2019年1月27日日曜日

【神否荘の困った悪党たち】第54話 桃が流れてくるんじゃなかったかなぁ【オリジナル小説】

■あらすじ
洗濯! お婆さんは川に洗濯しに行くんじゃなかったかな!

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
日常 コメディ ギャグ ほのぼの ライトノベル 現代 男主人公


カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054881797954
■第54話

第54話 桃が流れてくるんじゃなかったかなぁ


「じゃあ練習を始めますよー」

 パンパンと台本を丸めたモノで手を叩き始める砂月ちゃん。映画監督の風格だ。
「まずは桃太郎の出だしと言えばアレですよね!」砂月ちゃんが俺の顔を見て告げた。「桃太郎が流れてくる奴!」
「桃太郎いきなり川で溺れてる所からスタートするの?」いきなり水難事故だよ。「桃が流れてくるんじゃなかったかなぁ」
「そうでした! 桃太郎が封印されてる果実が流れてくるんでしたね!」砂月ちゃんの中二的言い回しが一々腹筋に来るなぁ。
「まじかー、そんな初歩の初歩から情報無いのかー」シンさんが笑い過ぎて苦しそうだ。気持ちは分かる。「取り敢えずアレじゃん? 川用意しようよ川」簡単に言ってくれやがる。
「はい川です」砂月ちゃんが指差した瞬間、中庭に川が出現した。「これでいいですか?」
「う、うん」「お、おう」俺とシンさんのもんにょりした声が重なった。
「じゃあまず第一のシーン! 川にお婆さんが桃を取りに行くシーンから!」パシーンッ、と台本を丸めた奴を叩く砂月ちゃん。「お婆さん役はマナさんお願いします!」
「川に桃を取りに行けばいいのね~」奇蹟的に話が繋がってるけど訳の分からないお婆さんの行動原理。
「待って待って、お婆さん何で川に桃を取りに行くと言う気違い染みた行為に走ってるの?」川から桃が流れてくる世界なの??「洗濯! お婆さんは川に洗濯しに行くんじゃなかったかな!」
「川に洗濯? いやいやー、家に洗濯機と衣類乾燥機在りますから、わざわざ川に洗濯しに行かないですよー」ケラケラと笑い飛ばしてくれる砂月ちゃん。「そんな昔の人じゃあるまいしー、あはは」昔の話なんだけどなぁ。
「もう前提やら根底やら何もかも薙ぎ倒していくけど、これ昔話だからね? むかーしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいましたって始まるからね??」もう説明するのがしんどくて堪らない。
「そうだったんですね! 先輩物知り~!」砂月ちゃんが感動してるのを見て俺はどんな表情をすればいいのか分からない……「てっきりこれ、何かの漫画の二次創作かと」嘘やろ……
「まままぁ、そういう訳だから、お婆さんは川に洗濯に行かせよう。いいね?」説得が雑になってきたけど許して欲しい。
「待った!」ラヴファイヤー君が突然検事っぽく挙手した。「ただ桃太郎と言う物語を演じるんじゃダメっす! 今時の子はそんな劇じゃ満足してくれないっす! もっとこう、オリジナリティを出さないといけないっす!」何て事言いだしてくれてるんだ。
「愛火さん……! その通りです! 愛火さんの言う通りです! 折角劇をするなら、園児達に楽しんで貰わなきゃいけないと思います! 先輩もそう思いますよね!?」「えぇ、どうかな……」「やっぱり! じゃあオリジナリティを出す方向で行きましょう!」くそう、もう俺の話は聞いてないな。
「まずお婆さんを川に向かわせる必要性っすよね……」ラヴファイヤー君が真面目に訳の分からない事を考えてる。「川に……そうっす! 川に血を洗いに行ったとかどうっすか!?」何でお婆さん冒頭から血に濡れてるの??
「そ、それだーっ!」そ、それだーっ、じゃないよ砂月ちゃん。「お婆さんは血を洗うために川に向かった……これで全て解決ですね!」問題しかないよ。
「待って待って、何でお婆さん血に濡れてるの??」話がおかしい方向に転がりまくってるのを何とか止めたい!「洗濯でいいじゃん洗濯で! 昔話なんだから!」
「何で血に濡れているか……」シンさんが煙草を吸い始めた。「そりゃーおめぇ、誰かやっちまったからじゃねーの?」お婆さん殺し屋なの??
「なるほど!」なるほどじゃないよ砂月ちゃん。「一仕事を終えて、ゆっくり川で血を灌ぐ……これでこのシーンに違和感が無くなりましたね!」違和感しかないよ。
「シンさ~ん」ヘロヘロと手を伸ばす。「シンさんまで悪乗りしないでよ~」もう収集が付かないよ~。
「いいじゃんいいじゃん、もうこうなったら行くとこまで行ってみようぜ」煙草を上下させながら笑うシンさん。「もしかしたら傑作になるかも知れねーし」どうだろうか……
 ……まぁ、確かに、冒頭から誰か殺害したお婆さんが川に血を洗いに行く時点でしゅごい物語になる予感は有るけども……これ見るの園児やで……
 と思いながらモダモダしてると、砂月ちゃんの進行で話は更に進んでしまっていたようだった。
「お婆さんは誰を殺した事にするっすか? これ大事だと思うんすよね」桃太郎が全く関与しない話で盛り上がってるラヴファイヤー君。「ここは、魔族にするっすか?」魔王が魔族を殺された話をしてる。
「いや……ここはお爺さんにしましょう!」パキィンッ、と指を鳴らす砂月ちゃん。「配役面倒臭いですし」
 悲報。お爺さんの配役を用意するのが面倒なため殺害されるの巻。
 何でいきなり老夫婦の殺し合いから物語が始まるんだ……もう既にR指定入れないとダメな奴になってる感しゅごいぞ……
 これ見るの園児なのに……
 廊下に掛けられた時計に視線を向けると、深夜二時だった。うん、まぁ、そんなテンションだよね。

【後書】
 大惨事である(笑)。あと今時の子って桃太郎知らない子がいるってほんとですか??(ふるえ)
 と言う訳で見るも無残な桃太郎が開幕した訳ですが、このテンションのまま最後まで突っ走りますw これはもうほんとに一体どうなってしまうのか!w 次回もお楽しみに~♪w

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    大惨事ですw

    転がり始めたらもう誰にも止められないッ!
    ライク・ア・ローリングストーン!!(何いってんだw

    ほんとどうなっちゃうんだろw
    無事に済むはずないのは確定なので、着地点どの辺に持ってくるか…
    てか、本当に公開できるのだろうか?
    神否荘の良心亞贄君君にすべてが懸かっている!!!
    深夜二時のテンションは素敵w

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv

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    1. 感想有り難う御座います~!

      大惨事ですwwww

      それです!ww
      ライク・ア・ローリングストーン!www(横文字で目が滑る滑る!ww)

      もう開幕からヤバいですからねww
      「無事に済むはずないのは確定なので」よくご存知で!ww いや寧ろそうとしか思えない展開でしたねこれ!ww(笑)
      ほんとそれですww公開できるんでしょうかねこれ…ww
      神否荘の良心!w 亞贄君頑張ってぇ~!ww
      深夜二時ってこんなテンションですよね!w(思い出されるチャットの世界w)

      今回もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

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