ります」よいしょ、と言う掛け声と共にコップ一杯の水を渡された。「これでどうぞ」何がどうぞなんだ。
「えぇ……お米を研いだ後の水で顔を洗うのはちょっと……」逃げたい気持ち満載で返してみるぞう。
「何を言うんですか！」プンスコと頭から炊飯ジャーのように蒸気を噴き出す神子さん。「お米を研いだ水ですよ！？　あのお米ですよ！？　分かってるんですか！？」何も分からないでーす。「全くこれだからお米を崇拝していない愚民は……」そこまで言っちゃう？？
「えぇと……何の話でしたっけ」もう顔を洗いに行くのを諦めて神子さんと対面してみる。膝の上にはニャッツさんが寝惚けて頭を乗せているので、もう俺の至福度は有頂天だった。「月正先生が大変なんでしたっけ？」
「そうなんです、月正先生の新連載の原案にちょっと悩んでまして……」
「あれ？　こないだ何か始まりませんでしたっけ？　えぇと……」「“弾け飛べ！　米野郎！”の事ですか？」「そうそうそれそれ」「一話で打ち切りになりました」「あぁー……」残念ながら当然感一杯だ……てかそれ読み切りって言うんじゃ……？
「そこで新作の原案を私が考える事になりまして」不安しかない。「やはりここはメジャーなタイトルをパクっていくべきだと編集部は判断しまして」週刊神童誌はどこまで堕ちていくの？？？「今メジャーな週刊少年漫画と言えば、やはりあの麦わら帽子を被った主人公が残虐非道の限りを尽くし、仲間になれと称して各地の住人を拉致・調教して、更なる殺戮・掠奪を繰り返す海賊の物語をパクるべきだと編集部が判断しまして」編集部こそゴムゴムの何とかでぶっ飛ばされるべきでは？？？
「うぅーん……まぁその、悪意満載の解釈は脇に置いておくとして、」脇に置くジェスチャーをしてみる。「あの海賊の漫画をパク……モチーフにするとして、どんな感じにするんですか？　まんまパク……オマージュしちゃうと、流石に読者から苦情が殺到すると思うんですけお」
「そこで私は名案が浮かんだのです」もう嫌な予感しかしない。「ここであの“弾け飛べ！　米野郎！”を流用して、海賊の主人公を、お米に頭が侵食されたクリーチャーにします」何だその悪夢の権化みたいな話……「主人公の米野郎は一杯のご飯茶碗、“ワンライス”を手に入れるために、世界各地に散らばる集落を襲撃、掠奪を繰り返し、徐々に勢力を拡大して世界を破滅に導く、ハートフルヒューマンドラマにしようかなと」どこを取ったらハートフルなんて単語が出てくるんだ。
「タイトルがもう既にギリギリのギリなのに、そんな惨たらしい作品がウケるとはとても思えないんですけお……」神子さんの発想力には恐怖しか感じない。「てか、それで俺に一体何を求めに来たんですか？」
「それが……月正先生、この話を描くのが嫌で嫌で仕方ないらしくて、どうにかして亞贄さんに催促のお願いをして頂けないかと……」
「……」
　俺はとっても良い笑顔を浮かべて、神子さんの肩に手を置いた。
「イヤです」

---

【後書】
　国民的アンパンだけじゃなく国民的海賊までネタにしていくスタイル（＾ω＾）
　と言う訳で今回はスーパーExciting超超の超逆フライングの、去年の母の日短編になります。もうこれわかんねぇな(真顔)。
　前回の投稿が丁度一週間前で、ネタが切れた～と綴っておりましたが、無事にネタがぽこっと生まれたのでパパパッと仕上げました！　や～、月正先生の苦労が窺い知れますね！(素知らぬ顔で)
　次回の「困った編集長さん」編は相変わらず配信日未定で、またネタがぽこっと生まれたら投稿しに参ります。それまで本編をのんびりお楽しみくだされ～♪　ではでは！