2018年6月4日月曜日

【轟爆】お前から、まだ貰ってない【僕のヒーローアカデミア二次小説】

■あらすじ
腐向けな爆豪と轟のヴァレンタイン。Ver2。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 腐向け 爆豪勝己 轟焦凍 轟爆

Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9695980
■お前から、まだ貰ってない

■お前から、まだ貰ってない


「――ちッ、また手前、そんな腐るほど貰ってんのかよ、クソがッ」

――二月十四日。学生であれば誰もが浮足立つ、好意を渡し、渡される日。
その日の下校時刻になり、教室を後にしようと思った爆豪が見たのは、机一杯に盛られている包装された小箱の山と、その席の主である轟である。
嫌悪感一杯の想いを込めて吐き出した毒に、併し轟は動じず、「腐るほどじゃない。全部食う」と淡々と解毒してしまう。
爆豪の僻みを全く意に介さない轟に、彼は苛立ちを隠し切れない様子でもう一度盛大に舌打ちを返すと、「精々ほざいてろカスがッ」と吐き捨て、憤然と教室を後にする――――
「帰るのか?」
怒りで風景が歪むほどのオーラを纏う爆豪の背に、轟はいつもの平淡な声を投げかけた。
まるで――爆豪の怒りなど微塵も歯牙に掛けないと言った態度に、教室を去ろうとしていた少年は更に怒りをブーストさせると、鬼の形相で振り返り、「アァ!?」と、騒音に等しい怒鳴り声を張り上げた。
「俺が帰るのにお前の許可がいるのか!? アァ!? ブチ殺すぞ!!」
あまりの腹立たしさに轟に詰め寄っていく爆豪。対して轟は沈着冷静な迎撃態勢。胸倉を掴まれて更に罵詈雑言を奏でようとした爆豪に向かって、小さく一言、核弾頭を叩きつける。
「――お前から貰ってない」
眼前でメンチを切っていた爆豪の頭に疑問符が点る。
数瞬、メンチを切った表情のまま沈黙を連ねた爆豪だったが、五秒の空白を置いて、「あ?」と、理解不能の意を吐き出した。
「チョコ」轟は端的に、的確に、告げる。「お前から、まだ貰ってない」
……暫く、爆豪はメンチを切った表情のまま沈黙を返した。
やがて顔が充血し始めると、ポケットから小さなチョコを取り出して、「死ねよッッ!!」と轟に叩きつけた。
ギリギリと歯軋りをして轟を睨み据える爆豪に、半分野郎の彼は、淡々としていながらも、嬉しそうに口唇を歪めるのだった。
「ありがとな」
「……何でも見透かしたみてえにスカシやがってクソボケが……ッ!!」
腸が煮え繰り返る程の憎悪と羞恥心で顔を真っ赤にした爆豪は、そこで背を向けて駆け出して行った。
――かと思いきや、透かさず教室に戻ってきて轟を茹だった人差し指で指差した。
「……誰かに言ったらブチ殺すからな……ッ?」
鬼の形相だが、そこに滲む愛らしさに轟は笑み、「あぁ、俺達だけの秘密だな」と澄ました声で返した。
「死ねクソボケッ!!」
吐き捨てて廊下を駆け抜けて行く爆豪を見送ると、轟は甘い菓子を、特別な相手からの特別な贈答品を、嬉しそうに見つめるのだった。

【後書】
ヴァレンタイン短編を六月に投稿する勇気。
と言う訳で久方振りに轟爆を綴りましたが、かれこれもう一年振りくらいなんですね! 時の流れって恐ろスィーン!
現在ヒロアカのアニメ第3期が絶賛放映中でして、このビッグウェーブに乗り遅れるな! と言う流れで、今後ちょこちょこ轟爆短編や物拳短編をまたチラチラ投稿していこうかなーと!
こう、何ですか。青春って、いいよね…! と言う訳で次回もお楽しみに~♪

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