2018年12月21日金曜日

【艦娘といっしょ!】第11話 多摩といっしょ!【艦これ二次小説】

■あらすじ
ちょっと頭のおかしい提督と艦娘達の日常生活を切り抜いた短編集です。
※注意※2016/02/03に掲載された文章の再掲です。本文は修正して、新規で後書を追加しております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
艦これ 艦隊これくしょん コメディ ギャグ 多摩 金剛 電


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/68881/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/series.php?id=627932
■第11話

第11話 多摩といっしょ!


「多摩ぁー、待望のコタツを出したぞー」

 畳敷きの執務室に登場したコタツに、多摩は「にゃぁーっ!! コタツにゃーっ!」と頭から突撃して行った。
「ぬくぬくにゃ……」コタツから足だけ出してうっとりした声を吐き出す多摩。
「やっぱり冬はコタツだよねぇ」もそもそとコタツに足を突っ込む提督。「あぁ~ぬくぬくするんじゃぁ~」
「ぬくぬくにゃ……」「ぬくぬくする……」
「司令官、お茶が入り……!?」執務室に入ってきた電が驚きに目を見開く。「し、司令官の足がめちゃくちゃ長くなってるのです……!?」
「ぬくぬくする……え?」電の青褪めた声に我に返り、コタツの先を見やると、提督の足ではなく、多摩の足がコタツから生えているために、見ようによっては提督の足が尋常じゃなく伸びて見えるだけだった。「電ちゃん、これ多摩の足だよ、多摩の足」
「多摩さんでしたか」ホッと胸を撫で下ろす電。「って、なにゆえ頭から……」
「多ぁ摩は、コータツで、まーるくなるぅ、にゃ」コタツの中からくぐもった多摩の声が聞こえてくる。
「足が出てるのですが……」苦笑を禁じ得ない様子の電。「はい、司令官。お茶なのです」コタツの上にお茶を置く。
「てんきゅー」湯飲みを受け取り、冷たい麦茶をあおる司令官。「カーッ! やっぱり冬でも冷たいお茶に限るね!」
「冷たいものばかり飲んでるとお腹を冷やしちゃうのですよ?」めっ、と人差し指を立てる電。
「でも電ちゃん優しいからちゃんと冷たいお茶を持ってきてくれるんだよね!」ニッコリ笑顔の提督。
「……仕方ないのです。司令官、熱いお茶は冷めるまで口を付けないですから」ぷぅ、と頬を膨らませる電。
「にゃん舌だからね、仕方ないね」てへぺろする司令官。
「もう。でも、多摩さんは熱いお茶飲めるんですよね?」
「にゃ?」コタツの中でもぞもぞ動き、足を引っ込めて顔だけ出す多摩。「多摩はホットミルクが飲みたいにゃ」
「多摩さんにパシられたのです!?」ガーン、とショックを受けている電。
「一度コタツに入ったら出たくなくなるんだよなー分かる分かる」うんうん頷いて横になる司令官。「あぁー執務したくないなぁーこのまま寝たいなぁー」
「司令官は堕落に身を委ね過ぎなのです!」司令官の頭をバシバシ叩く電。「早く執務を始めるのです! お仕事がとっても溜まってるのです!」バシバシ!
「痛い! 分かったから! 分かったから頭が変形しちゃうからヤメテ!」もそもそとコタツから出て机に戻っていく提督。「多摩も満足したら部屋に戻れよー」
「にゃぁー」蕩けそうな顔で生返事を発する多摩。
「こいつ帰る気ねえな……」
 呆れた表情だったが、しかしそれ以上は言わない司令官なのだった。

◇◆◇◆◇

「よーし、本日の執務終了ーっと」うーん、と背伸びして時計に目をやる。「もう日付変わってるのか。早く寝ないと明日の執務に響きそうだなっと」
 ふとコタツに目をやると、多摩が気持ち良さそうに横になっている姿が見えた。
「多摩!? お前まだいたのか!?」驚きに声を張り上げる提督。
「……にゃ? 多摩が優秀? にゃぁ、ただ闘争本能が高いだけ、にゃ」むにゃむにゃと呟くと、すぅすぅ寝息を立て始める多摩。
「寝言かよ!」ツッコミを入れ、提督もコタツの中に入っていく。「お、温けぇ~、はっ、イカン! コタツの魔力の前では最早脱出不可能……! 多摩! おい多摩起きろ!」多摩の足を蹴り飛ばして覚醒を促す。「このままでは私達は遭難する! 早く助けを呼んでくるんだ!!」
「にゃぁ……?」もそもそと多摩が動いた先には、コタツのスイッチ。それを動かし、中だった火力を強にする。「これで大丈夫にゃ、問題にゃい」
「何て事を……ッ!」ワナワナと震える司令官。「あっ、あぁ~ぬくぬくするんじゃぁ~……」蕩け顔でコタツの中に埋没していく。
「ぬくぬくするにゃ……」「ぬくぬくするんじゃぁ……」
 そして、二人は未帰還者となるのだった。

◇◆◇◆◇

 翌日。
「GoodMorning! 提督ぅー!? どこにいるデース!?」
 金剛が突撃した執務室は静寂に満ち、生気が感じられない空間と化していた。
 生物の絶えた世界。そこで金剛は「どうなってるネー?」と部屋を見回した後、コタツを発見する。
 そこには、スヤスヤと眠りこける提督の姿が有った。
「提督ぅー! コタツを出したなら出したって言ってヨー!」ズバァッ、と勢いよくコタツに入り込む金剛。「Oh! SuperHotネー! スヤァ……」そして急速な眠気に負け、パタリと意識を失ってしまう。
「……むにゃ? あ、あれ? 金剛ちゃんいつの間に……!? イ、イカン! 続々とミイラ取りがミイラと化していってる……! 助けを呼ばなくては……! 多摩! いるんだろ多摩!」意識を取り戻した提督が必死にコタツの中を蹴り飛ばす。
「痛いデース!」金剛の悲鳴が上がった。
「あ、ごめん。え、じゃあこっち?」ゲシゲシと何かを蹴り飛ばす提督。
「痛いのです!」電の声が反対側から上がった。
「電ちゃん!? 電ちゃんいつの間に遭難してたの!?」驚きの声を禁じ得ない司令官。
「迂闊だったのです……! 多摩さんにホットミルクを持って来たら、そのまま……!」悔しげにコタツの中に戻っていく電。
「何て事だ……! あの電ちゃんですら、この魔力に抗えないと言うのか……! じゃあ多摩はどこ行ったんだ?」
「多摩ならここにゃ」提督の隣から声が上がった。
「いた! いつの間にこっちに来てたんだ!?」驚きながらも多摩のスペースを作る提督。
「提督は、コタツと同等のぬくぬくにゃ」すりすりと頬を提督の体に当てる多摩。「おやすみにゃさい……」
「多摩も温かいなぁ……」ほわぁん、と和やかな空気に包まれ、そのままスヤァ……と意識を失う提督。
 後日、四人揃って風邪を引いたのは、また別の話。

【後書】
 コタツの前には全てが無力…!(笑)
 昔は我が家にも、と言いますか、自室にもコタツが実装されてたんですけどね! いつの間にか撤去されてました。寒い…ぬくぬくしたい…:(´◦ω◦`):

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