2018年12月14日金曜日

【物拳】胸応【僕のヒーローアカデミア二次小説】

■あらすじ
事故で物間が拳藤に触れちゃう話。
相思相愛系物拳です。色々捏造設定注意!

▼この作品は、Blog【逆断の牢】、【Pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 物間寧人 拳藤一佳 物拳 ヒロアカ


Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10487292

■胸応


※色々捏造設定なので、なんでも許せる方向けのお話だよ!


「やっぱよう、女子っておっぱいの大きさがさぁ」

ヒーローを育成する高校であっても、ヴィランを圧倒できる個性を有していても、中身はどこにでもいる思春期の高校生に違いなく。
ともなれば教室で談笑する男子の話題に、女性の象徴や性徴に纏わるワードが飛び交っても、不思議ではないし、おかしくも無い。
故に物間は1年B組の隅で会されている猥談を止める気は無かったのだが、率先して聞きたい話でもないと、意識的に彼らの会話を遮断するように、コミックスに目を落としていた。
「拳藤もさ、実は大きいよな、アレ」
――ピクリと。遮断していた音声が鼓膜に届き、思考がコミックスのシチュエーションから飛んで、拳藤のイメージが浮かび上がる。
確かに、大きいよな。と思うだけで、口には出さないし態度にも出さない。そして想像上とは言え彼女の胸を露わにした自分に嫌悪が生じ、小さく頭を振って、一旦この場を離れようと立ち上がり――「おわっ!」誰かと衝突し、こんがらがるように転倒した。
「どうしたどうした? 大丈夫か?」
B組の生徒がワラワラと群がってくるのを遠ざけるように、「大丈夫さ、ちょっと転んだだけ」と咄嗟に掴んでいたものから手を離し、大事無しと手を振って応じる物間。
その下では、下敷きになった拳藤が同じような顔で「私も大丈夫だから~!」ともっそり立ち上がり、ぱっぱっと体を払って、グッとサムズアップしてみせた。
クラスメイトは安堵とも呆れとも取れる声を銘々に上げながら散っていき、普段の時間がまたB組に訪れる。
その時、物間と拳藤が妙にぎこちなく視線を交わしている事に気づいた者は、誰もいなかった。

◇◆◇◆◇

深夜の生徒寮。リビングでは物間が疲労を滲ませた顔でぼんやりと天井を仰いでいた。
単純に寝つけないために、自室を出てここに辿り着いたのだが、当然明日も授業が有る、人の気配は絶えていた。
「……」
静かに右手を天井に掲げる。この手が、あの感触を――
「よっ、物間も眠れないのかい?」
「……拳藤」
右手の隙間に映った人影に、物間は若干ぎこちなく声を返した。
向かいのソファに腰掛けた拳藤は、物間の反応を見て気まずそうに視線を外すと、口の端を掻きながら、掠れた声を落とす。
「……どう、だった?」
一瞬何を問われたのか分からなかった物間は、数瞬間を置いてから、「……何が?」と疑問符を返した。
「…………私の、胸」
…………長い、間が有った。
「……何の話?」惚けるにしては、あまりに返答が遅くなってしまった物間。
「昼間、あんた私を下敷きにして、掴んだでしょ? ……胸」
「……もう憶えてないよ」
ひたすら顔に出ない事を祈りながら、物間はそっぽを向いて応じるも、拳藤はどこか見透かしているかのような表情で、穴が開く程に物間を凝視していた。
「……本当に?」
「本当だよ」
「私は……ドキドキしたけどね」
物間の眼球に映る拳藤が、今は何故か、普段以上に――否、普段とは異なる色気を纏っていた。
喋る度に震える唇に視線を奪われたり、何気無い仕草で揺れる服の裾に生唾を呑み込んだり、物間は自覚できる程に緊張していた。
拳藤は色っぽく物間を見つめたまま、気持ちを推し量るように、決意を舌に載せるように、呼気に恋情を混ぜるように、静寂に満ちた世界に、吐露を織り込ませた。
「……思い出せないなら、もう一度……触って、みる?」
自分の胸部を強調するように体を寄せる拳藤に、物間は遂に白旗を上げた。
「――悪かった。僕が悪かった。だから、頼む。それ以上迫ってこないでくれ。僕の心臓が持たない」
完全敗北だと、頭を下げて懇願する物間に、拳藤は加虐心を擽られたのか、悪戯っぽい微笑を刻むと、「ふふん、そら見た事か。このむっつりめ」と容赦無く弾劾した。
「……僕も、ドキドキしたよ。頭がどうにかなりそうだった」
正直に本音を漏らした物間に、拳藤は恥ずかしそうに「そ、そうなんだ」とどもった後、握り拳を作って、先刻の――痴情にさえ映る表情で、囁く。
「じゃあ……もう一度、ドキドキ……して、みる……?」
眼前に迫る拳藤に、物間は視線を逸らす事が出来ず、意識も完全に奪われたまま、瞠目して固まっていたが、辛うじて殲滅を逃れた理性が意気を上げると、彼女の瞳を正視し、確たる意思を以て、告げる。
「え、遠慮しとくよ」
それに対して今度は拳藤の動きが凝固してしまい、「ふ、ふーん、そっか……」と、どうしたらいいのか困った様子で視線を逸らしてしまう。
「お、おやすみ、拳藤」
最早居心地の悪さが臨界を超えた物間は、逃げるようにリビングを後にした。
その背に、掠れた声で「お、おやすみ、物間……」と、拳藤が呟いたが、頭に入ってこなかった。
――理性が飛ぶかと思った……!
あのままあの場にいたら大変な事になると分かった物間は、その後自室に入っても寝つけず、そのまま徹夜コースだったとか。
そして拳藤は拳藤で、
――か、軽い女って思われちゃったかな……!
と、物間の心証が気になり過ぎて寝つけず、二人して翌日は目の下に隈を作っての登校になったそうな。

【後書】
先日Twitterでと言いますか、マシュマロでそんな話が出た折に、うっかりネタが浮かんじゃったのでサクサクっと綴った物語、その1であります!(`・ω・´)ゞ この、何て言うんですか、青春~! ってしてるのが、わたくしの中の物拳像でしてね!!(机をバシバシ叩きながら)
こういう事故、有りましたよね。うん…有りましたよね…(遠い目) たぶんその2は来週辺りに更新するかも知れぬいです! ( ^ω^)おっ楽しみに~♪

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