2019年1月27日日曜日

【艦娘といっしょ!】第15話 隼鷹といっしょ!【艦これ二次小説】

■あらすじ
ちょっと頭のおかしい提督と艦娘達の日常生活を切り抜いた短編集です。
※注意※2016/09/07に掲載された文章の再掲です。本文は修正して、新規で後書を追加しております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
艦これ 艦隊これくしょん コメディ ギャグ 隼鷹


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/68881/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/series.php?id=627932
■第15話

第15話 隼鷹といっしょ!


「提督ぅー? 起きてる……ね、へへへ、お邪魔しま~す♪」

 マルヒトサンゴー。深夜の執務室に現れたのは、酒瓶を携えた隼鷹。
 執務室では提督が執務……ではなく携帯ゲーム機でプレイ中だった。
「おう、どうした隼鷹?」ゲームを一旦停止して顔を上げる提督。
「いやさー、今日さー、那智と一緒に飲むつもりだったんだけどねー? あいつ急に用事が出来たとかで、いなかったのよー」若干呂律が回らない語調で語る隼鷹。「でさー、さっきまで加古と飲んでたんだけどー、加古ってばすぅーぐ酔い潰れちゃってぇー、飲み足りないから来ちゃったぁー♪」
「お前……だから深酒はヤメロって言ってるだろー? 酒は飲んでも呑まれるなっていつも言ってるのに全く……」やれやれと肩を竦める提督。「てかそれ、加古は大丈夫なのか? 介抱しなくても」
「らいじょーぶらいじょーぶ、古鷹に救助要請出しといたからぁー、だいじょぶ! だからさー、提督ぅー、一緒に飲もぉ~?」
 べろんべろんの態で提督にしな垂れかかる隼鷹に、「まだ飲むのかよお前、流石に寝ろよ、もう日付変わってるんだぞ」と鬱陶しがるものの引き剥がそうとはしない提督。
「今日はぁ~、飲み明かすってぇ~、決めてん、の!」むはぁ~、と酒気を帯びた気息を吐き出す隼鷹。「提督もさぁ~、偶にはタガを外してぇ~、楽ぅ~になろうよ~?」
「別に普段からタガなんて付けてないけどな!」自慢げに胸を張る提督。「つーか、私はアルコールあんまり好きじゃないんだって、前にも言わなかったか?」
「そう! それな! あたし憶えてたんだよそれ~! 偉いでしょ~? な?」べたべたと提督の頭を叩く隼鷹。
「はいはい偉い偉い。てか憶えてるのに酒飲まそうとするなよ、さてはお前もう頭回ってないな?」
「ブゥーッ! まだ隼鷹ブレインは息してますぅー!」ぐわんぐわん首を振って否定する隼鷹。「ほらぁー、提督言ってたじゃん? アルコールのさぁ、あの、苦味? が嫌だってぇー」
「おう、言ってたな。それで?」
「だから、これ! 見てよこれ!」と言って酒瓶を押し付けてくる隼鷹。「何て書いてあるぅ~?」
「えぇーっと……? かるーあ、こーひー、りきゅーる……? ってなんぞこれ?」不思議そうに隼鷹を見やる提督。
「これはなぁ、コーヒー牛乳のように甘ぁ~いっ、カクテルさぁ! 一回飲んでみ? 騙されたと思って、一回飲んでみ?」ぐいぐい押し付けてくる隼鷹。
「へぇー、甘いカクテルかぁ。じゃあ一杯飲んでみるか」と言って隼鷹を背負ったまま歩き、戸棚のグラスを取り出して、ソファに座る提督。自らビンを開け、とぽとぽとグラスに次ぐ。
「まんま牛乳みたいな色してんのね」
「そりゃぁー、牛乳のカクテルだもん、これで色が違っちゃぁー、詐欺だね詐欺、うんうん」頻りに頷く隼鷹。「さっ、グイッと! いっちゃって! さぁさぁ!」
「分かったから落ち着けよ……」呆れた様子でグラスを傾ける提督。「お、確かにこれ、甘くて美味しいな」
「でっしょぉー!?」提督を指差して大声を張り上げる隼鷹。「あたしの舌に狂いは無かったって事よー! アヒャヒャヒャヒャ!」
「アルコールの味が全くしないって訳じゃないけど、これは飲み易いな」と言って更にグラスに注いでいく提督。
「お、提督ぅ~? あんたイケる口だね~? 嫌だ嫌だって言いながらも、飲めんじゃんよう♪」楽しげに提督の肩を揺する隼鷹。
「ん? まぁ、私アルコールは好きじゃないけど、飲めない訳じゃないからねぇ」グビグビとグラスを干していく提督。
「ありゃ、そうなのかい?」驚いた様子の隼鷹。「だったら先に言えよう~あたしゃ一緒に飲める飲み仲間が欲しくてさぁ~」
「いや、だからな? 飲めない訳じゃないけど、アルコールは好きじゃないんだって」グラスを空にした提督が、苦笑を浮かべながら隼鷹に向かって手を振る。「味があんまり好きじゃないんだよ、あの独特の苦味がさ」
「勿体無いなぁ、その苦味が、何れ旨味に変わるんだってぇ~。それが大人の階段って、や・つ・さ♪ ひっくぅ」提督にべたべた纏わりつきながら、酒瓶を傾けてグラスに注いでいく隼鷹。「一度さぁ~、提督をべろんべろんに酔わせたいんだよなぁ~。そんで、本音をぶちまけさせたいんだよぉ~」
「おいおいどんだけ飲ませるつもりだよ」苦笑を浮かべる提督。「つーか、今更だけど、執務室で飲酒って、こりゃ作戦司令部にバレたら始末書もんだな」
「おやぁ? なんだい、チクられんのが怖いのかい提督ぅ?」ケラケラと笑う隼鷹。「誰も言やしないって、ウチの鎮守府は良い子ちゃん揃いだからさぁ、酒臭くても誰も咎めやしないよぉ」
「それもそうだな、それにお前を背負って食堂に行くのも面倒だし、ここで一杯やるか!」と言って新たなグラスをテーブルに置く提督。「美味い酒を持ってきてくれたんだ、今夜は付き合ってやるぜ」
「話が分かる提督だぜ全くぅー♪ これだよー、ウチの提督は何だかんだ言いながらもちゃんっと付き合ってくれるのが良い所だよなー、うんうん♪」言いながら空いているグラスにカクテルを注ぐ隼鷹。「んじゃま、かんぱーい♪」
「おう、かんぱーい」
 カラン、とグラスが揺れ、互いにグビグビ呷っていく。
「カァーッ! 美味い! んまぁ、あたしの好みじゃないけどねぇ」言いながらも自らグラスに注いでいく隼鷹。
「隼鷹は普段焼酎とか日本酒だもんな。こんなの子供の味って感じか」酒瓶を受け取り、自らのグラスに注ぐ提督。
「まぁね~、やっぱあれぐらいの辛味が無いとあたしは物足りないなぁ。でもま、今は提督と二人飲みできてるから全ッ然イケるけど」赤ら顔で笑む隼鷹。「それにさ、提督ぅ、このカクテル、実は度数高ぇんだぜ、これが」
「へぇー」気にせずグラスを空にしていく提督。「てか、お前もしかして真面目に私が酔い潰れるの期待してるの?」
「さっき言っただろぉ~? 提督がべろんべろんになるのを見てみたいってぇ~♪」にまぁ、と笑いかける隼鷹。「いっつも仏のような態度で艦娘相手にしててさぁ~、こう、鬱憤とか溜まるだろぉ~? それをさ、この隼鷹さんがぜーっんぶ、優しく受け止めてあげようって、親切心がねぇ?」
「……言っとくけど、私、未だかつて酔っ払った事が無いからな?」真顔で呟く提督。
「またまたぁ~♪ それは単にそこまで飲んだ事が無いって事だろぉ~♪ さぁ、飲んだ飲んだ! このあたしが提督の熱ぅい想い、受け止めてあげるからさぁ!」

◇◆◇◆◇

「…………んぁ?」
 朦朧とする意識の中で隼鷹は覚醒する。自然と視線が向かうのは、時計。今はマルヨンヒトマル。窓の外は仄暗く、部屋の電気は煌々と点いたままだ。
「あるぇ……あたし……?」
 ぐらつく頭を何とか留めて起き上がると、隼鷹は執務室のソファに寝転がっていた事に気づく。起き上がった動作で掛け布団が床に落ちる。揺れる視界の先――デスクの先には、淡々と執務をしている提督の姿が映った。
「お、起きたか。お前べろんべろんに酔ってたから、背負って部屋まで送ろうと思ったけど、背中で吐かれるの嫌だったからそこに寝かせたんだわ」
 隼鷹の覚醒に気づいて声を掛けてくる提督。隼鷹はぼんやりしたまま提督を見据えるだけで、すぐに返答を発せられなかった。
「あ、待ってろ、今水を持ってきてやるから」と言って戸棚のグラスを手に取り、執務室を出て行く提督。
「……んぇーと……」
 上手く言葉が出てこない。いつの間に寝てしまったのか、まるで記憶が無かった。
 確か提督にカクテルを飲ませまくったのは憶えている。あの後酒瓶が空になったから、追加で五本用意して、それが全て提督の胃袋に消えて、それで……
「ほい、水」
 頬にグラスを当てられて、ひんやりした感触が頭まで伝わってくる。隼鷹は漫然とした動きでグラスを受け取り、「……あんがと」と生返事を発した。
「落ち着いたら部屋まで送ってやるから」そう言ってデスクに戻っていく提督。「だからあんまり深酒はするなって言ってるだろー?」
「……提督、あんた、まじでザルだったんだね……」ぼんやりした記憶の海の中に映る、カクテルをガブガブ飲み干す提督の姿を見つめ、隼鷹は呆れ返った声を上げるのだった。
「そういう体質なんだと思うわ。酒自体は好きじゃないし、好んで飲まないし」執務を続けながら応じる提督。「これに懲りたらあんまり深酒しない事。分かったか?」
「あいよ……肝に銘じ……うっ」真っ青な顔になる隼鷹。
「うわぁーっ!? 吐くなよ!? 吐くなよ!? 今タライを持ってくるから吐くな――」「うおえぇーっ」「やりやがったぁーっ!?」
 その後数日、執務室に艦娘が訪れる事は無かったと言う。

【後書】
「コーヒーカルーアリキュール」って牛乳のカクテルではなく、これに牛乳を混ぜるとコーヒー牛乳のようなカクテルになるとか何とか。
 と言う文言がサッパリ無いのは当時すっかりわたくしが勘違いしていた事に起因しますw ゆるしてんこ盛り!w
 ともあれわたくし自身この提督のように酔っ払った事が無いと言いますか、普段から酔っ払ったような性格と言いますかw お酒自体は嫌いではないんですけれど、好きで飲む事が無いんですよね~そんな折に友達提督に勧められたこの「コーヒーカルーアリキュール」とか言うカクテルがすんごく美味しくてグビグビやっちゃった奴ですw
 さて、先週はインフルさんでお休みし、今週も無気力に陥って更新が遅くなってしまいました(´・ω・`) 2019年のワシ大丈夫か…w と言う訳で思い立ったが何とやら、今週はもう一話分更新しておきまする! 何かこう、けじめって訳でもないんですが、やりたい事がやれないストレスを解消しておきたいんですの…w
 そんなこったで次回もお楽しみに! 

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