2018年11月2日金曜日

【艦娘といっしょ!】第4話 北上といっしょ!【艦これ二次小説】

■あらすじ
ちょっと頭のおかしい提督と艦娘達の日常生活を切り抜いた短編集です。
※注意※2015/12/16に掲載された文章の再掲です。本文は修正して、新規で後書を追加しております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
艦これ 艦隊これくしょん コメディ ギャグ 摩耶 電 金剛


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/68881/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/series.php?id=627932
■第4話

第4話 北上といっしょ!


「北上さんは練度がもうじき限界来ちゃうから、ケッコンカッコカリしないとね」

 執務室で執務をしながらポツリと漏らした提督の発言に、北上は「あー、もうそんなになってたかー」と畳の上で寝転がっていた体を起こして提督を見やる。
「でもさー、私が提督とケッコンカッコカリってさ、何かおかしくない?」漫画を脇に置いて改めて提督を見据える北上。
「何がおかしいんだ?」執務を止めて北上を見やる提督。
「いやさー、提督の事は信頼してるし、好きっちゃ好きだけどさ、何て言うの? 嫁と旦那って言うより、友達って感じしない?」
「あー、それは何と無く分かるわー」うんうん頷く提督。
「だからケッコンカッコカリ! って銘打たれても、何か私にゃピンと来ないんだよねー」
 再び寝そべって単行本を広げる北上を見下ろして、「まぁ、私もピンとは来ないけど、そういうのもいいんじゃない?」と言って執務に戻る提督。「と言う訳で、今週末は布団持参で執務室集合な」
「ほーい」生返事をした後、暫くして北上は起き上がって提督をまじまじと見据えた。「え? 何、どういう事それ? 何で私布団持ってここに来なくちゃいけないの?」
「え?」不思議そうに再び手を止める提督。「そりゃお前、ケッコンカッコカリするんだから、その準備みたいのいるだろ。渡すもんもあるし」
「あ、あぁー、うん、そういうアレね、はいはい、分かった、分か……った……」
 提督から視線を逸らし、顔が紅潮していく北上。提督はそんな北上に気付いていないのか、「じゃあそういう事だから、忘れるなよー」と執務に戻ってしまうのだった。

◇◆◇◆◇

「北上さんの貞操が危ない!?」
「大井っち、声が大きいよ声が」
「あっ、ごっ、ごめんなさい! ……で、でもそういう事よね? 提督さんにお呼ばれするって事は、つまりそういう事よね!?」
「大井っち、声が大きいってば」
 食堂の一角。北上は大井と相席し、つい先刻言い渡された宣告の話をしていた。
「お布団持参で執務室に来いだなんて……しかも渡したい物が有る……? そ、そんなのもう答を言ってるようなもんじゃない!」頬を赤らめてキャーキャー喚く大井。「提督ってば大胆過ぎじゃない! 私の北上さんを毒牙に掛けるなんて……!」
「大井っち、声が……」
「あぁっ、ごめんなさい! でも、北上さんはどうなの? 提督と一緒になってもいいって、思ってるの?」
 大井の心配そうな表情に、北上は「う~ん……」と悩ましげに首を傾けた。
「提督にはさー、電ちゃんと金剛さんって二人の嫁がいるから、そこに私が入るのってどうなの? って思うんだけどさー」テーブルの上のカレーをスプーンで突っつきながら、北上は苦笑を浮かべる。「提督の事は嫌いじゃないし、別にいいんだけどねー。でも何か……ドキドキしちゃうよねー」
「北上さんなら提督の正妻の座も容易く奪えちゃいますって! こんな可愛い艦娘、そうそういないもの! 何でしたら、私が助力しますよ!?」鼻息荒く身を乗り出す大井。
「大丈夫だって、大井っち。でも、ありがとね♪」ニコッと華やぐ北上。
「北上さん……っ!」あまりの嬉しさに眩暈を起こしかけている大井。「北上さんがそう言うのなら、私は止めません。提督と……素敵な夜を過ごしてくださいね……!」
「うん、相談に乗ってくれてありがとね、大井っち」カレーを食べ終え、席を立ちながら北上は大井を見下ろし、一言。「でも、覗きに来ないでね?」
「えっ!? ど、どうして分かったんですか!?」ビクーンッ、と体を震わせて驚く大井。
「大井っちと私の仲だもん、分からない訳無いよね♪」ぴんっ、と大井の額を指で弾いて立ち去る北上。
「はわぁぁ……北上さぁん……今日も、ス・テ・キ……」
 糸の切れた人形のようにテーブルに突っ伏す大井なのだった。

◇◆◇◆◇

「……下着は可愛いのにした。マイ枕も持った。布団も持った。パジャマも可愛いのにした」
 週末の夜。執務室の扉の前で、指折り数える北上の姿が有った。
 いつもどおりの自分でいなければと思えど、心拍数は上がりっ放しで、これから自分の身に起こる事を想像するだけで顔に熱が集まっていく。
 ともあれ、いつまでも執務室の前で茹で上がっている訳にはいかない。ノックし、返事を待つ。
「あーい、どうぞー」のんびりした提督の声が返ってきた。
「は、入るよー」若干声が上擦りながらも扉を開けると、中には既に提督の布団が敷かれていた。
 パジャマ姿の提督は「お、来たな北上さん。布団はこの辺にでも敷くといいよ」と自分の隣の畳をぺしぺし叩く。
「う、うん、分かったよ」
 ドギマギしながら布団を敷き、枕を並べる。
「あ、あのさ、提督」提督の顔をマトモに見れず、目を逸らしながら呟く北上。
「ん? にゃんだい?」ごそごそと机を漁り始める提督。
「わ、私っ、こういうの初めてだからさ……その、何て言うの? や、優しくしてね……?」頬を赤らめて提督を正視する北上。
「おう、任せとけ!」ドンッと胸を叩く提督。「それに今日は私だけじゃないからな! 金剛ちゃんと電ちゃんも来てくれるぞ!」
「へ?」間の抜けた顔をする北上。「よ、四人でするって事……?」
「そうそう。人が多い方が北上さんも気が楽でしょ?」得意気に笑む提督。
「ら、楽なのかなぁ……?」苦笑を禁じ得ない北上。「は、初めては出来れば二人でやりたかったかなぁ……」表情に陰りが差していた。
「あれ? そうなの? あちゃー、悪い事しちゃったかぁー」ばつが悪そうに後頭部を掻く提督。「じゃあ金剛ちゃんと電ちゃんには悪いけど、先に始めちゃおうか」
「え!? さ、先にって、も、もう始めちゃう、の!? い、いきなりだねぇ、私、まだ心の準備が……っ」
 北上が錯乱している間に、提督は小さな箱を差し出してきた。
「はい、これ。ケッコンカッコカリのプレゼント」
「……っ!」突然差し出された小箱に動揺を隠しきれない北上。「て、提督ぅ……もっと雰囲気とか、大事にして欲しかったよぅ……」
「え? ご、ごめん」よく分かってない様子の提督。「さ、早く開けて開けて。もう待ちきれないよ!」
「て、提督って実は肉食系だったんだねぇ……」耳まで真っ赤になった北上は、小箱を開けて、「……ん?」と不思議そうな表情を浮かべた。
「提督……これは……?」
「あれ? 知らない? 3DSって言って、巷で流行してる携帯ゲーム機だよ!」得意満面の提督。
「うん、それは分かるんだけど、何でこれがここに?」意味が分からない、と言った態の北上。
「え? だからケッコンカッコカリのプレゼントだよ?」布団に潜り込んで、自分の3DSを起動する提督。「さぁ、始めようか! 一狩り行こうぜ!」
「……うん? 提督……? え? もう何なのさぁー?」
 訳が分からないと言った様子で困惑している北上に助け舟が来るのは、その数分後だった。

◇◆◇◆◇

「……えぇと、つまり? 提督は、ケッコンカッコカリをする艦娘とは、一度徹夜で一緒にゲームをして親睦を深めてからじゃないと、ケッコンカッコカリはしない……って言う解釈でいいの?」
 執務室には四人分の布団が敷かれ、提督と北上、そして金剛、電の四人が布団から顔だけ出して3DSを操作している。
「YES! 私も初めはビックリしたネー。初夜だと思ったら徹夜だなんてネー!」コロコロと笑う金剛。「そこネ! 撃ちマス! Fire~!」
「司令官は説明下手だから、電達からしっかり説明しておくべきでした、なのです」申し訳無さそうに俯く電。「はわわっ、ビックリしたのです!」
「説明も何も、私ちゃんと言ったじゃん!? 何も間違った事言ってないじゃん!?」不服そうな提督。「電ちゃん危ない! 今粉塵飲むからね!」
「……まぁ、そうだよねー、提督は提督だもんねー」安堵で気が緩む北上。「だからみんな、提督の事が好きなんだもんね」
「そこだー! やれ金剛ちゃんっっ! ……え? 北上さん、何か言った?」画面から顔を上げる提督。
「うんにゃ、なーんにもー」ふるふると首を振る北上。「でも、ありがとね、提督。私、嬉しかったよ」
「おー、なら良かったーよ!」満足そうな笑みを見せる提督。「よーし次のクエに行くぞー、準備が出来たら言ってねー!」
「HI!」「了解なのです!」「ほーい」
 そうして夜は更けていく。執務室の灯りは消える事無く、楽しげな声も消える事無く、のんびりとした時間が過ぎていく……

【後書】
 北上さんがひたすらカワ(・∀・)イイ!!話ですわ…(作者自身が読み返した感想)
 こういう勘違い系は大好物でしてね…! 絶対提督確信犯だと思うんですけれど、この提督、これが素だからなぁ…(笑)
 昨今の設定に合わせるなら3DSじゃなくてNintendoSwitchにした方がいいかなーとも思いましたが、当時のままにしておきました(^ω^) 懐かしさをお届けっ!w

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