2018年10月26日金曜日

【艦娘といっしょ!】第3話 摩耶といっしょ!【艦これ二次小説】

■あらすじ
ちょっと頭のおかしい提督と艦娘達の日常生活を切り抜いた短編集です。
※注意※2015/12/07に掲載された文章の再掲です。本文は修正して、新規で後書を追加しております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
艦これ 艦隊これくしょん コメディ ギャグ 摩耶 電 金剛


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/68881/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/series.php?id=627932
■第3話

第3話 摩耶といっしょ!


「司令官が遂におかしくなってしまったのです」

 間宮食堂でカレーを食していた摩耶の前に、電がトレイを持って現れた。
「……お、おう。そうか」思わずスプーンが止まってしまったが、摩耶は構わずカレーを食べ続けた。「いやそもそもあの提督は元からおかしいだろ」思わずツッコミが続いた。
「司令官がおかしいのは元からですけど、取り返しの付かない所まで来てしまったのです」
「……」カレーを美味しく食べられない摩耶。「……それで、あたしに何させてぇんだよ?」
「喝を入れてあげて欲しいのです」テーブルの上に有った摩耶のカレーを自分のトレイに載せる電。「お願いします、なのです」ぺこりとお辞儀をする。
「お、おう。それで電、何であたしのカレーを……?」
 電は何も言わずに立ち去ってしまった。
「あたしのカレー……」
 電に向かってスプーンを向けたまま、見送る事しか出来ない摩耶なのだった。

◇◆◇◆◇

「……ったく、提督がおかしいのは元からだっつーのに、取り返しの付かないおかしさって何だよ? 元から取り返しの付かねえおかしさだろ」
 ブツクサと文句を垂れながらもちゃんと執務室に向かう摩耶。
 執務室の扉をノックする。「おーい、提督ー、入んぞー」
 返事を待たずに入室すると、中には見知らぬ老爺と金剛が佇んでいた。
「あれ? 金剛、提督は? いねーの?」金剛に尋ねてから、老爺に視線を転ずる摩耶。「そこの爺さんは?」
「Oh! 摩耶、来てくれたんデスネー!」摩耶に向き直って手を叩く金剛。「このOld Manが提督デース!」
「……は?」訳が分からない様子で小首を傾げる摩耶。「提督の祖父ちゃんって事か?」
「No! このOld Manが提督デース!」老爺を示す金剛。
「……」
 老爺は眠たそうに口を開いた。
「金剛ちゃんや……夕飯はまだかのう……」しわしわした声で呟く老爺。
「HEY! 提督ぅー? Dinnerは一昨日食べたばかりデショー?」老爺の真っ白な頭をぺしぺし叩く金剛。
「ほむ……そうじゃったかのう……」ぷるぷる震えるだけの老爺。
「深刻な老人虐待を見てるんだが通報した方がいいのか?」白目を剥いてる摩耶。「てか、まじでそいつが提督なのか!? 老け過ぎだろ! 何が遭ったんだよ!?」冷静でいられなくなってきた。
「Actually……摩耶は、Graf Zeppelinって艦娘は知ってマスカー?」
「グラーフ・ツェッペリン……?」一瞬何の事か分からなかった摩耶だが、すぐに先日艦娘同士で交わした話を思い出す。「……あぁ、今発令されてる【突入!海上輸送作戦】で発見された艦娘の事か? それがどうした?」
「そのNewfaceが全然来なくてこんな姿に……」老爺……もとい、提督を撫で撫でする金剛。
「ほむぅ……金剛ちゃんや……夕飯はまだかのう……」ヘロヘロした声で尋ねる提督。
「HEY! 提督ぅー? Dinnerはさっき私が食べたデショー?」提督の白髪をぺしぺし叩く金剛。
「いやいやおかしいだろ!? 何でグラーフが出ないだけで玉手箱開けた浦島みたいになってんだよ!?」思わず頓狂な声を上げる摩耶。
「!? グ、グラーフが出たのか……!? グラーフが……!?」提督が目玉をかっ開いて摩耶にヨタヨタと近寄って来る。「グラーフが……!?」
「出てねーよ!」へばりついてくる提督を引き剥がしながら喚く摩耶。「何だこいつ!? グラーフって単語だけに反応すんの!?」
「Grafだけじゃないデース!」満面の笑顔で提督の肩を叩く金剛。「提督ぅー? グラタン食べたいデスカー?」
「!? グラーフ……!? グ、グラーフが出たのか……!? グラーフが……!?」ヨタヨタと金剛に詰め寄る提督。
「グラが付けば何でもいいのかよ!?」思わずツッコミを入れる摩耶。「とにかく、分かった。おい、提督」
「グラーフ……!?」摩耶の顔をべたべた触る提督。「グラーフなのか……!?」
「ぶっ殺されてぇかぁ!?」パァンッと提督を平手打ちする摩耶。「目ぇ醒ませよクソが! お前がそんなんでどうすんだよ!?」
「あわわ……あわわ……」頬を押さえて倒れ込む提督。「だ、だって、グラーフが……」
「グラーフなんざいなくたってなァ! あたしらがいるだろ!? お前に何年付き合ってると思ってんだ!? それが何だ!? ポッと出の艦娘一人手に入らないからって、何腑抜けてやがる!?」
 提督の胸倉を掴み上げ、吠え立てる摩耶。それを金剛はマジメな表情で眺めていた。
 提督は為す術も無く摩耶に掴み上げられ、苦しげに摩耶を見下ろしている。
「お前はちょっとウザいくらいが丁度いいんだよ! 何勝手にジジイになってフガフガ言ってんだ! あたしをこれ以上怒らせてぇのか!?」
 真剣な表情で怒鳴り散らす摩耶の視線の先で、提督が見る見る若返っていった。
 やがて普段の青年に戻ると、提督は軍服の襟を正し、椅子に座り直した。その顔には、生気がみなぎっていた。
「少しばかり取り乱したようだ、済まない」キリッとした表情で摩耶を見やる提督。「グラーフはまだ諦めきれんが、艦娘に心配されるようでは私もまだまだだな」
「へっ、良い顔するようになったじゃねえか、提督!」嬉しげに笑む摩耶。「それでこそあたしらの提督ってもんさ!」
「そうだな、今回は少しばかり功を焦り過ぎたのかも知れん」苦笑を滲ませる提督。「よし、夕飯にしよう。金剛ちゃん、今日の夕飯は?」
「HEY! 提督ぅー? Dinnerは私が代わりに食べておいてあげたネー!」グッと親指を立てる金剛。
「どうして!? どうしてそんな酷い事をするの!? 私お腹ペコペコだよ!? 一昨日から何も食べてないんだよ!? 虐待だ!! 提督への虐待だ!! 訴えてやるうううう!! うわああああ!!」
 椅子から飛び降りて床に寝そべり、ジタバタし始める提督を見下ろして、摩耶は仏のような顔になっていた。
「うぜぇ……」
 本音が駄々漏れだった。

【後書】
 この当時は結局グラーフをお迎えできませんでして(^ω^) だいぶ荒れていた記憶が有ります…w そんな環境下で、「綴ったら出る!」と信じて綴った物語がこちらになります。結果は前述です(笑顔)。
 その後のイベントでお迎えできた時は、そりゃーもう感極まってモダモダしまくっておりましたとも! また摩耶様に「うぜぇ…」って言われる事案でしたとも!(笑)
 いやー、ほんと摩耶様の言葉は至言です。今いる子を大切にするのが良いのです! また怒られちゃうよう!

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