2018年11月9日金曜日

【艦娘といっしょ!】第5話 葛城といっしょ!【艦これ二次小説】

■あらすじ
ちょっと頭のおかしい提督と艦娘達の日常生活を切り抜いた短編集です。
※注意※2015/12/23に掲載された文章の再掲です。本文は修正して、新規で後書を追加しております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
艦これ 艦隊これくしょん コメディ ギャグ 摩耶 電 金剛


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/68881/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/series.php?id=627932
■第5話

第5話 葛城といっしょ!


「お風呂入るわ! ……あなた、絶対に覗かないでよね!」

 そう言って執務室を後にする葛城を見送ると、提督は「葛城はいつもああ言うけど、私覗いた試し無いよね?」と部屋の中で漫画を読んでいた北上に声を掛ける。
「ん~? つまりそういう事でしょ~?」ニヤニヤ笑むと、寝転がって提督に背を向ける北上。
「つまりどういう事だよ……」怪訝な面持ちで執務に戻る提督。「サッパリ分からんずぇ」
 頭の上に疑問符を浮かべて執務を続ける提督の背後に忍び寄っていた金剛が、ぼそりと声を掛ける。「Namely、ラギーは覗いて欲しいのデース」
「何!? そうだったのか!?」ガタッと椅子を蹴倒して立ち上がる提督。「何だよー、そういう事は先に言ってくれよなー全くぅー」
「Wow! 提督が活き活きしてるネー♪」嬉しげに笑む金剛。
「金剛さん……司令官にまた変な事吹き込んでませんか……?」電が胡乱な眼差しを向けている。
「よし、みんなで行くぞ! お風呂だお風呂だ!」そう言って執務室を出て行く提督。
「Why? 提督一人で行けばいいのにー」不思議そうに首を傾げる金剛。
「提督の事だからよく分かってないんじゃないのー」単行本を置いて面倒臭そうに立ち上がる北上。「そこがいいんだけどねー。ほら、行くよー」てしてしと電の頭を叩いて執務室の外に追い出して行く。
「金剛さんのせいなのですよー!? 司令官は司令官なのですから、変な事を吹き込めば変な事になるって、いつも言ってるのですよー!?」北上に追いやられながらも必死に金剛に声を掛け続ける電。
「huuum……提督はMysteriousネー……」
 悩ましげな表情で、結局付いて行く金剛なのだった。

◇◆◇◆◇

 入渠ドッグ。そこは艦娘達が日頃の疲れや傷を癒すための浴場。本来艦娘だけが使用を許可された区画であって、提督の出入りは許可されていない。
「つまりスニーキングミッションと言う事だ」手拭いを腰に巻きつけた半裸の提督が、桶を頭に被って告げる。
「何を言ってるのかサッパリ分からないのです」ニッコリ笑顔の電。
「では説明しよう。私は入渠ドッグへの立ち入りは許可されていない……しかし! 葛城がどうしても風呂に一緒に入って欲しいと秘密裏に告げていた事が発覚した以上、これはもう可及的速やかに入渠ドッグへ踏み入らねばならない、と言う事だ。つまり、スニーキングミッションと言う事だ」キリッと提督は表情を引き締めた。
「説明されても意味不明なのでした」ニッコリ笑顔が崩れない電。
「現時刻を合わせるぞ。フタサンフタハチ。フタサンサンマルに作戦を実行する。作戦内容はこうだ。私を入渠ドッグへ護送する事。以上だ。作戦を始める。行くぞ!」裸足で駆け出す提督。
「作戦がザル過ぎるのですー!? そして護送対象の司令官が何故先頭切って走って行くですかー!?」慌てて提督を追い駆ける電。
「電ちゃんって、何だかんだ言ってもちゃんと提督の奇行に付き合ってあげるんだよねぇ……本当に良い子だよねぇ……」シミジミと告げながら、のんびり後を追う北上。
「YES! 電は私も認める良妻賢母だからネー!」グッと親指を立てて突き出す金剛。「HEY! 私を置いてかないでクダサーイ!」ペタペタと素足で追い駆けて行く。
「そういう金剛さんも大概なんだけどねー」苦笑を禁じ得ない北上。「てか、隠密作戦も何も、誰から隠れるのかって言うね」
 深、と静まり返る入渠ドッグ。そこには、四人のペタペタと言う足音だけが響いていた。

◇◆◇◆◇

「くっ……はぁ~……良い湯ねぇ……」
 入渠ドッグの中は温泉と同じ造りになっている。あくまで艦娘用の浴場と言うべき場所なので、人間の浴場と作りは大差無い。入るのが人間か艦娘かの違いしかないのだ。
 その一角で全身を伸ばし、ふにゃぁ、と全身を弛緩させて疲れを癒している艦娘――葛城の姿が有った。
「……はぁ……何であんな事言っちゃうかなぁ……」
 先刻執務室で告げた台詞を思い出して、お湯の中に体を沈める。
 提督が未だかつて覗きに来た事は一度として無いにも拘らず、そう言わずにはいられなかった。
 決して提督を意識している訳ではない、と己に言い聞かせても、他の艦娘からしてみれば、そうは映らないだろう。
 ごぼごぼ、と湯船から泡を吐き出しながら、落胆。
「……あの提督だもん、きっと気にしてないわよね、うん」
 しかしすぐに思考は普段通りに戻った。あの提督が、葛城のそんな一言に意識を向ける程鋭かったら、今頃こんな事で悩む事は無いのだ。
「え? 何? 私が何だって?」
 ざばざばとお湯を掻き分けて葛城の前に現れたのは、頭に桶を被り手拭いを腰に巻きつけただけの提督だった。
「~!? ~~?!?!」言葉にならない声を上げて、顔を真っ赤にして提督を指差す葛城。
「どうしたどうした? のぼせたのか?」目の前までやってきて、隣に腰掛ける提督。「もう上がるか?」
「なッ、なななッ、何で提督がここにいるのよ!?」素っ頓狂な声で提督から逃げるように体を隠す葛城。
「え? いや、だって、葛城が言ったんだろ? 一緒にお風呂入りたいって」何を言ってるんだ? と小首を傾げる提督。
「言ってないわよそんな事一ッ言もッ!!」全力で提督から逃げる葛城。「もう最悪ッ! 早く出てって! バカ! 変態!」
「酷い! 酷過ぎる!」涙目の提督。「何だよチクショウ、折角久し振りに誰かと一緒にお風呂入れると思ったのに……ちぇー」ざばざばと葛城から離れて行く提督。
「……え? ちょ、ちょっと待ちなさいよ提督」思わず提督の手を掴もうとして、手拭いを引っ張る葛城「あ」
「あ」手拭いが取れ、股間が露わになる提督。
 絹を裂くような悲鳴が入渠ドッグ中に鳴り響いた。

◇◆◇◆◇

「……い、一緒にお風呂に入りたいのなら、そう言いなさいよ、全く……」
「葛城っちは素直じゃないねぇーこのこのー」
「うう煩い! 北上さんはちょっと黙ってて!」
「ほーい」
 入渠ドッグに、葛城、北上、電、金剛、そして浮かんだままピクリとも動かない提督の姿が有った。
「偶にはみんなでお風呂も楽しいネー♪」ざばざばと浴場でクロールする金剛。
「金剛さん! お風呂場で泳ぐのはダメなのですー!」プンスコと手を振り上げて制止する電。
「まぁ、何て言うの? 偶にはこういうのもいいんじゃない? ねー? 葛城っち♪」ニッコリ笑んで葛城の肩を叩く北上。
「……あなた達自由過ぎない?」呆れた様子で嘆息する葛城。「……でも、うん、ありがと。偶にはいいかもね、うん、偶には」
「司令官も、偶にはこんな風に休むといいのです」うんうん頷く電。
「こんな風って、あんな風?」
 北上が指差したのは、ぷかぁ……と浮いたまま動かない提督。
「……あんな風です」目を逸らす電。
「……あんな風でいいんじゃないかしら」目を逸らす葛城。
「提督はいつもあんな風じゃないデスカー?」キョトンと金剛。
「まぁ、何て言うの? そんな事も、有るよね……」仏のような顔の北上。
「……」ぷかぁ……と物言わぬ骸と化してる提督。
((((……後で何かしてあげよ……))))と思う四隻なのだった。

【後書】
 葛城ちゃんって我が鎮守府では初の空母ケッコンカッコカリ艦なのですよね。それ故に即物語にしたと言うのも有りますが…何だろう、ツンデレ感しゅごいよね!(笑)
 いつだったかも綴りましたが、提督が惨たらしい目に遭うのを楽しむ物語なので、毎度どーやって提督を惨たらしい目に遭わせるのか考えるのが愉しくてですねーw そろそろ新作も綴りたい所ですな!※約半年以上音沙汰無し

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