2019年1月27日日曜日

【艦娘といっしょ!】第16話 飛鷹といっしょ!【艦これ二次小説】

■あらすじ
ちょっと頭のおかしい提督と艦娘達の日常生活を切り抜いた短編集です。
※注意※2016/09/14に掲載された文章の再掲です。本文は修正して、新規で後書を追加しております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
艦これ 艦隊これくしょん コメディ ギャグ 飛鷹 隼鷹


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/68881/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/series.php?id=627932
■第16話

第16話 飛鷹といっしょ!


「今日も朝帰りなの隼鷹……って、提督じゃない。って酒臭ッ!」

 艦娘の部屋にやってきたのは、隼鷹を背負った提督だった。出迎えた飛鷹は「あなた達……今何時だと思ってるの?」と仁王立ちで剣呑な表情を覗かせる。
「悪いね、隼鷹が飲み明かしたいって言うから付き合ってたんだけど、完全にダウンしちゃったから連れてきた」仏のような表情になっている提督。「執務室でゲロっちゃって少し落ち着いたみたいだけど、ちゃんとしたとこで横になった方がいいと思ってな」
「あら、提督にしては珍しく気が利くじゃない?」若干驚きに目を見張る飛鷹。「大体話は分かったわ、入って頂戴、部屋が冷えちゃう」
「悪いねー」と言って隼鷹を背負ったまま部屋に入り、ベッドに横たわらせる提督。「普段からこんなに飲んでるのか? 隼鷹って」
「まさか。ここまで酔い潰れるなんて珍しい方よ」洗面台の方から飛鷹の声が聞こえてきたかと思えば、本人がコップに水を入れて現れた。「隼鷹、飲める? 少しでも水分を補給した方がいいわ」
「うー……きぼぢわるい……」真っ青な顔で飛鷹を見上げる隼鷹。
「あなたね……そんなになるまで飲むなんて何を考えてるの、全く」水を飲ませると、提督に視線を向ける飛鷹。「提督も提督よ。あなたが止めないで誰が止めるのよ、もう」
「いやー、美味い酒って初めて飲んだからさ、つい酒が進んじゃって」苦笑を浮かべて首筋を掻く提督。「私もこんな隼鷹見るの初めてだったからさ、もしかして毎回ここまで飲み潰れてるのかと心配になってさ」
「……隼鷹がこんなになるまで飲んだのよね? 提督、見た感じ素面に見えるけど、もしかして酔っ払ってる?」不思議そうに提督を見据える飛鷹。
「自覚は無いけど、たぶん酔っ払っては無いと思う」平常運行である事を示すように親指を立てる提督。「アルコールには強いんだ、たぶん」
「そう……ってもう夜が明けちゃってるけど、提督、今日の業務はどうするつもりなの?」時計を見て、現時刻がマルゴーマルゴーである事を確認する飛鷹。「今から寝て間に合うの?」
「私、アルコールを摂取すると寝つきが悪くなるから、今から寝ようと思っても眠れないと思うのよね」ん~、と伸びをする提督。「酒気が抜ける今夜までたぶん起きてるよ」
「完全に徹夜コースなのね……」呆れた様子で溜息を零す飛鷹。「そうだ、提督。あなた、お腹空いてるんじゃない?」
「空いてるねー。中は酒でちゃぽんちゃぽんだけど」お腹を摩りながら苦笑する提督。
「間宮さんの食堂はまだ開いてないでしょうし、良かったら軽い物でも作るけど」そう言って部屋の奥からエプロンを持ってくる飛鷹。「何がいいかしら?」
「おー、じゃあネギ盛作ってよネギ盛!」飛鷹を指差して声を張り上げる提督。
「ネギ盛って……あれ、ただネギを千切りにして塩ドレッシング掛けただけの物でしょ? そんなのでいいの?」拍子抜けして動きが止まる飛鷹。「お腹膨れないんじゃない?」
「いいのいいの、あれが食べたいんだよ今、私は!」にこーっと微笑む提督。「あぁ、朝からしょっぱい物が食べられる幸せ……!」
「はいはい、分かったわよ、それじゃちょっと待ってて、すぐ作るから」
「ほいよー」
 ちゃぶ台の前に座り込んだ提督を見やり、飛鷹は簡単に手を洗って、料理を始める。
「手伝ってくれてもいいんだけど?」鍋に火を掛けつつ、ちら、と居間に振り返ると、提督は「え? 私が手伝うときっと大変な事になるよ?」と意味深な笑顔を返してきた。
「もう、これだから男ってのは……」失意の嘆息を落として、冷蔵庫からネギを引き抜き、サッと水洗いすると、サクサク包丁で分けていく。
「艦娘の部屋ってあんまり来ないけど、飛鷹と隼鷹の部屋ってあれだな、すげー片付いてるんだな」居間をうろうろしている提督。
「ちょっと、あんまりじろじろ見ないでくれる? これでも女性の部屋なんだから」細かく切り分けたネギをボールに移し、塩ドレッシングで和えていく。
「酒だー! 酒ばっかりだこの部屋ー!」喚き散らし始める提督。
「ちょっ、~っもう!」居間が気になって仕方ない飛鷹だったが、鍋の中が温まった事を確認すると、お椀に中身をよそい、ネギの塩ドレッシング和えを皿に盛りつけ、提督の元に戻る。「ほら、出来たわよ! ネギ盛!」
「わーい!」慌ててちゃぶ台に戻ってくる提督。「あれ、これは?」と茶碗を指差す。
「シジミのスープよ。隼鷹がそれ好きなのよ、酒で爛れた胃に染みるんですって」提督の向かいに座りながら応じる飛鷹。「味は隼鷹が保証するわ」
「ほほー、ってあっち! こんなに熱いの飲めないよ!」必死に茶碗に気息を吹きかける提督。「私にゃん舌なんだから、温めなくて良かったのにー」
「あらそう、ごめんなさいね」ニヤニヤ笑いながら応じる飛鷹。「スープは熱いのが美味しいものよ?」
「私は冷たいスープが好きなの! ふぅ、ふぅ」息を吹きかけ続ける提督だったが、そこではたと気づく。「ってか先にネギ盛食べればいいじゃん! いっただっきまーす!」と割り箸を割ってネギの塩ドレッシング和えに手を付ける。「うみゃー! 美味過ぎるずぇー!」
「そう? 提督って本当に変わったものが好きよね」頬杖をついて呆れ顔の飛鷹。「美味しかったのなら良かったわ」
 モリモリとネギを食べていく提督をぼんやり眺める飛鷹。提督は構わずネギを食べ続け、やがて少しだけ冷めたシジミのスープに口を付ける。
「うおぉ……確かにこれは、五臓六腑に染み渡るなぁ……」ほぉ……と力の抜ける吐息を落とす提督。「すげー美味しいわぁ」
「そう、なら良かった」満足そうに笑む飛鷹。「提督は本当に美味しそうに食べるわねぇ」
「『美味しい物を不味く食べる方が難しい』って同僚の提督が言ってたぞ」モリモリとネギを食べながら応じる提督。「美味しい物を美味しそうに食べるのは当たり前だろう?」
「……そうね、確かにそうだわ」おかしそうに微笑む飛鷹。「……有り難う、提督」
「あん?」箸を止めて飛鷹を見据える提督。「お礼を言うのは私の方でしょ? こんな美味しい物を作ってくれてるんだから」
「隼鷹の事よ。こんなに羽目を外して飲むなんて、今まで無かったんだから」優しげな眼差しで隼鷹を見やる飛鷹。「良い飲み仲間を見つけられて嬉しかったんでしょ、きっと」
「どうだかねぇ」再びネギに手を付ける提督。「全く酔わない私なんかと飲んで、本当に楽しいかねぇ」
「あら、すぐに酔い潰れてしまうより良いじゃない?」ニヤニヤと笑む飛鷹。「あなたにはそれ以上に感謝してるのよ、提督」
「何だよ改まって」再び箸を止める提督。「死亡フラグでも立てるのか?」
「私、この鎮守府じゃ割と新参者じゃない」昔話でも語るように目を細める飛鷹。「それなのにこんなに良くして貰えて、これでも感謝してるのよ?」
「その分しっかり働いて貰ってるからなぁ、私もこれでも感謝してるつもりなんだよ?」ニヤ、と微笑む提督。
「そうなの? 全然そうは思えなかったわ」意地悪な顔をする飛鷹。
「ぇえー? この感謝の塊みたいな人にそれは無いでしょー」
「感謝の塊って何なのそれ……」呆れ顔の飛鷹。「さ、食べたら執務に戻りなさいよ? 提督」
「おう、ご馳走様!」空になった茶碗の上に皿を載せ、洗面台に運んでいく提督。「まじ美味かったよー、また作ってよ、ネギ盛とシジミのスープ!」
「そんなに美味しかったの?」不思議そうに、そして嬉しげに驚いた表情を見せる飛鷹。「いいわ、また作ってあげる。その時はもっと早い時間にいらっしゃいな」
「おう、その時は隼鷹も一緒にな!」と言って隼鷹に振り返る提督。
「おーう……任せなー……」全く元気の無い隼鷹の返事が飛んできた。
「んじゃね、飛鷹、ご飯ありがにょろ!」部屋の前で軽く手を挙げる提督。
「ん、それじゃ執務頑張りなさい」腕を組んで微笑む飛鷹。
「おう! さーて一狩り行ってくるかなー!」と言って執務室に向かっていく提督。
「執務しなさいよ執務を!」その背に声を投げかける飛鷹。
 まだ仄暗い廊下を手を振って去って行く提督の背は、いつもより大きく見えるのだった。

【後書】
 ネギ盛大好き人間のワシです(´▽`*)
 飛鷹さんって何と無く料理が出来そうなイメージだったので綴ってたような気がします。たぶんw と言いますか、隼鷹とセットで綴りたかったんですよね! そしたらこんな感じに!
「~っもう!」って感じの台詞が公式でも有りますけれど、あれが好きでしてなーw 仕方ないなぁもうって感じが堪りませんw 突然性癖暴露してどうしたんだ提督…
 と言う訳でインフルの分と無気力の分を纏めて更新致しました! 次回からまたのんびり更新しますよう! たぶんw てな訳で次回もお楽しみに~♪

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