2019年2月22日金曜日

【艦娘といっしょ!】第20話 大和といっしょ!【艦これ二次小説】

■あらすじ
ちょっと頭のおかしい提督と艦娘達の日常生活を切り抜いた短編集です。
※注意※2016/11/22に掲載された文章の再掲です。本文は修正して、新規で後書を追加しております。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【Pixiv】の三ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
艦これ 艦隊これくしょん コメディ ギャグ 大和


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/68881/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/series.php?id=627932
■第20話

第20話 大和といっしょ!


「夕食会の随伴、ですか?」

 執務室できょとん、と小首を傾げる大和の前で、神妙な面持ちの提督は「うむ……」と重い嘆息を吐き出す。
「私は構いませんが、提督は何を気にされているのですか?」不思議そうに提督の顔を覗き込む大和。
「いや、それがね。今日の夕食会はアレなんだよ、かーぴょんとの夕食会でな……あの人、また山ほど料理を作って私を太らせようって魂胆でいるから……大和が中々の大食って聞いたからさ、私の代わりにたくさん食べて欲しいと言うか……」
 顔色を窺うように告げる提督の意を汲んだ大和は「なるほど、そんなにたくさんのご馳走が振る舞われるのでしたら、是非も有りません。私で良ければ随伴に与りましょう!」と朗らかな微笑を浮かべた。
「ありがにょろ~! 大和さんは本当に頼りになる艦娘やでぇ……!」と拝み倒す提督なのだった。

◇◆◇◆◇

 作戦司令部、の別室。
 そこでは本来海図が置かれているであろうテーブルに、山ほどの皿が並べられていた。
「来たなリーさん! 今日もたっぷり作ってやったから、遠慮せずに食え食え!」エプロン姿の上日和が得意満面におたまを掲げる。
「いやいやだからおかしいよねこの量!? 私一人に対して振る舞われる量を遥かに凌駕してるよね!? 私何人分用意させるつもりなんだよ!」
 提督をそう言わしめるほどの料理の数々に、隣に立っていた大和の瞳がキラキラと輝きだした。
「これ、全て日和さんがお作りになられたのですか!?」驚きと感動の感情を込めて声を張り上げる大和。
「そうだ! 私にはこれでも足りないくらいだから、リーさんの胃袋じゃこれだと物足りないでしょ?」小首を傾げる上日和。
「有り余ってるよ!! 人間がこんなに食える訳が無いんだよ! あんたみたいに胃袋がブラックホールの奴は稀も稀、極稀だって自覚してくれよ!!」精一杯ツッコミに声を張り上げる提督。
「提督、これは食べ甲斐が有りますよ……!」じゅるり、と涎を滴らせる大和。「料理が冷めない内に頂きましょう!」
「お、おう。何かすげーやる気になってるね大和さん……」若干ビクつきながらも席に着く提督。「もう見てるだけで満腹になるんだけどなぁ……」
「さぁおあがり! まだまだ持ってくるからね!」「まだ持ってくんのかよ!? あんたさっきから私の話全く聞く耳持ってないよね!?」
 部屋から出て行く上日和の背に絶叫を浴びせるも、閉まった扉でシャットアウトされてしまうのだった。
「あぁ……これだよ……これだから夕食会は嫌なんだよ……」ゲッソリした様子で嘆息を零す提督。「大和さんも無理に食べなくて……いい……から……ね……」
 提督の視線の先には、空になった皿の山が築かれていた。
「提督! 日和さんって料理がお上手だったんですね! とても、とても美味しいです! これは大和ホテル……おほん、私にも配備したい品々ですね……!」
 瞳を輝かせながら、なおも料理を口に運び続ける大和に、提督は「お、おう。そ、それは、良かった……」と若干言葉を失ってたじろいでいた。
「次が来たぞー! って、ほらぁ! ちゃんと食べてるじゃん!」空になった皿の山を見て指差す上日和。「いっつも残してばっかりなのは、さてはおやつを食べようとしてたんだな……!?」
「んな訳有るかー! 全部大和さん! これ全部大和さんが食べたんだって!!」
 未だにモリモリと食べ続けている大和を指差す提督に、上日和もやっと気づいて、「ほう」と感嘆の吐息を漏らした。
「良い食べっぷりだ。これは作り甲斐が有るな……!」
「いやまだ作るつもりかよ! 流石にもういいだろ! 大和さんもお腹が一杯――」「まだあるのですか!? 是非お代わりさせてください、日和さん!」「うぇえ!?」
 上日和に空の皿を提示する大和に、作戦司令部のお偉いさんはにんまりと極上の笑顔を覗かせ、「よしきた! 今たっくさん作ってあげるから、たっぷりお食べ!」と再び部屋を後にしていく。
「……大和さん連れてきて正解だったかも知れない」
「え?」
 提督に声を掛けられるまで「ん~♪ 美味しい! あ、これも美味しいかも! こっちもピリリと辛くて……ん~♪」と舌鼓を打っていた大和だが、改めて自分の状態を確認したのだろう、赤面して俯く。
「ご、ごめんなさい……こんなにたくさんの料理が並んでるの初めてで、ちょっと気分が高揚してるみたいです……」
「謝る事は無いさ~。寧ろこんなに美味しそうに食べてくれたら、かーぴょんもご機嫌だろうし。私はあんまり食べなくて済むし。大和さんはたくさん食べられてハッピーだし。万々歳さ!」
 ニッコリ笑顔で応じる提督に、大和は嬉しげに「はいっ!」と微笑むのだった。
「ほら追加持ってきたよー! ジャンジャンお食べー!」再び大量の料理を運んでくる上日和。
「わぁ! 有り難く、頂きますね!」それをまるで飲むように平らげていく大和。
「……流石にこれだけの量になると、見てるだけで気持ち悪くなってきたぜ……」青い顔で遠ざかっていく提督。
「おい、どこに行くリーさん」ガシッと肩を掴まれる提督。「お前の分もたっぷり用意しておいたぞ! さぁお食べ!」
「ヒ、ヒギィーッ!」

◇◆◇◆◇

「Hey! 提督ぅー? 何か体が真ん丸になってないデスカー?」
「体型が見違えるように丸くなってるのです」
 翌日、執務室を訪れた金剛と電が珍しそうに提督の姿を眺めていた。
 真ん丸に太った、提督を。
「……ぅおー、昨日食べ過ぎてなー」喋るのも苦しそうな提督。「寧ろ私のー、百倍近く食べてた大和さんがー、全く変化無い事にー、驚きを禁じ得ないー、ぅおー」
「「え」」
 二隻が驚きを隠せない様子で大和を振り返ると、彼女は全くいつもと変わらぬ体型で佇んでいた。
「……え、えへっ。私、どれだけ食べても太らない体質なんです」ちょっぴり恥ずかしげに笑む大和。
((羨ましい……))
 大和を見つめて吐息を零す金剛と電なのだった。

【後書】
 どれだけ食べても体型が変わらない人っていますよね! 作中では提督がブクブクのブク太郎になっておりますけれど、わたくし自身もたくさん食べてもそんなに体型が変わらない体質だったりします。“そんなに”なので、一時期はふっくらしていた時も有りますが!w
 と言う訳で大和さん回でありつつも、再びのかーぴょん回です。実際のかーぴょんもこんな感じでわたくしをブクブクのブク太郎に仕立て上げようと言う魂胆が見え見えで食べさせまくってくるので要注意です。お腹はちきれちゃうよう!!

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