2018年6月28日木曜日

【擬女化フォウル】甘息【スターフォックス二次小説】

■タイトル
甘息

■あらすじ
ウルフに禁煙して貰いたいフォックス。
※注意※フォックスとウルフが擬人化&女体化して同棲している捏造設定の物語です。

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、【Pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
スターフォックス フォックス ウルフ 擬人化 女体化 百合

Pixiv■

■甘息


「――ウルフ。煙草、美味しい?」

 キッチンの片づけを終えて、バルコニーでのんびり煙を愉しんでいたウルフの背に、フォックスの無邪気な声が掛かった。
 指に挟んで煙草を口から離し、ゆったりと紫煙を吐き出すと、夜空に浮かぶ青白い輝きを見上げながら、「フォックスも吸いたいのか?」と興味無さそうに返事を吐き出した。
 数瞬の沈黙を返した後、フォックスはウルフの隣に並ぶと、欄干に背中を預けた。
 そんなフォックスをちら、と一瞥した後、ウルフは煙草を銜え直し、街路を走る乗用車に視線を落とした。
「禁煙、しないか?」
 意識をフォックスに戻すと、彼女はウルフを上目遣いに見上げて、おねだりするようにくいくい、とウルフの袖を引っ張っていた。
 ウルフは柳眉を顰めて、鼻から盛大に紫煙を落とした。
「煙、嫌か?」
 フォックスが嫌煙家であると言う認識は、ウルフにはなかった。寧ろ今までの付き合いで一度も煙草を辞めろと言われなかったために、些か意表を衝かれた程である。
 フォックスは不思議そうに己を見つめるウルフを見上げていたが、やがて視線を逸らして、もどかしそうに俯いた。
「……キスする時、苦いんだよ」
「……」
 暫く思考が停止していたウルフだったが、灰がバルコニーの床に落ちた辺りで慌てて灰皿の上に運ぶと、怪訝な面持ちでフォックスを見据える。
「……最近したか?」
「ウルフが、寝てる時に」
「おい手前」
「だって! 最近あんまり、してこないから……」
「……」
 溜め息しか出ないウルフに、フォックスは不安げな視線を投げる。
「……だから、その……禁煙、しない?」

◇◆◇◆◇

「――あれ? 姐御、煙草、吸ってねえんですかい?」
 スターウルフの事務所。喫煙所にウルフの姿を見咎めて相席にとやってきたパンサーだったが、ウルフの口元にそれらしい姿が無い事に気づき、不思議そうに煙草をケースから出して、「一本どうだい?」と声を掛けるも、「いらねえ」とバッサリ返された。
「煙草辞めちまったのかい?」禁煙中であろうと見て取ったにも拘らず、平然と自前の煙草に火を点すパンサー。気持ち良さそうに肺腑を煙で満たすと、鼻から盛大に紫煙を吐き出す。「珍しいね、姐御が禁煙だなんて」
「……うるせぇな、ちょっとした気紛れだっつーの」
 ニコチン中毒による禁断症状なのか、イライラした様子で舌打ちを返すウルフに、パンサーは「こえぇなぁ。吸わねえなら出てったらどうですかい」と他人事の風情で再びニコチンの塊を肺臓に落とした。
「ちッ……」聞こえよがしに舌打ちすると、ウルフはズボンのポケットから飴玉を取り出し、ガリガリとこれまた聞こえよがしに噛み砕き始めた。
「いやそこは舐めましょうよ、即効で無くなりますぜそれ……」呆れた表情のパンサー。「何が遭ったか知らねえですけどね、そんな生理中みたいな態度で仕事されても困るんでさ、一本ぐらい吸ったらどうですかね? 落ち着きますよー、スッキリと」
「……」鋭い眼光でパンサーを睨み据えるウルフ。「どうやら今日は手前の調教から仕事始めしなきゃならねえようだな……」
「あっ、もしかして俺、踏み込んじゃいけないトコやっちまいました?」
 てへへー、と慌てて煙草を灰皿で揉み消して立ち去ろうとするパンサーだったが、その日の仕事はそれはもうスパルタの極地を味わったとか。

◇◆◇◆◇

「帰ったぞー」
 仕事が長引いたのも有って、寝室に戻って来たのは日を跨いでの事だった。
 欠伸を浮かべながら仕事着を適当に脱ぎ始めるウルフの視界に、ベッドでスヤスヤと眠りこけるフォックスの姿が映り込む。
「……」
 熟睡しているのか、ウルフの帰還の台詞にも応答は一切無かった。
 ベッドに歩み寄り、ぎし、とスプリングを軋ませて顔を近づける。
「――」
 そして流れるようにキスをすると、ゆっくりと顔を離して唇を舐め取る。
 甘い、果実の味がした。
 ウルフはそれで満足したように寝室を後にしようとして――裾を引っ張られて一瞬体が傾く。
 振り返ると、フォックスが頬を上気させながら、“してやったり”と顔に書いてあるのが見えた。
「……今日は、甘い味がしたよ? ウルフ」
「……今日からキツネじゃなくてタヌキを名乗ったらどうだ?」
「もっとしようよ」
「お前がウルフになってんじゃねーよ」
 そう言ってフォックスの頭に枕を叩きつけたウルフは、寝室を立ち去り際、振り返って一言。
「――苦いのは、大人の味だろ?」
「ウルフ、おっさん臭い」
「とっとと寝ろクソガキ」
 そう言うと寝室の扉が閉まり、フォックスは嬉しそうに布団を被った。ウルフは満足そうにシャワーを浴びに行くのだった。

【後書】
 友達の描いた擬女化フォウルの漫画が好き過ぎてうっかり綴ってしまった奴です(^ω^)
 捏造設定の塊なので、別にフォックス&ウルフである必要性は無いのですけれど、わたくしの中に初めて浮かんだ情景ではこの二人だったのでな…
 シリーズ化して今後も配信していくつもりではいますが、たぶん単発ネタみたいになると思いますので、あんまり次回作には期待しないでくだされ~w

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