2018年11月30日金曜日

【艦娘といっしょ!】第8話 比叡といっしょ!【艦これ二次小説】

■あらすじ
ちょっと頭のおかしい提督と艦娘達の日常生活を切り抜いた短編集です。
※注意※2016/01/13に掲載された文章の再掲です。本文は修正して、新規で後書を追加しております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
艦これ 艦隊これくしょん コメディ ギャグ 比叡 金剛 電


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/68881/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/series.php?id=627932
■第8話

第8話 比叡といっしょ!


「比叡ちゃん、今日は比叡ちゃんのカレーが食べたいんだけど」

 執務室で呟かれた提督の一言に、執務室にいた比叡、金剛、電の三隻がざわつき始める。
「ほ、本当ですか司令!? 私のカレーを食べたいって、本気で言ってるんですか!?」感極まって錯乱している様子の比叡。
「What's up!? 提督っ、遂に脳細胞が絶滅しちゃったデスカー!?」慌てた様子で提督の頭を叩きまくる金剛。
「ひ、比叡さんの逆国宝級の料理センス、ご存知ですよね……?」青褪めた表情であわあわしている電。
「比叡ちゃんはともかく二人の発言が完全に罵詈雑言なんだけど比叡ちゃん怒ってもいいんだよ?」ニッコリ笑顔の提督。
「いや、あの……私も、流石に気づいてますって。自分の料理の腕の低さを」苦笑を浮かべて頬を掻く比叡。「こないだは金剛お姉様にご馳走して、失神させましたし……」
「……まじで?」金剛に視線を向ける提督。
「YES! あれは……そう、超Excitingな味だったヨー」うんうん頷く金剛。
「あの時は本当にごめんなさい、お姉様!」即座に腰を折る比叡。「だからその……司令も無理をしなくていいんですよ……? いつもどおり間宮さんに作って貰えば……」
「いや、ここで一つ試してみたい事が有ってな」比叡に向き直り、司令はニヤリと笑んだ。「しょっぱいカレーを作ってくれよ、比叡ちゃん」
「「「しょっぱいカレー?」」」三隻の声が重なる。
「そう! 比叡ちゃんの類い稀なる料理の腕なら、或いは出来るかも知れないと思ったんだ」自信有り気に腕を組む司令官。「私が夢にまで見た、しょっぱいカレーをな……!」
「HEY! 提督ぅー? カレーは本来ピリリとしたものじゃないんデスカー?」不思議そうに見つめる金剛。
「私はね、金剛ちゃん……ただ辛い物よりも、塩辛い方が断然好きなんだよ!」バァーンッ、と机を叩いて宣言する提督。「あぁ、考えるだけでヨダレが溢れ出ちゃうぜ、じゅるり」
「しょっぱいカレー……確かに、普通に料理をして作れる物ではないかも知れないのです」司令の発言に一理あり、と首肯する電。「食材の錬金術師・比叡さんならもしかしたら……!」
「……あの、皆さん思いっきり私の事バカにしてますよね?」ジト目で三人を見やる比叡。
「してないよ?」「してないデース!」「してないのです」三人の声が重なった。
「……分かりました、分かりましたよ! そこまで言うなら作りますよ! どうなっても知りませんからね!」
 ぷいっとそっぽを向く比叡だったが、その頬が桜色に染まっている事に、三人はほのぼのした様子で気づいていたが、誰も口には出さなかった。

◇◆◇◆◇

「と言う訳で出来ました! 比叡カレー改です!」
「ぉお、仕事が早いね比叡ちゃん!」
 執務室に運ばれてきたカレーは、真っ白だった。ライスと、白いルーのカレー。
 一見するとシチューのようにも見えるそれを見て、提督が盛りがついた犬のようにはぁはぁと呼気を荒げて舌を出す。
「司令官が興奮しているのです」醒めた表情の電。
「そりゃ興奮もするよ! しょっぱいカレーだぜ!? 人跡未踏の料理だぜ!? ヨダレが泉のように溢れ出ちゃうよ! じゅるり!」もう今すぐにでもがっつきたいのか、スプーンを持って比叡を見やる司令。「食べていい!? 比叡ちゃん、もう食べていい!?」
「勿論です! さあ! 食べて!」自信満々に差し出す仕草をする比叡。
「ウヒョァーッ! いっただっきまーす!」サッと白いルーを掬い、頬張る司令官。「もぐもぐ……」
「ど、どうでしたぁ? 比叡カレー改の感想は……?」ドキドキした様子でトレイを抱える比叡。
「もぐもぐ……」入念に咀嚼する提督。
「感想……」うずうずしている比叡。
「もぐ……もぐ……」しゃぶり尽くすように、丹念に味わう司令官。
「感想聞かせてよー!」
 我慢できずに泣き笑いの表情で頭をトレイで殴ろうとした比叡だったが、その前に司令が目を見開いて咆哮を上げた。
「う、うめええええッッ!!」
「Really!?」「本当なのです!?」「えっ、えっ、ほ、本当に……!?」
 金剛が驚きで顎が外れそうになり、電が素っ頓狂な声を上げ、比叡が感動を隠し切れず、涙目になって確認を取る。
 提督は更にルーを掬い上げて口腔に運んでいく。「まじ超しょっぱくて美味しいよ比叡ちゃん! 最高にしょっぱい! こんな味初めて!!」とモリモリ食べていく。
「ほ……本当に……」涙ぐんでいた比叡は、ぐいっと袖で目元を拭うと、満面の笑顔が弾けた。「そう、なら、頑張った甲斐が有りました!」
「比叡ちゃん! お代わり!」空になった皿を差し出す司令官に、「まっかせてー!」と皿を持って部屋を出て行く比叡。
「て、提督ぅー? 本当に、本当に比叡のカレー、美味しかったデース……?」
 半信半疑どころか疑念しか感じられない声で尋ねる金剛に、提督は「おう、まじ最高に美味いカレーだったぜ? いやー……あれだな、これから比叡ちゃんにモリモリカレー作って貰おう、うん」と満足そうに返す。
「し、信じられないのです……」おっかなびっくりと言った様子で呟く電。「司令官、電も一口頂いてもいいですか……?」
「HEY! 私も一口食べてみたいデース!」威勢よく挙手する金剛。
「勿論さ! みんなで食べればもっと美味しいよ!」グッドサインを見せる司令官。
「司令ーっ! 比叡カレー改! お待たせしました!!」
 山のように盛られた白いルーのカレーを持ってきた比叡に、司令は「待ってましたー! ウヒョァーッ! いっただっきまーす!」とがっつき始める。
「比叡さんも、一口味見してみないです?」比叡にスプーンを差し出す電。
「私達も一口食べてみる事にしたのデース!」スプーンを持って提督の皿から白いルーを掬う金剛。
「はい! では一口頂きます!」電からスプーンを受け取って白いルーを掬う比叡。
「頂きマース!」「頂きます、なのです」「頂きます!」
 パクリ、と三隻が白いルーを口に投入する。
 次の瞬間、三隻の顔が真っ赤になった。
「GYAAAAAAAAAAAAA! 超Excitingネー!」火を噴いてのた打ち回る金剛。
「しょっぱッ、しょっぱ過ぎッ、なのですッ」涙目で舌を出す電。
「ひえーっ! 塩の味しかしませんよこれーっ!?」目をぐるぐる回す比叡。
「ん? だから美味しいんじゃん?」三隻の豹変を尻目にモリモリ食していく提督。「これ間宮さんにお願いして、食堂のメニューに入れて貰えないかなぁ」
 余談だが、後日提督は真面目に間宮に相談に行ったのだが、あっさりと断れたのだった。
「比叡ちゃんありがちょろ! これから私のためにこのカレー、比叡カレー改を作ってよ!」
 結局お代わりも完食して満足気な司令官に、比叡は嬉しさで涙が込み上げてきていたが、それを感じさせないように笑みを浮かべた。
「分かりました! 司令がそう言うなら、私はいつでも、気合い、入れて、頑張りますよ!」
 純粋に自分の料理の腕を認められたようで、比叡は満面の笑みを返すのだった。

【後書】
 ひえーちゃんのカレーがヤバいって話を元に、しょっぱさの極みを生きてる檻夜提督ならこうじゃろ、みたいなお話に仕上げた奴ですね!
 も~わたくししょっぱい料理には目が無い奴でしてw お陰で味覚を一時的に失う痴態を晒す位ですから、最近はちょっと塩分控えめに過ごしております…よよよ…
 ところでひえーちゃんはアレです、あの小破時の「ひえーっ!」がやっぱり最高に可愛いんですよ! しょっちゅうわたくしも使うぐらいには好きな悲鳴です(笑)。ひえーっ!

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