2018年11月6日火曜日

【ベルの狩猟日記】066.最後の約束【モンハン二次小説】

■あらすじ
守銭奴のベル、天然のフォアン、爆弾使いのザレアの三人が送る、テンヤワンヤの狩猟生活。コメディタッチなモンハン二次小説です。再々掲版です。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【風雅の戯賊領】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
モンハン モンスターハンター コメディ ギャグ 二次小説 二次創作 P2G


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/135726/
■第66話

066.最後の約束


 ダイミョウザザミの剥ぎ取りを終えた四人は、フォアンが言っていた二頭目がいる筈のオアシスの区画へと向かった。
「また何か食べてるし……」苦笑を浮かべるベル。
「食事中を狙うとは……流石はベルだぜ」ぐ、と親指を立ててフォアン。
「狙いたくて狙ってる訳じゃないからね!? 偶々あたし達が来たら食事してただけでしょ!?」思わずツッコミを入れるベル。
「一番隙を見せている瞬間を狙うにゃんて、ベルさんは策士にゃ!」流石だと褒め称えるザレア。
「策じゃないし! 少しはあたしの話を聞いてあげて! 狙ってないってば!」何度言えば分かるんだとベル。
「よーしっ、私に黙ってご飯食べるなんて許せないから~、とっちめちゃお~♪」ニッコリ笑顔でミャオ。
「ご飯食べるのにミャオの許可が必要なモンスターなんて初めて聞くんだけど!?」
 三人相手に逐一ツッコミを入れたベルは、また膝を突いてぜいぜい息を切らしている。
「ご、ごめん……連続でボケられると……ツッコミが……間に合わないんだ……」
「ボケてるつもりは無いんだけどな」「にゃーにゃー」「うんうん~♪」
 ……皆揃って自覚が無いボケだなんて……いや、自覚が有るボケってのも変な話だけどさ……
 ツッコミだけでヘトヘトになったベルだったが、気を取り直してダイミョウザザミに向き直る。
「さ、残るは、あいつ一頭! 気を引き締めて行くわよ、皆!」
「了解です、隊長」「分かったのにゃ!」「がんばろ~♪」
 先程と同じ陣形――左右に別れて接近、フォアンは側面から節足を中心に攻撃、ミャオは背後から殻を破壊、ザレアは爆弾を使って遊撃、ベルは遠距離から麻痺毒のビンを使って狙撃、そうして状態異常を引き起こす。
 もう少しで討伐できる――と言う所で、ダイミョウザザミが、ぐっ、と四本の節足に力を溜め込む動作をする。
 何をするつもりだ? と思ったのも束の間。ダイミョウザザミが砂埃を上げて姿を消した。だが、黒い影は未だに砂の上に残っている。
「――跳んだ!?」
 ベルが叫んだ直後、空中から超重量の巨体が落ちてくる。フォアンは大剣を盾にしてやり過ごし、ミャオはその前に距離を取っていた。
 ずんっ、と落下したダイミョウザザミが大量の砂埃を巻き上げる。至近距離にいたフォアンは大剣の腹で受け流すようにして耐え切ったようだ。あんなものが直撃したら、即死してもおかしくない。下敷きになればペチャンコになっただろう。
「ふえ~、砂塗れになっちゃったよ~」
 全身に砂を被ったのだろう、ミャオが舌を出して辟易している。勿論、砂を被ったのはミャオだけではない。フォアンなどモロに被っているだろう。
 その間に、ダイミョウザザミはミャオへと接近して行く。
「ミャオ、危ないっ!」
 ベルが言いながら拡散矢を撃ち放つが、ダイミョウザザミの気を逸らす事は出来なかった。確実に距離を縮めたダイミョウザザミは、大きく両爪を広げ、ミャオに向けて――
「なーにすーるのよーうっ!」
 ダイミョウザザミの接近に気づいていたのだろう、ミャオは大きくシャミセン【狼】を振り被り、触覚の間に有る頭部目掛けて振り下ろす! バガンッ、と鈍い音が爆ぜた後、ダイミョウザザミがあまりの衝撃に昏倒――その場に倒れ込み、動けなくなってしまう。
 ハンマーや狩猟笛などの鈍器系の武器は、頭部を強打するとモンスターを気絶状態に……脳を揺さ振って立ち上がらせなくする事が出来るのだ。
 ダイミョウザザミはグッタリと横たわったまま四本の節足をジタバタと動かすだけで、起き上がれなくなってしまった。
「い、一撃で昏倒させちゃったの!?」
 本来ならば狩猟笛にせよハンマーにせよ、何度か攻撃を当てなければ気絶状態に出来ない。それをミャオは、たった一撃でそうしたようだ。とてもではないが、普段のミャオからは想像も出来ない。
「さぁ~、トドメは任せたわよ~♪ ザレアちゃん~♪」
 ミャオが振り返ると、そこには大タル爆弾Gを片手に一つずつ載せたザレアが迫り来ていた。それには流石にミャオも目を瞠ったが、すぐに道を開ける。
「まっかせるにゃーっ!」
 と言って、ザレアは二つの大タル爆弾Gをお手玉のように放り投げ――走って戻ってくる。
「置くんじゃないんだ!?」
 と言うベルのツッコミは、囂々と吹き荒ぶ爆風に掻き消されてしまう。
 爆炎が納まる頃には、ダイミョウザザミの息の根は止まっていた。


「やったにゃーっ! オイラの爆弾は最強にゃーっ!」
 爆弾で仕留められた事がよほど嬉しかったのだろう、ザレアが飛び跳ねて喜んだ。
「いや、どう考えても最強なのは爆弾じゃなくてザレアでしょ……」
 呆れた表情でダイミョウザザミから剥ぎ取り用ナイフで素材を剥ぎ取るベル。
「ね~ね~、ベルちゃん~、パルトー王国に戻る前に~、一度~、湯浴みしない~?」
「へ?」
 振り向くと、ミャオが装備しているパピメルシリーズを脱ぎ始めていた。
「ちょッ!? ミャオ、ここ狩場だから!! モンスターがどこにいるか判らないんだよ!?」相手が女性と分かっていても顔を赤らめるベル。
「でも~、防具の中に砂が入っちゃって~、気持ち悪いのよ~」構わず防具を脱いでいくミャオ。
「確かにな。俺も砂を出したい気分だ」自分の防具を見下ろしてフォアン。
「にゃー、だったら皆でインナーににゃれば良いにゃっ!」名案だとザレア。
「なしてそんな展開に!? いやいや、流石にそれは不味いって!」何とか流れを変えようとベル。
「そうと決まれば~、こんな暑い所じゃなくて~、涼しい岩場のオアシスに移動しましょ~♪」言いながら歩き始めるミャオ。
「賛成だぜ」「賛成だにゃ!」
「あたしの話を聞けェェェェ―――――ッッ!!」
 砂漠にベルの怒号が鳴り響くが、聞く者は一人としていなかった……


「――フォアン!? 絶対に来ちゃダメだからね!? ちゃんと誰も来ないか見張ってるのよ!?」
「おーう。何かあったら呼んでくれ~」
 岩場地帯の一角に在る、地底湖から流れ着く場所に在るオアシス。先程まで草食竜であるアプケロスが屯していたが、彼らは人間を見ると襲ってくる習性が有るため、残らず殲滅。静かになった広場の隅に在るオアシスで三人の猟人は防具を脱いであられも無い姿になっていた。
「ベルちゃんも~、砂で汚れてるじゃな~い~。女の子は~、いつも綺麗にしてないと~♪」
「いやその、猟人なんだから、これ位の汚れを気にしてたら……」
「だ~め~♪ きれいきれいしましょ~♪」
「そんな手洗い用石鹸みたいな……って、わーっ! ミャオ、どこ触ってんの!? そこ違っ、ぎゃーっ!!」
「う~ん~、ベルちゃんって~、着痩せするタイプなのね~♪」
「にゃー、ベルさん、楽しそうだにゃ~。オイラも混ぜてほしいのにゃっ!」
「いいわよ~、こっちにおいで~、ザレアちゃ~ん~♪」
「にっ、逃げるのよザレアーっ! これは罠、罠よーっ!」
「は~い捕まえた~♪ どれどれ~?」
「にゃにゃっ!? く、くすぐったいのにゃ! にゃははっ、にゃははははっ!」
「う~ん~、ザレアちゃんも~、将来有望ね~♪」
「あぁ……ザレアも魔の手に……」
「って言うか~、ザレアちゃん~? どうして~、湯浴みの時まで〈アイルーフェイク〉を付けたままなの~? 頭が~、洗えないじゃな~い~?」
「にゃにゃっ!? これだけは外せにゃいのにゃ! 絶対にゃ!!」
「気になるわ~。取っちゃえ~♪」
「にゃーっにゃーっ!!」
「どうした~?」
「!! フォアン、来ちゃダメーっ!!」
 あられも無い姿の三人の女猟人と、フォアンが目を合わせる。
「フォアンの~、えっち~♪」
「にゃー、フォアン君も一緒に湯浴みするかにゃ?」
 ミャオが自分の体を隠しながら呟き、隠そうともせず小首を傾げるザレア。
 そして、
「…………」
 声も出せずに真っ赤になって震えだすベル。フォアンはどうしたものかと固まった。
 そうしてフォアンが導き出した結論。
「ナイススタイル」
 ぐ、と親指を立てて頷くフォアン。
「…………う、」
「う?」フォアンが小首を傾げる。
「うわーっ! 早くどっか行けーっ! こっち見るなーっ!」
「ちょっ、待てっ、矢を投げるな矢をっ。ナイフもダメだっ、ペイントボールもっ、捕獲用麻酔玉なんか投げたら――」
 ガクリ、と倒れるフォアン。捕獲用麻酔玉とは、弱ったモンスターに二回投げ当てるだけで眠らせてしまう道具だ。それをマトモに受けたフォアンは、何の抵抗も出来ずに眠りこけてしまった。
 近くに在った物を残らず投擲したベルは、肩で息をしていたが、やがてミャオに詰め寄る。
「どどどどどうしてくれるのっ!? フォアンに、フォアンにーっ!!」
「まぁまぁ~、落ち着いてよ~、ベルちゃ~ん~」のんびりとミャオ。
「これで落ち着いていられる方が不思議だわ!? あーもうっ、……どうしよう……」ガックリと項垂れるベル。
「ベルさん」ぽん、と肩を叩くザレア。
「……うん? 何? ザレア」情けない顔で振り返るベル。
「減るもんじゃにゃいにゃ」ぐ、と親指を立ててザレア。
「うわーんっ、味方がいないって嫌だーっ!!」
 あられも無い姿で蹲るベルに、今度は、あられも無い姿のミャオが肩を叩く。
「フォアンの事、好き?」
「ふぁい!! いきなり何の話!?」驚いて更に顔が赤くなるベル。
「あの子ね~、見ての通り~、ちょっと抜けてる所が有るって言うか~……鈍いって言うか~……それが原因で~、猟人成り立ての頃は~、あまり狩友が出来なかったらしいのよ~。私に悟らせないようにしてたみたいだけど~、私はほら~、分かっちゃうから~」
 ミャオが優しげな表情でベルの顔を覗き込む。そこでベルは、彼女がしている話が、フォアンに恋愛感情を懐いている云々ではないと分かり、人知れず胸を撫で下ろす。
「フォアンは頼りになる仲間よ。ねっ、ザレア?」
「はいにゃ! フォアン君がいてくれて、とっても助かってるにゃ!」
 ベル、そしてザレアからも優しい嘘は感じられない。本心からの言葉なのだろう。自然とその顔には笑みが浮かんでいる。
 ミャオは返答を聞いて満足そうに笑むと、二人の少女に向けて再び言を発する。
「……私ね~、これで猟人引退するんだ~……」
 それを聞いてハッとするベル。そして言い難そうに顔を伏せ、
「……ごめんなさい、聞くつもりは無かったんだけど……」
「起きてたのは~、知ってたわ~。それは良いのよ~。二人には~、知っておいて欲しかったし~」優しく微笑むミャオ。
「どうして引退するの……? 肉体的に限界って言ってたけど、全然大丈夫そうに見えたよ? ザレアも、そう思うでしょ?」ザレアを振り返ってベル。
「にゃ! まだまだ一緒に狩れるにゃ!」うんうんと元気よく頷くザレア。
「う~ん、そう言ってくれるのは~、嬉しいんだけど~、実は今ももう限界に近いのよね~」
 ミャオのどこを見ても、とてもそんな風には思えない。顔色は良いし、体調が優れない訳でも無さそうだ。これで限界だと言うのなら、彼女は自分の体調を一切外に出さない体質なのだろう。
「二人に~、フォアンの事を頼みたいの~」
「えぇ!? そ、それって……?」
「あの子ね~、一人で何とかしよう~、って思い悩む事が有ると思うのよ~。二人がいたら~、きっと大丈夫だと思うけど~……だから~、今日で引退する私の最後のお願いと思って~……どうかな~?」
 ベルはザレアに視線を向ける。彼女がどんな表情をしているのか定かではなかったが、自分と同じ想いを懐いているように思えた。
「フォアンは、大事な仲間だもの。頼まれなくても、フォアンはずっとあたし達と一緒だよ」
 微笑んで応じるベル。彼は、きっとどこにも行かない。ただの思い込みかも知れないし、ベルの一方的な想いかも知れない……それでも、ベルはその考えを自ら否定する気にはなれなかった。
 その答を聞いたミャオは満足そうに笑むと、ベルとザレアを一緒にして抱き締めた。
「ありがとうね~、ベルちゃん、ザレアちゃん……」
「ちょちょっ、ミャオ!?」思わず動揺するベル。
「にゃ~、ずっと一緒って事は、遂に結婚にゃね!?」嬉しげにザレア。
「ザレア!? 違うのよ!? そうじゃなくて……ッ!!」顔を真っ赤にするベル。
「あら~、そういう意味じゃなかったの~?」からかうようにミャオ。
「ミャオまで……もーっ!」
 あられも無い姿で話し続ける三人を見ないように、フォアンは呆れた表情で嘆息する。
「早く服、着てくれないかな……」

【後書】
 リアルクイーンランゴスタに襲われて絶賛療養中の日逆さんです(^ω^)ちくせう!!
 さてさて、今回は【ベルの狩猟日記】では初めてのサーヴィスシーンだった訳ですが、言うほどサーヴィスしてるかな…? って気になってきました。たぶんアレですよ、週刊少年誌的な完全なサーヴィスを意識してたんだと思いますたぶん。正直今でもサーヴィスの配分ってよく分からなかったりしますが…(笑)
 ミャオさんの意味深発言も次回、エピソード5の最終話で明らかになりますので、ぜひ楽しみにお待ち頂けたらと思います! あと、読者の皆様もリアルクイーンランゴスタにはご注意くださいませ…! ではでは!

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    リアルクイーンランゴスタww
    いや、笑い事じゃないですよねお大事に!

    いつもはサーヴィス過多気味の先生ですが、
    今回ばかりは片手落ちではないでしょうか?
    「なんでフォアんくんの湯浴みシーンがないのよぅ!」
    以上ですv

    ミャオさんお母さんですね。
    そしてちょっと切ないです(謎)

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv

    返信削除
    返信
    1. 感想有り難う御座います~!

      ほんとリアルクイーンランゴスタでしたからまじまじ!ww
      何かもう身内では完全に笑い話になっておりまして、本日は職場にお休みの申請をしてきた際にも爆笑されましたよ!ww

      サーヴィス過多…!? まじで!?!?!ww
      からの片手落ち!?!?! ワシ何かしたっけ???
      ってフォアン君の湯浴みシーンwwwww
      これは一本取られましたな!www

      ミャオさんほんとお母さんです…
      次話の展開を想像しているとお見受けしましたぞい…!w

      今回もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

      削除

好意的なコメント以外は返信しない事が有ります、悪しからずご了承くださいませ~!