2019年1月13日日曜日

【神否荘の困った悪党たち】第53話 徹夜コースですねこれは【オリジナル小説】

■あらすじ
そんな劇聞いた事無いな??

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
日常 コメディ ギャグ ほのぼの ライトノベル 現代 男主人公


カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054881797954
■第53話

第53話 徹夜コースですねこれは


「せんぱーい! 助けてください、せんぱーい!」

ドカドカと扉が破壊されて砂月ちゃんが部屋に乱入して来た。
俺はニャッツさんと3DSを突っつき合わせながらゲームプレイしてた体勢のまま、驚きでちょっと体が浮いたよね。
「どうしたの?」扉壊れちゃったよ……「俺の部屋の扉を壊すほどの事案なの?」
「それがあの、聞いてください先輩!」ニャッツさんの前に座って、「よいしょ」と言いながらニャッツさんの体を丁寧に退かすと、俺と膝を突き合わせて座り込む砂月ちゃん。「幼稚園で劇をする事になりまして!」
「幼稚園で、劇?」頭の上にクエスチョンマークを点らせながら小首を傾げちゃう。「何でまた?」
「それがあの、自分その、病二高のボランティア部に所属してまして、今度の日曜日に、幼稚園で劇を催して欲しいって頼まれちゃって……」もじもじと指を突っつき合わせてるのは可愛いんだけれど、その指と指が突き合う度に火花散るの怖いよう。
「そうなんだ、砂月ちゃん学校でそんな事してるんだ」何か想像してたのと違うけど、しゅごいなぁ。
「それがあの、丁度日曜日に部員皆に用事が出来ちゃって……出演できる人がいないんです!」涙目で砂月ちゃんが俺を見つめている。「先輩、助けてください……っ!」
「えーと、つまり、俺にその劇に出て欲しいって事?」
「流石先輩! 出てくれるんですね有り難う御座います!」俺の手を握り締めて会心の笑みの砂月ちゃん。
「あっ、これもう俺の返答関係無い奴だな?」
「師匠! 師匠死んでるニャ!」
「あっ」3DSに視線を落とすと、俺のキャラが死んでた。

◇◆◇◆◇

急遽中庭に神否荘の住人が一堂に会する事になった。
俺は廊下の縁側に腰掛けてるけど、皆適当に壁に寄りかかったり廊下にあぐらを掻いたりして寛いでいる。
「なるほど……」俺の話を聞き終えた式子さんが、手が届かないなりに腕を組もうと努力しながら紙の首をへしへしして頷く。「部員の代わりに、私達に劇を手伝ってほしいと……」
「何とかならないかなぁ?」俺の膝の上に載っている式子さんを見つめて小さく首を傾げる。「神否荘の住人が困ってるなら、俺に出来る事なら何とかしたいし」
「僕いいっすよ! 劇出るっすよ!」はいはいはーい! と元気溌剌に挙手するラヴファイヤー君。「何の劇するんすか!? 異世界召喚系!? 世界最強系!?」そんな劇聞いた事無いな??
「桃太郎です!」そう言って砂月ちゃんが掲げたのは、桃太郎の絵本だ。「園児にも判り易い勧善懲悪モノ! これで園児達に鬼は虐殺するモノ、財宝は略奪するモノと刷り込むんです!」とんでもねー事言い始めたぞ。
「ニャるほどニャ! 我輩もその絵巻物語は知っているニャ!」ニャフン、と俺の膝に前脚を載せるニャッツさん。「桃太郎と言う異常者が、鬼と言う異界のモノを皆殺しにするハートフルストーリーニャろう?」どこにハートフル要素が有るんだ。
「桃太郎!」パンっと柔らかく手を合わせるマナさん。「いいわねぇ、桃、美味しいのよねぇ」会話が噛み合ってるのかだいぶ疑問視せざるを得ない感じの返答だ!
「おいおい大丈夫なのかこんな面子に桃太郎やらせて」シンさんが煙草を銜えながら苦笑を浮かべてる。「あ、あたしその劇やるならハンターの役やらせてね。鬼射殺するから」桃太郎のお供がハンターで鬼射殺するとか園児号泣もんだよ。
「うーん、シンさんと同意見ってのはあんまりだけど、確かにドチャクソ不安だよね」困った困った、と腕を組んでしまう。
「台本は考えてあるんです!」と辞書のような分厚さの台本を手渡してくる砂月ちゃん。「この通りにやれば園児はスタンディングオベーションしますよ!」園児がスタンディングオベーションとか狂気の沙汰だよ。
「わぁ! 面白そうっすねこれ!」台本を読み耽りながらラヴファイヤー君が楽しそうな声を上げ始めた。「これいつ上演するんすか!?」
「今度の日曜日です!」砂月ちゃんがサムズアップした。
「だからそれまでに練習しないとね」よっこらしょ、と重い腰を持ち上げると、「次に訪れる日曜日は約七時間後です、亞贄様」とメイちゃんが顔を上げて呟いた。
「ん?」思考が停止する。「今日何曜日だっけ?」
「今日は土曜日だから、零時からサーヴァンプのアニメやるよ」ふわわ、と欠伸を浮かべるシンさん。「練習いつするの?」
「……徹夜コースですねこれは……」
爽やかな笑顔でサムズアップすると、皆同じ顔でサムズアップを返してきた。
そういう訳で俺達は、桃太郎の劇の練習を徹夜ですると言う難行を始める事になった。
……徹夜で練習してそのまま園児にその劇を見せると言う不安は、その、まぁ、見なかった事にしました。

【後書】
 と言う訳で新章開幕です! このとんでもねーメンバーで繰り広げる桃太郎にご期待ください!(笑)
 正直アレなんですよね、メンバーがメンバーですから、何やらせても面白いまで有りますよね。取り敢えず100話を目指しておりますけれど、それまでにどんな事をやらせられるか…そしてその後にどんな事をやらせるか、時間が幾ら有っても足りない奴ですね!w
 そんなこったで次回もお楽しみに~!

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    新章開幕キタ━(゚∀゚)━!

    あっとおどろく桃太郎wみんな色々な解釈してるけど大丈夫か?
    園児たちのトラウマにならなきゃ良いけど…w
    亞贄ならうまくまとめてくれるはずっっ!

    でも7時間w

    走り出した彼らはもう先生でも止められないッッw
    どんな展開が待っているのか+(0゚・∀・) + ワクテカ +です!

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv

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    1. 感想有り難う御座います~!

      新章開幕キタ――(゚∀゚)――ヨ!!

      みんな自由ですからね!ww 解釈違いで大惨事が起こる気しかしぬい!www
      確定された園児たちのトラウマ感…!(笑)
      ですな!w 亞贄君ならきっとやってくれるはずっっ!w

      時間が足りな過ぎるんだなぁ…!(笑)

      そうです!ww 走り出した以上、最早彼らが勝手に解決してくれるしかないッッ!ww
      ぜひぜひ楽しみにお待ち頂けたら幸いです~♪

      今回もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

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