2019年2月12日火曜日

【FGO百合SS】05話「司書と叛逆騎士の小噺#1」【紫モー】

■あらすじ
紫式部にお勧めの本を要求するモードレッドのお話。

■キーワード
FGO Fate/Grand Order 紫式部 モードレッド 百合

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/series/1018872
■第5話

05話「司書と叛逆騎士の小噺#1」


「おう、お勧めの本、教えてくれよ」

 図書館の受付でのんびりと、客であるカルデアの職員やサーヴァント達を眺めていた司書のお姉さんこと紫式部は、突然カウンター越しに浴びせられた強い語調に、ビクッと肩を震わせた。
 恐る恐る顔を向けると、見覚えの有るサーヴァント……モードレッドが鋭い目つきで紫式部を睨み据えていた。
「ヒエッ……」改めて体を震わせる紫式部。「ももも申し訳ありません……ッ」
「あ? 何で謝ってんだ?」不思議そうに――と言うよりも、どこか苛立った様子で言を飛ばすモードレッド。「それとも何か? オレに勧める本はねえって事かそりゃ?」
「――お勧めの本、ですか」やっとモードレッドの用事が理解できた紫式部は、姿勢を正して体ごと向き直った。「モードレッドさんは、どういったお話をお求めですか?」
「んー、やっぱ面白ぇ話だな!」ニカッと子供のように笑うモードレッド。
「面白い、話……」困惑した様子で反芻する紫式部。「えぇと……そうですね、笑えるお話、或いは読後感が良いお話など、モードレッドさんの面白いとは、具体的にどのようなお話を指すのでしょうか……?」
「何だそれ? 面白ぇ話は面白ぇ話だろ。何言ってんだ?」頭の上に疑問符を載せてメンチを切り始めるモードレッド。
「……えぇと、ではモードレッドさんの好きなお話を教えて頂けませんか? 参考に致しますので」
「好きな話ぃ~?」はぁ~? とメンチを切り始めるモードレッド。「ん~、そうだなぁー。前にマスターから借りた……何だっけ、毛狩り隊が出てくる漫画。アレ面白かったな~」
「……………………なるほど」紫式部が得心したように一つ頷く。「他には何か御座いますか?」
「他にぃ~? ん~、あー、アレだ。何だっけ、デンジャラスな爺が出てくる漫画。アレも面白かったな~」
「……………………なるほど」紫式部の顔に清々しい笑みが浮かんだ。「では暫しお待ちください、今お求めの……面白いお話をお持ち致しますので」
「おう、ちょっ早でな!」嬉しそうに笑って送り出すモードレッド。
 その後、五分ほどの時間を置いて紫式部が戻って来ると、彼女の腕の中には単行本の山が積まれていた。
「どうぞ、こちらになります」と、山積みになった書籍をカウンターに載せる紫式部。「全巻貸し出しで宜しいですか?」
「すんげぇ多いな、何だこりゃ」一冊取って表紙を確認するモードレッド。「ギャグマンガ……“ひわ”?」
「“びより”、ですね。そちらであれば、モードレッドさんの欲求を満たせるかと思いまして」ニコッと微笑む紫式部。「勿論合わなければ即時返却して頂いて構いませんので。……一冊、試読されてみます?」
 表紙を見たまま動かないモードレッドに、紫式部が小首を傾げて尋ねると、彼女は「おう、ちょっと試し読みするわ」と言ってパラパラ頁を捲り始めた。

◇◆◇◆◇

「――――かぁーっ! 面白かったぁ~! そうそう、こういうアレだ、面白い話が読みたかったんだよオレは!」
 結局図書館で全巻読了してしまったモードレッドに、紫式部は「ほぅ~」と安堵の吐息を漏らして胸を撫で下ろした。
「ご満足頂けたようで、何よりです」嬉しそうに返却された単行本を手に取る紫式部。「モードレッドさんも、読書を嗜まれるのですね? てっきり、武辺に傾注されて、文には暗いものとばかり……あぁっ、済みませんっ、また失礼な事を……!」
「ん? あぁ、確かにあんま書物ってのは手に取らねえよ」単行本を全て返却すると、モードレッドはおどけた笑みを覗かせた。「ただ俺は何れ王になる騎士だからな、活字に通じてねえと、ほら、アレだ。政が出来ないだろ?」
「なるほど……モードレッドさんは、勉強家なのですね!」
 顔を華やがせて手を合わせる紫式部に、モードレッドは一瞬虚を衝かれた後、胡散臭そうに瞳が据わった。
「……そりゃ皮肉か?」
「いっ、いえいえ! そのような事は決して……!」ワタワタと慌てて手を振り乱す紫式部。
「ほんとかよ……まぁいいや、あんがとな、お勧めの本教えてくれて」ポン、と紫式部の頭を撫でると、モードレッドは手をヒラヒラ振って図書館を後にしていく。「んじゃまたなー」
「あっ……またのお越しを、お待ちしております」
 ペコリと頭を垂れて見送った紫式部は、再び彼女が訪れたら、今度はどんな本を勧めてみようか、と、普段より心躍らせながら司書の仕事に戻るのだった。

【後書】
 紫式部さんをお迎えできたのと、モーさん二人目&式部さん三人目お迎え祈願に紫モー短編を投稿に参った次第です(´▽`*)
 悶々妄想してみたところ、この二人の関係性はアレです、学園モノの、大人しい子×不良っ子があまりにも当て嵌まる奴でした。つまりワシの好物!!!!
 と言う訳でガチャは明日なのでね、明日にもう一話分、ガチャ祈願に投稿致しますのでお楽しみに! お迎えできなかったらアレです、記念にですね!w そんなこったで次回もお楽しみに~♪

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