2018年8月24日金曜日

【FGO百合SS】02話「貴女と友達になりたくて#2」【エレモー】

■あらすじ
モードレッドとお出掛けするエレシュキガルのお話。

■キーワード
FGO Fate/Grand Order コメディ ギャグ エレシュキガル モードレッド 百合

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■第2話

02話「貴女と友達になりたくて#2」


「おっ、いたいた。おーっす」

カルデアの食堂の一角。モードレッドが特等席として使っているその場所でソワソワと落ち着かない様子で座っていたエレシュキガルは、モードレッドの声に反応してぴょこんと飛び跳ねた。
普段通りの格好だが、若干お洒落に気を遣った形跡が見え隠れする姿で、エレシュキガルはモードレッドを見上げて一瞬背景に華を舞わせたかと思いきや、大慌てで取り繕って、「――こ、こほんっ!」と大仰に咳払いした。
「ま、待ちかねたのだわ!」
「おう、なんつーかお前、犬っぽさあるよな」
「犬だなんて初めて言われたのだわ!?」
「まぁいいや、取り敢えず行こうぜ」エレシュキガルの返事も待たずに先頭切って歩き出すモードレッド。「ダ・ヴィンチの野郎には許可取ってんだ、早くしろよー」
「ダ・ヴィンチちゃんの許可……?」頭の上に疑問符を載せるエレシュキガルだったが、全く意に介さず食堂を出て行くモードレッドに驚き、「ちょっ、置いて行かないで~!」と大慌てで背中を追うのだった。

◇◆◇◆◇

「……それで、ここはどこなの?」
「どこって、見りゃ分かるだろ。キャメロットだよ」
「見て分からないから聞いたのだわ!?」
ダ・ヴィンチの許可――つまりレイシフトの許可を得てやってきたのは、第六特異点の一角――王城・キャメロットだった。
その中を勝手知ったる様子で歩き回るモードレッドの後を、気後れした様子で追い駆けるエレシュキガル。
「キャメロット……えぇと、確か貴女、モードレッドが所属する騎士団、円卓の騎士の居城……だったかしら?」ずんずん先を行くモードレッドを小走りで追い駆けながら、ブツブツと確認するように呟くエレシュキガル。「つ、つまり私、貴女のお家にお呼ばれしたって認識で良いのかしら……!?」頬を赤らめて興奮した様子で鼻息を噴出させている。
「おう、まさか入城しただけでそんな興奮するたァ予想外だったが、そんな感じだ」二ッと、快活に八重歯を覗かせるモードレッド。「やっぱアレだろ、まずは父上に挨拶する所から始めなきゃだろ?」
「お、お父上に挨拶……!? モードレッドのお父上様に挨拶する必要が有るのだわ!?」
「そりゃそうだろ。オレと肩を並べて戦場を馳せるっつー話なら、まずは父上の御目通り叶ってからってのが筋ってもんだろ」
「だ、大丈夫かしら……私、騎士の作法とかよく知らないのだけれど……突然首を刎ねられたりしない? 冥界の空き有ったかしら……」
「おいおい、父上はそんな物騒な真似しねーよ。流石に。たぶん」
「不安しかないのだわ……」
大きな扉の前に辿り着いた二人は、扉の前に佇む白甲冑の騎士に会釈した。
「おう、獅子王に謁見してーんだが」
「モードレッド卿でありますか。現在獅子王様は遠征中でありまして、明後日にはご帰還なされるかと」
「あんだよ、今いねえのかよ」チッと容赦なく舌打ちをかますモードレッド。「仕方ねえ、日ぃ改めるわ。またな」
「ハッ」敬礼を返す騎士。
「ちょっと安心したのだわ……いきなりお父上様とご歓談とか、もっと、こう、段階を踏んでからにして欲しかったし……てかいきなり親族に引き合わせるとか、貴女、コミュニケーションスキルどうなってるの……」
安堵と呆れと感嘆と困惑でグチャグチャになった溜め息を吐き出すエレシュキガルに、モードレッドは「ん? 普通はそうじゃねーの?」と不思議そうに小首を傾げる。
「……えぇと、私も普通は分からないのだけれど、貴女のコミュニケーションスキルは飛び抜けてるわねって言いたいだけで……」ごにょごにょと尻すぼみに呟くエレシュキガル。
「何だ? ハッキリ言えよ煮え切らねえ」眉根を寄せて剣呑な表情をするモードレッド。「褒めてんのか? 喧嘩売ってんのか?」
「い、一応褒めてる……のだわ。たぶん……」
「それで褒めてんのかよ、わっかりにくいなぁお前。だから友達いねーんじゃねーの??」
「ぐっ……そ、そこまで言う事無いんじゃないかしらぁ!?」ムキになってモードレッドを上目遣いに睨み上げるエレシュキガル。「わ、私だって、別に好きで、こんな性格じゃ……ないんだけど……」
「だったらよ――」ぐい、とエレシュキガルの顎を摘まむモードレッド。「オレと話してんだったら、目ぇ見て話せよ。あともっと声張れ」
モードレッドの顔が眼前に出され、エレシュキガルは一瞬息が詰まるも、緊張した様子でその獰猛な顔を見つめる。
ジッと見つめなくても、知っていた。叛逆の騎士と謗りを受けた王の実子は、誰よりも美しく、鮮烈である事を――――
「……おい、見つめ合ってどうすんだよ、気まじぃだろ……」
至近距離で見つめ合っていると、先に視線を逸らしたのはモードレッドだった。居心地が悪くなったのか、後ろ頭をガリガリと乱雑に掻いて溜め息を吐き出している。
「……貴女、確か女扱いされる事を嫌う、って話よね?」
エレシュキガルの、普段以上にハッキリとした声調に、モードレッドが意識を改めて彼女に顔を向けると、冥界の女神は優しく微笑んでいた。
「確かに、可愛いとか、美しいとか、そんな言葉は似合わないわ。――カッコいいわ、貴女」
芯の通った声でポツリと吐き出されたその台詞に。
モードレッドは胸が高鳴り、思わず視線を逸らして、首を撫でた。
「……そうかよ」
「えぇ、カッコいいのだわ」
「……」
気の利いた返事をしたかったモードレッドだったが、そんな風に直接褒められた経験が少なかったからだろう、すぐには二の句が口を衝いて出る事は無かった。
気まずそうに表情を歪ませていたが、やがて「……つか、そういう所はしっかり言えるのかよ……」と小声で呟くモードレッド。
「? 何か言ったかしら?」
「……なんでもねーよ!」苛立った風に声を荒らげ、エレシュキガルの頭をぐしゃぐしゃに掻き混ぜるモードレッド。「ほら、父上がいねーならこんなトコにいても仕方ねーんだ! とっとと行こうぜ! 次だ次!」
「ちょっ、何なのだわ!? えーん、頭のセットがメチャクチャに~っ!」
蛮行を働いたモードレッドは蟹股でずんずん進んでしまい、エレシュキガルはその後ろを涙目で追い駆ける。
その時になってエレシュキガルはふと、あぁ、こういう関係って、友達みたいで、いいなぁ――――と、涙目ながらに、口唇に笑みが浮かぶのだった。

【後書】
続! エレモーの小話です。デート編です(笑顔)。
因みに全編に亘って捏造設定からの妄想要素をふんだんに盛り込んでおりますので、「実際はそんな事無い!」的な話です。たぶん。うちのカルデアではこんな感じなのだよゆるしてんこ盛り!(´▽`*)
予定ではもう1話続きます。デート編完結のお話ですね! お楽しみに~♪

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