2018年12月18日火曜日

【ベルの狩猟日記】072.覚悟も、責任も【モンハン二次小説】

■あらすじ
守銭奴のベル、天然のフォアン、爆弾使いのザレアの三人が送る、テンヤワンヤの狩猟生活。コメディタッチなモンハン二次小説です。再々掲版です。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【風雅の戯賊領】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
モンハン モンスターハンター コメディ ギャグ 二次小説 二次創作 P2G


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/135726/
■第72話

072.覚悟も、責任も


「お客様の、おなーりーっ!」
 重厚な扉を押し開き、ベル達三人の猟人を招き入れたロザは、極上の笑顔で屋敷の中へと声を放った。
「いやそれ、客に言うべき台詞なの……?」疑問符を浮かべつつ、ベルがツッコミを入れる。
「でも、悪い気はしないぜ」とフォアンが親指を立てる。
「あぁ……ロザさん、カッコいいのにゃ……惚れちゃいそうにゃっ」
〈アイルーフェイク〉の目許が輝いているような錯覚を覚える程に、ロザに対する感情が表面化しているザレアを見て、ベルは微苦笑を滲ませる。
「あんたも熟々変わり者よね……ロザ姉のどこが良いってのよ?」
「そりゃもう、あの爆弾染みた発言とか、爆弾染みた行動とかだにゃ!」にゃっほう、と喜びを体現するザレア。
「“爆弾染みてる”に就いて詳しくお願いできるかしら!?」ツッコミを入れざるを得ないベル。
「ふん、そっちの猫頭はロザ姐の事をよう解っとるようじゃのぅ。そうとも、ロザ姐はワシらの太陽じゃ! お嬢のいない暗黒世界を照らし出す、太陽なんじゃ!」
「暗黒世界って……他のメイドさんはどうしたのよ?」
 ベルが水を向けると、ギースはサングラスを押し上げ、光の反射で鋭い瞳が見えなくなる。
「お嬢……おやっさんの悪癖は、重々知っとる筈じゃろ?」
「……また、いなくなったんだ……メイドさん……」
 つい、と視線を逸らすベルに、ギースは畳み掛けるように声を荒げる。
「メイド長と謳いながらロザ姐しかメイドがおらんのじゃぞ!? そないな話有って良いんか!? 否! 有っちゃいけん話じゃろうが!! でももうその心配も必要ないけぇ! お嬢が帰って来たんじゃからなぁぁぁぁ―――――ッッ!!」
 怒鳴り散らすギースに、ロザが背後からチョップを振り下ろした。
「がッ」頭が大きく揺れるギース。
「んもうギース君ったらすーぐ熱くなるんだから! お姉さんがいるんだから、それで満足しなさい! お姉さんは皆のスターなのさ!」左手を腰に当て、右手の人差し指を立てて講釈を垂れるロザ。
「何気に凄い事をサラリと言うわね、ロザ姉……」
 ちょっと頬を赤らめてベルがツッコミを入れると、屋敷の玄関口の中二階から声が降りてきた。
「何じゃ騒がしいのう……どうしたんじゃ? 客がどうとか聞こえたが、今日は来客の予定は入っとらん筈なんじゃが……?」
 音源を辿って視線を向けると、そこには白髪を腰まで伸ばした老爺の姿。口髭も胸元まで伸び、顔は全体的に白毛で覆われている。ゆったりとしたローブ姿の老爺は、広間を漫才しながら歩いている一団の中からベルを見かけるや否や、何の躊躇も無く中二階から飛び降りた。
 ずだーんっ、と地響きを立てて着地を決める老爺。その瞳は、何故かギラギラに脂ぎっている。
「旦那様じゃん!」「おやっさん!」ロザとギースが同時に発声。
 屋敷の主らしい老爺は、手をワキワキと握り開きをしながら躙り寄って来る。
「ひ、久し振り……師匠?」
 ベルが引き攣った笑みで片手を挙げた、刹那。
 老爺の姿が消えた。
 フォアンとザレアは目を瞠る。モンスターの素早い動きでも見切れる自信が有る猟人の動体視力の範疇外の速さで動いた老爺に、驚愕の念を懐いたのだ。
 どこに行ったのか――それをベルに問おうと声を掛けようとした瞬間、二人は気づいた。
 ベルを抱き締めながら舌を出して発情している老爺を見つけた。
「ベベベベベルちゃんじゃ~! ワシが恋しくなって帰って来たんじゃろ!? ヌシの居場所は、やっぱりここしかないんじゃよ~♪ ムホホホホ!」
 抱き締めたその手でベルの体中を弄る老爺。ピキッ、とガラスに皹が入ったような擬音を発して、ベルの中の何かが崩れた。
 老爺の顎の下から拳を叩き上げて老爺の体を浮かせると、回し蹴りで老爺の体を薙ぎ飛ばすベル。
「ヘグァッ!」と何かが破壊される音と共に宙を舞う老爺。
 老爺が壁に減り込む形で動きを止めるのを見ながら、切らした息を整え、立てた親指を地に向けるベル。
「――くたばれクソジジイッ!! ……うわーんっ、やっぱり帰ってくるんじゃなかったぁぁぁぁ―――――ッッ!!」
 自分の体をひしと抱き締めながら泣き崩れるベル。
「何しとんのじゃ、おやっさん!? お嬢を相手にする時はもっと繊細且つ丁寧にしろとあれほど……!!」老爺に駆け寄りながらギース。
「こらギース君! 傷心のベルを慰めてポイントを稼ごうと言う魂胆が見え見えだぞ! お姉さんは些細な事でも見逃さないのさ☆」きらっ☆とポーズを決めるロザ。
「ロザ姐!? ワシはそんな打算してないけえ! 純粋にお嬢の心配を――ッ!!」
「――むむ!? ど、どういう事じゃ……ベルのおっぱいに揉まれた形跡が有るぞ!?」
 老爺が悲痛な声で叫んだ瞬間、ベルに視線が集中した。
「なっなっなっ……!?」顔が茹で上がったタコのように赤くなるベル。「なっ、何でそんな事が解るのよ!?」それでもツッコミは欠かさない。
 ギースが茫然自失の態で跪く。「そんな……そないな事が有ってええんか!! 誰じゃ!? お嬢、言ってくれ!! ワシがそのボケぶっ殺しちゃるけえのぉ!!」
 ロザは腕を組んでうんうんと頷いている。「遂にベルちゃんも大人の階段を登ったんだね☆ お姉さんは嬉しいよ♪ ――でででっ? 相手は誰だい!? ――いいや、言わなくても判るよベルちゃん! お姉さんは何でもお見通しなのさ☆ 犯人は――キミだねっ、フォアン君!!」
 ずびしっ、とロザに指差されたフォアンは、若干驚いたような表情を浮かべたが、あっさりと肯定した。
「ああ、ベルの胸を揉んだのは俺だぜ」
 瞬間、場が凍りついた。
「フォ、フォアンンンン!? そんな事は真顔で言わなくて良いから!!」ベルが顔を真っ赤にして絶叫する。
「フォアンとやら……オノレは最大の禁忌を犯しよったようじゃのぉ……!! よりにもよってウチのお嬢に手ェ出すたァ……覚悟は出来とんじゃろうなァ!?」
「ワシの……ワシの大事なベルちゃんを穢した責任、取って貰おうかァ!!」
「いつからあんたらの所有物になったのあたし!?」
 ベルが泣き笑いの表情でツッコミを入れた、その時。
「覚悟は出来てる。責任も取るつもりだ。だから――ベルは貰ってく」
 フォアンの静かな声が、屋敷の中に重く響き渡った。
 誰も二の句が継げない空気が出来上がる。老爺は目を瞠り、ギースはあんぐりと大口を開け、ロザは右手を口に当て、ベルは真っ赤になったまま硬直している。
「流石だにゃ! フォアン君、カッコいいのにゃ! 惚れちゃいそうにゃ!」
 一人、屋敷を支配する凄まじい空気を読めない猫頭の少女が、喜びを体現するように腕を回して跳び上がる。
 暫くザレア以外の時間が凝固したのは、言うまでも無い事だった。

【後書】
 と言う訳でワイゼン翁のおなーりー! な訳ですが、今回の話は正直勢いだけで綴ってる感がしゅごいです(笑)。
 と言うのも、キャラクターがあれ喋りたいこれ言いたいと勝手にやんややんや騒いでたら文字数爆発してた、と言うw わたくしがどれだけネタを練っても、こういうキャラクターの自発的なアクションで大体ネタは観なかった事になるんですな~w それぐらいキャラクターが活き活きしてるのは、こう、作者としては嬉しいんですけれどね!w
 ところでこの話にもほんのり伏線が張り巡らされていたりします。すぐに明かされる系伏線なので、ぜひその辺も楽しみに読み進めて頂けたらと思います! そんなこったで次回もお楽しみに~♪

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
    ワイゼン翁のおなーりー!
    てなわけでなんともクセの強い方々のやり取りが展開されておりますが、
    やはりというか、キャラたちがやりたい放題だったのねw
    みんな楽しそうで良いですぞーvv

    ベル日ほっとするなw

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv

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    1. 感想有り難う御座います~!

      キタ――(゚∀゚)――!!
      ワイゼン翁のおなーりー!ww
      そうなんです!w 今回のお話もキャラ達がやりたい放題やってくれた奴だったのです!ww
      いえい!wぶいぶい!w みんな楽しそうなのが最高なんですぞい!┗(^ω^)┛

      ほっとする!ww 色んな作品が有りますからね…!ww

      今回もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

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