2019年2月3日日曜日

【神否荘の困った悪党たち】第55話 トコトコって流れて欲しいんだって【オリジナル小説】

■あらすじ
ニャ、ニャッツさーん。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
日常 コメディ ギャグ ほのぼの ライトノベル 現代 男主人公


カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054881797954
■第55話

第55話 トコトコって流れて欲しいんだって


「今は現代……血で血を洗う闘争が繰り広げられている世界……お婆さんはお爺さんを斬獲し、その血に染まった手を洗いに川に向かいました」

 砂月ちゃんに渡された新しい台本を読み上げるメイちゃんを眺めながら、俺はもうどうにでもなーれーと欠伸を浮かべた。
「ニャー、我輩の出番はまだかニャ?」タシタシと俺の太ももを叩き始めるニャッツさん。「出番まだニャらゲームしてきたいニャ!」
「ニャッツさん! 出番ですよ!」早速砂月ちゃんに呼ばれてるぞ。
「ニャんだと!? して、我輩は何役で登場するニャ? やはりアレかニャ? 真の皇帝陛下かニャ?」何で桃太郎に裏ボス的存在が登場してくるんだ。
「ニャッツさんはアレです、川上から流れてくる猫の役です」なにて?
「待って待って、それだと桃太郎じゃなくて猫太郎にならない?」慌てて制止の声を上げるよ!「猫が川上から流れてくるシーンもだいぶあの、保護者がカンカンになる予感しかしないんですけお」
「いやそれよりも猫を両断して中から人が出てくる方がヤバくない?」シンさんが腹を抱えて悶絶してる。気持ちは分かる。「園児の前で猫を一刀両断とかヤバいよね、どんなトラウマ植えられるか考えただけで腹筋ねじれそう」笑点そこだったかー。
「大丈夫です! ニャッツさんは、桃、って名前の猫役で登場しますから!」何も大丈夫じゃないよ砂月ちゃん。「と言う訳でニャッツさん、あの川の上流からどんぶらこどんぶらこと流れて来て貰って良いですか?」まじで進行しちゃうんだ。
「仕方ニャいニャぁ……」トコトコと川上に向かったニャッツさんは、アップアップと溺れた様子で流れてきた。
「動物虐待! 動物虐待で訴えられると思います!」はいはいはーい! と挙手連打するぞ俺は!
「やっぱりどんぶらこどんぶらこと流れるのは無理がありますかね?」うーん、と悩ましげに俯くけど、問題そこじゃないんだなぁ。「ニャッツさん、川上から歩いて来て貰って良いですか?」なにて?
「アップアップ」ニャッツさんが川下に流れて行ってしまった。「アップアップ」ニャッツさんがフェードアウトしてしまった。
 皆でいなくなったニャッツさんを見送ってた。ニャ、ニャッツさーん。

◇◆◇◆◇

「どんぶらこどんぶらこと流れたのに! 酷い扱いニャ! 我輩おこニャ! 激おこプンプン丸ニャ!」
 えらい懐かしい怒り方で拗ねてしまわれたニャッツさんを撫でようとしたらゾリィッて引っかかれた。「いっつッ」ガチで痛い奴だった。
「ニャッツさん落ち着いて。今度はどんぶらこどんぶらこじゃなくて、トコトコだから。分かる? トコトコって流れて欲しいんだって」俺はもう自分の日本語力の限界を感じずにいられなかった。
「トコトコ~? 分かったニャ」ニャッツさんも大概深夜テンションだなこれは。
 ニャッツさんが川上に向かってトコトコ歩くと、今度は川上から川の上をトコトコ歩いて下って来た。
「ここでお婆さん役のマナさんが拾い上げるんです!」砂月ちゃんがマナさんを指差す!
「あらぁ~、美味しそうな桃ねぇ~、家に持って帰ってお爺さんと食べましょうか~」普通の桃太郎なら何でもない台詞なのに、今のマナさんが言うと完全にサイコパスだよこれ。
「マナさんマナさん、それ桃じゃなくて猫です。あと家にはもうお爺さんいません、マナさん殺してますよ」ひそひそと耳打ちしてみる。
「あらぁ~、そうだったのね~?」困った風に手を頬に当てるマナさん。「じゃあこの桃は、お爺さんと一緒に割ってみましょうか~」あ~、もう奇蹟は起きなかったか~。
「我輩は桃じゃニャいニャ! 真の皇帝陛下、ニャッツニャ!」何から何までグダグダだよ。
「これでどこから桃太郎に繋げるつもりなの?」もう疲労困憊の態で砂月ちゃんに話しかける。
「猫が吐き出す毛玉です」なにて?「猫が吐き出す毛玉こそが、何か桃とゲロが入り混じった塊……そう、桃太郎だったんですよ!」まさかの吐瀉物がヒーローになるなんて誰が想像できただろうか。
「吐けばいいニャ? お、おえーっ!」ニャッツさんがガチ吐きし始めた。
 べしゃッと落ちてきたのは、式子さんだった。
「ししし式子さーん!?!?!」そう言えばさっきから見ないと思ったらー!?!?!
「ふぅ、ニャッツさんの護衛をしていた式子さんですよ!」ビシッと立ち上がる式子さん。「話は伺いました……今、桃太郎の劇の練習中なのですね!」どこで聞いたんだどこで。
「遂に誕生しました!! 猫の桃から生まれた桃太郎です!!」
 砂月ちゃんが堂々たる仕草で宣言した後、何故か拍手が巻き起こった。
 時計を見るともう二時半回ってた。そろそろコーヒーチャージしようかな……

【後書】
 今回はほんとマナさんが良い味出してくれました!(笑) そしてニャッツさんですよ! 深夜のテンションって大体こんな感じですよね!ww
 だいぶ惨たらしい展開ですが、一応進行している桃太郎。最早園児達のトラウマは避けられない未来になりつつ…!w 次回もお楽しみに~♪w

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    いやーヤバいなぁw
    ニャッツさんの深夜テンションいい感じですwさすが真の皇帝陛下!
    そしてマナさん!ほんと良い味ですw狙ってるのか天然なのか…
    皆様そろそろ休憩したほうが良さそうよw

    はたして園児たちに受け入れてもらえるのか、
    それよりも無事に公開できるのか?波乱必死!
    園児どころか保護者さえもトラウマを植え付けられそうです!

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv

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    1. 感想有り難う御座います~!

      ヤバいですよねww
      さすが真の皇帝陛下!www笑ったwwwww
      良い味出してますよねマナさん!w 狙ってるのか天然なのか分からないのもドキドキしますよねww
      ほんそれ!ww 休憩挟んだ方が絶対良い奴です!ww

      確かにww 無事に公開できるのか不安しかないですねこれ!ww
      保護者さえもwww これだけカオスだと確かに園児だけじゃ留まらない気がしますね!www

      今回もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

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